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Tome館長

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  • 氷の子

     目も口も 耳も髪も 手も足も
     肉も骨も脳も肺も心臓も

     なにからなにまで
     みんなみんな

     氷でできた氷の子 


    時も凍える冬の夜 

    月の光 屈折すれば
    星の光 にじんで壊れ

    歪み輝く街の夜景 
    あやしく綺麗に映します 


    きっと電飾のゆらめきは 
    この子を駄目にするでしょう 

    凍った道路で滑って転び 
    割れて砕けて 形が消えて

    見つめ合う恋人たちの靴底が
    心なく踏みにじることでしょう 


     「愛しているよ」
     「愛しているわ」

     汚れてしまった
     氷のかけら
     

     

     

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  • 氷の帆船

    2015/11/01

    変な詩

    オーロラゆれる空の下 
    果てなく広がる氷の海原 

    その凍った海の真ん中に 
    氷の帆船 浮かぶとか 


    氷の帆船を見た者 
    凍えて必ず死ぬ 

    凍えて死んだ者 
    氷の帆船の船員となる 

    氷の帆船の船員 
    重い氷の鎖につながれる 


    氷の鎖を切断すること 
    けっして亡者にできぬ 

    生者ならできるが 
    ここまで辿たどり着けまい 


    星の磁場のすきま風
    太陽風にゆれる七色カーテン 

    凍った海の真ん中で 
    オーロラ見上げるばかりなり

     

     

     

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  • 声援が聞こえる

    2015/10/31

    論 説

    休日のお昼近く、近所の運動公園から声援が聞こえる。

    おそらくサッカーの試合でもやってるのだろう。
    それとも陸上大会か。

    あるいは運動会かもしらんが、なんでもいい。
    スポーツ観戦に興味はない。

    どれもこれも似たり寄ったり。
    写真を撮る楽しみも減退気味だ。

    それにしても、他人事を我が事のように 
    なぜあんなに観客たちは熱中できるのかね。

    身内や仲間ならマナーということもあろうが 
    まったく無関係な人まで勝手にファンになって応援する。

    おおっぴらに大声出して騒げるのが嬉しいからか。
    酒に酔うみたいにムードに酔っているのか。

    それとも虫や鳥が鳴くみたいな求愛行動か。

    「おまえを愛してるぜ!」
    「あんたが死ぬほど好きよ!」

    なるほど、本能の解放か。
    我慢を含めた気持ちの発露にはなるだろな。

    しかし、そうだとしても、ようわからん。
    なぜ、どいつもこいつもスポーツ観戦なのだ。

    ほとんどの人たちにとって

    どちらの選手やチームが勝とうが負けようが
    どうでもいいことではないのかね。

    他に気になることないのかね。

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  • 美人の漬物

    美人はいたみやすい。

    長期保存するため、恋人を漬物にすることにした。
    まずは「漬物」でWeb検索。

    塩、しょう油、みそ、酢、酒かす、からし、ぬか、・・・・ 

    漬け込み材料色々あれど 
    彼女にふさわしいのはなんだろう? 

    しょっぱいのやすっぱいのや 
    ぬか臭いのはいやだな。

    みそ美人というのも、なんだかね。
    からし美人、いかにも性格きつそう。

    ワイン好きだから、ワインかす? 
    鼻持ちならなくならないか? 

    ああ、どうもわからん。
    一夜漬けじゃ無理あるな。

    もう冷凍にするしかないか。
    でも、いくらきれいでも冷たい女じゃ・・・・ 

    ああ、ちくしょう! 
    悩んでるうちに腐っちまった。

    やっぱ無理だったか。


    やれやれ。

    美人の保存はむずかしい。

     

     

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  • 迷惑な騒音

    2015/10/28

    愉快な話

    掘削機で岩盤を蹴散らされるみたいに起こされた。

    ものすごい騒音だった。
    近所で土木工事でもやっているのだろう。

    寝ぼけ眼で時計を見る。
    非常識な時間帯とは言えない。

    しかし、うるさい。
    とても眠っていられない。

    顔を洗って歯を磨いてトイレに入る。
    出して出て服を着てから玄関を出る。

    部屋の構造や窓の位置で錯覚するのか 
    音がするのは家の中で推定した方角と違うようだ。

    しばらく自宅の周囲をうろうろする。
    どうも騒音の発生源が特定できない。

    位置ははっきりしないものの 
    それらしき家の門柱のチャイムを鳴らしてみる。

    留守なのか騒音で聞こえないのか 
    返事はなく、誰も出てこない。

    腹が立ち、その家の玄関に向かって怒鳴る。
    「うるさいぞ!」

    すると、そのすぐ隣の家の窓が開いて 
    「うるさいわよ!」

    その反対に建つマンションのベランダからは 
    「いい加減にしろよ!」

    さらに向かいの家の玄関ドアが開き 
    「そっちこそうるさいぞ!」

    それから、しばらく怒鳴り合いが続いて 
    あのひどい騒音が聞こえなくなったくらいである。

     

