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    Works 3,356
  • ハエの夏

    2016/09/29

    変な詩

     出た 出た ハエが

     ハエが出た 

     

     

    夏になったね ハエが出ちゃ 

    生もの いたむ すぐ腐る 

     

    ウジウジ ウジわく 

    うっさい うっさい ハエになる 

     

    お皿の上で もみ手して

    朝も早よから いい気なもんだ 

     

    ああ 夏だ 

    不潔な夏だ ハエの夏

     

     

     出た 出た ハエが

     ハエが出た

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  • 肘小娘

    2016/09/28

    愉快な話

    膝小僧がいるのだから 
    やはり、肘小娘もいるのである。

    実際、肘は小娘に限るな。
    男はもちろん、おばさんもいかん。

    しわが寄ってたり黒ずんでたりすると 
    思わず目を背けたくなる。

    その点、小娘の肘はきれいだ。
    ひざまずいて肘掛け椅子になりたいくらいだ。

    それに、あの柔らかそうな折り目のところに 
    グッと挟まれるのも悪くないな。

    おいおい。そんなこと言ってると 
    聞いてる奴から肘鉄砲くらいかねんぞ。

    脇腹とか、みぞおちとかに。

    または脳天にエルボードロップ、
    別名「肘落とし」とか。

    さすがに痛いだろうな。

    ふん。しかしまあ、おじさんとしては 
    小娘の肘小娘なら、甘んじて受けようではないか。

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  • 梅雨入りツバメ

    2016/09/27

    明るい詩

    じめじめ じめっと 
    梅雨に入り 

    だらだら だらっと 
    汗が出る 

    軒下の 巣の中 ツバメの子 
    口をパクパク 餌おくれ 

    休む間もなく 親ツバメ 
    虫を捕え 運び いそがしい 

    汗かいてる 様子もなくて 
    カメラ向けつつ 感心す

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  • かざぐるま

    風が 吹くと 

    くるくる まわる 

     

    まわる まわる 

    かざぐるま 

     

     

    いつも いつも 

    そこにいて 

     

    風まかせ 芸もなく 

     

    くるくる くるっと 

    まわるだけ 

     

     

    それ以上は 望まない 

    それ以上は 望めない 

     

    くる日も くる日も 

    くるくる くるくる 

     

    くるくる くるっと 

    まわってばっかり 

     

    かざぐるま

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  • 美少女地獄

    2016/09/25

    怖い話

    「美少女地獄」というのは 

    ウスバカゲロウの幼虫の巣、アリジゴクに 

    何気なく近寄ったアリが陥るように 

    美しい少女たちが堕ちてしまう地獄である。

     

    普通の少女なら大丈夫だったろうに 

    なまじ美しく生まれ育ったばかりに 

    その仕掛けられた罠に近寄ってしまい 

    どうにも取り返しのつかないことになる。

     

    見目麗しければ、どうしても人目惹き 

    物心ついたばかりのまだ幼い頃から 

    蝶よ花よと褒められ、煽てられ 

    いやでも美少女に成長してしまう。

     

    すると、砂糖に群がるアリのごとく 

    いかがわしい誘惑のあの手この手が 

    すり寄り、撫でまわし、揉みあげて 

    いけない方へ方へと彼女らを導く。

     

    出版物やら広告やらが巷に乱れ飛び 

    よからぬ甘言を弄する鏡やら 

    華やかなすり鉢状のステージやら 

    嘘っぽい夢のような日々が演出される。

     

    ところが、そうこうするうち 

    あれよあれよと浮かれているうちに 

    ずるずるずるずる滑り落ちてしまい 

    もうにっちもさっちも抜け出せなくなる。

     

    隠れていた怪物が地中から這い出し 

    そのおぞましい姿を見せつけるように 

    その醜い本性をむき出しにして 

    怯えるばかりの美少女たちに襲いかかる。

     