     

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  • 川のほとり

    2015/10/27

    変な詩

    ひとり、川のほとりにたたずんでいると 
    川上から賢者が流れてきた。

    「助けてさしあげましょうか?」
    私がたずねると 

    賢者はそっけなく 
    「わしのことはかまわんでくれ」

    そのまま川下へ流されていった。


    しばらくすると 
    今度は愚者が流れてきた。

    「助けてやろうか?」
    声をかけると 

    愚者は喜び 
    「うん。頼む」

    私が川の中に入ると 
    愚者は私の腰にしがみつき 

    そのためバランスをくずして 
    私も一緒に流されてしまった。

     

     

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  • 鳴り響く

    2015/10/26

    変な詩

    未開地に 民族の太鼓 鳴り響く

     ドム ドム ドム
     ドドム ドム 


    ナイフで延長 生命線

     ギリ ギリ ギギリ
     ギギリ ギリ 


    胃壁のポリープ つまんじゃえ

     グニュ グニョ グニョニョ
     グニュニュニュニュ 


    股関節とか はずしましょ

     グギギ グギギ
     グギギッギ 


    お口の端から よだれが垂れた

     ダラダラ ダラリ
     リダラ ダラ 


    肩甲骨を ねじまげよ

     メキメキ メキッキ
     ボキ バキ ベキ


    真っ赤な 血だって 流れます

     ドクドク ドックン
     ドクドクドク

     

     

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  • 小人の群

    小人の群に襲われた。

    逃げても逃げても追い迫る。
    からだ小さいくせに足はめっぽう速い。

    ゾロゾロゾロゾロ、無数の足。
    ペタペタペタペタ、無数の手。
    ニヤニヤニヤニヤ、無数の顔。

    蹴散らしても蹴散らしても、キリがない。
    踏みつぶしても踏みつぶしても、くたびれ損。

    ついに靴にしがみつかれて倒された。

    手も足も腰も肩も脇腹も、首も耳も髪の毛も 
    みんな小人の群に押さえられ 

    「助けて!」と叫んだら 
    上下の唇、塞がれた。

    さらに両目も両耳も塞がれ、服は破られ 
    全身つねられたり撫でまわされたり、され放題。

    無数の小人の無数の指がムカデのように 
    うごうご、めくめく。

    いやらしい。
    舌まで使ってる。

    たとえば、アリに群がられた角砂糖。
    細かく砕け、とけてゆく。

    くり返しくり返し 
    いくどもいくどもいくども殺される。

    やがて 
    塞がれた耳の穴の中・・・・ 

    「さて、もういいかな」
    ささやくようにひとりの小人がつぶやいた。

     

     

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  • 身体検査の日

    今日は学校で身体検査がある。

    身長や体重はいい。
    胸囲や座高もかまわない。

    血圧もいいだろう。
    視力や聴力も大事だ。

    検尿も血液検査も仕方ない。

    しかし、あれは困る。
    あれは恥ずかしい。


    個室で下着も脱がされて検査される。
    つまり、裸にされるわけだ。

    男子の検査は女医が担当する。
    しかも、若くて美人だ。

    なぜかそういうことになっている。
    その方が検査にとって好都合らしい。

    担任の先生も詳しくは教えてくれなかった。


    さて、とうとう次は僕の番だ。

    個室のドアの前で待っていると 
    先に入室した同級生のうめき声が聞こえる。

    あるいは泣き声かもしれない。
    しかし、あいつが泣くとはとても信じられない。

    たまに女医の笑い声まで聞こえる。
    いかにも楽しそうだ。


    いったいなにをやっているのだろう。

    いやいや。
    なにを検査しているのだろう。

     

     

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  • ころんだ

    2015/10/22

    暗い詩

    おとうさんが ころんだ 

    おかあさんが ころんだ 

    おにいさんが ころんだ 

    おねえさんが ころんだ 

    とうとう ぼくも ころんだ 

    もうすぐ いもうとも ころぶ 

    だから おまえも ころぶだろ 

    みんな みんな ころぶだろ 


    だるまさんが ころばした

     

     

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