    これがつまり、美少女地獄である。

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  • そいつ

    2016/09/24

    変な話

    僕には対立者がいる。
    この際、敵と呼んでもいい。

    とにかく、僕が良いことをしようとすると 
    必ずと言っていいほど、そいつに邪魔される。

    そいつには共存共栄という考えはないらしい。
    どちらが勝つか負けるか、だけである。

    なので、しばしば僕もそいつの邪魔をする。
    不本意ではあるが、仕方ない。

    それに、うまく邪魔できると嬉しくなったりする。
    そいつの泣きっ面を見るのも楽しみになる。

    性格が悪くなりそうである。

    勝ち負けだけで物事を判断するのは 
    どこか偏っている気はする。

    けれども、偏っているゆえに面白くもある。

    面白ければいいのか、と反論されそうだが 
    あいにく、そういう議論は概ねつまらない。

    なので、時間の無駄のようではあるけれど 
    つい今日もまた、そいつと対立してしまうのだ。

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  • 幽霊の僕

    2016/09/23

    変な話

     

    その建物は巨大な電話BOXに見えなくもない。

    だけど、じつは公衆浴場かもしれない。

     

    たくさんの裸の人たちが右往左往している。

    若い女の人もいたりして、ちょっと嬉しくなる。

     

    ところが、やがて様子が変わり 

    醜い姿、汚れた老人ばかりになる。

     

    うんざりする。

    あわてて建物の外へ出る。

     

    雨など降っていないのに傘を開く。

    直射日光が苦手なのだ。

     

    「だって僕、幽霊なんだもん」

    その証拠のように体が軽い。

     

    跳ねると、建物の屋根より高く舞い上がり 

    しばらく傘の柄にぶら下がっていられるのだ。

     

    なかなか楽しい。

    でも、興奮するほどじゃない。

     

    だって、こんな楽しいことをしている僕を 

    誰も見上げてくれないんだもん。

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  • 闇のナイフ

    2016/09/21

    怖い話

    闇が怖い。

     

    暗くて見えないからではなく 

    ありもしないものまで感じてしまうから。

     

    闇に靴音が響く。

    不整脈を連想させる乱れたリズム。

     

    追われているような気がする。

    息が苦しい。

     

    どこかへ心臓が逃げようとしている。

     

    助けてやりたい。

    胸を裂いてあげたい。

     

    でも、ナイフを持っていない。

    落してなくしてしまったのだ。

     

    探さなくては。

    でも、どこ行けばいいのだろう。 

     

    わからない。

     

    靴音が大きくなる。

    鼓膜が破れそうなほどに。

     

    両耳の穴を両手の指で塞ぐ。

    まだ聞こえる。

     

    闇の中、かすかに光るものが見えた。

    その瞬間、靴音が消えた。

     

    ナイフだ。

    刃の部分がぼおっと光っている。

     

    地面に落ちているのだろうか。

    それとも、誰かが握っているのだろうか。

     

    ここからでは判然としない。

     

    でも、ナイフなんか怖くない。

    ただ闇が怖いだけ。

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  • カーブを描いて

    2016/09/20

    愛しい詩

     君のうちへ行こう

     カーブを描いて 

     

    ちょっとばかり 

    遠まわりになるけど 

     

    これっぽっちも 悪気はないから 

    許してくれ 

     

    すぐにでも 

    行きたいのは 山々だけど 

     

    手ぶらじゃ いけないし 

     

    行く前に 色々と 

    やらなきゃならないことがあるんだ 

     

    だから 待っていてくれ 

    君のうちで 

     

     カーブを描いて

     大きくカーブを描いて

     

     君のうちへ行こう

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  • 雨上がりの朝

    2016/09/19

    明るい詩

    雨上がりの朝は 

    少しだけ世界が変わって見える。

     

     

    まだ湿っているけど 

    空が明るくなりつつあって 

     

    メリハリある雲は 

    おいしそうなアンパンみたいだ。

     

     

    地面には水たまりが残っていて 

    草の葉は濡れていて 

     

    まだ乾き切らない舗装道路には 

     

    いろんな顔の 

    いろんな表情が浮かんでいる。

     

     

    だから 

    雨上がりの朝は 

     

    少しだけ 

    ほんの少しだけ 

     

    世界が変わったような気がする。

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