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    Works 3,356
  • カマキレナイ

    2016/12/30

    愉快な話

    オカマのカマキリがカマを研いでいました。

     

    カマキリがカマを研ぐなんて 

    まず滅多にあることではありません。

     

    でも、オカマのカマキリはキレやすいので 

    ついカマを乱暴に扱ってしまうのです。

     

    「オカマのカマキリ、キレジかな」

    そんなふうに子どもにからかわれたくらいで 

     

    「キーッ! 許さないわよ」

    カマをブンブン振りまわしてしまい 

     

    「パキン!」

    カマの先が石に当たって刃こぼれしたのです。

     

    「あら、いやだ」

     

    子どもたちは大喜び。

    「オカマのカマキリ、カマキレナイ」

     

     

    そういうわけなので 

     

    今はキレないけど、あとでいっぱいキルつもりで 

    こうしてオカマのカマキリがカマを研いでいるのです。

     

    「オカマのカマキリ、カマキレナイ。

     ググッとこらえてカマを研ぐ」

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  • 金魚姫

    2016/12/29

    愉快な話

    彼女は美人でもなんでもない。

     

    いや。むしろ、その逆。

    目が大きいので「出目金」と呼ばれたりする。

     

    しかも彼女、よせばいいのに 

    派手なヒラヒラの赤い服を好んで着る。

     

    なので、なおさら金魚らしく見えてしまう。

     

    さらに彼女、茶色のプードルを飼っている。

    呆れたことに、名前が「フン」。 

     

    そう。彼女に引かれて散歩する姿は 

    まさに「金魚のフン」そのものである。

     

    本人は洒落た冗談のつもりらしいが 

    はた目にゃ、まわりくどい自虐にしか見えない。

     

    いわゆる変な女である。

    ただし彼女、声はじつに美しい。

     

    いっぱしのアナウンサーとして

    そこそこ有名なラジオ局に勤めている。

     

    太っているせいもあろうけれども 

    癒される声として、なかなか評判である。

     

    ガラス張りのスタジオの中で 

    今日も一日、しなやかに彼女は泳ぐ。

     

    「はーい。皆さん、こんばんわー。

     お元気ですか? 金魚鉢の中の金魚姫でーす」

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  • 何事か

    2016/12/28

    論 説

    何事かなさんとするなら 

    自分だけでやろうとせぬ事。

     

    それは世界を狭め 

    機能や展開を限定する。

     

    その魅力を広く提示し 

    後援者や協力者を募りたい。

     

    そのためにまずすべきは 

    何より魅力の創生であろう。

     

    魅力さえ十分にあらば 

    おのずと何事かなされん。

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  • 空飛ぶ観覧車

    2016/12/27

    変な話

    北向きの窓の端っこに観覧車が見える。

    (あれっ? あんなとこに遊園地、あったっけ?)

     

    いやいや、あるはずがない。

    窓に近寄る。

     

    すると、観覧車のように見えた巨大なそれは 

    地面から離れ、空を飛んでいることがわかった。

     

    西から東へ向かって放り投げられたように弧を描いている。

    (台風にでも吹き飛ばされたのかな?)

     

    やがて、それは旅客機のように地面に墜落した。

    遠くて音は聞こえないが、大惨事だ。

     

    あの辺りには、たしか同級生の女の子の家があったはず。

     

    自宅の庭にも四角なコタツの板みたいなのが 

    やはり西から飛ばされて転がってきた。

     

    わけがわからないながらも 

    とにかく急いで避難しなければならない気がする。

     

    しかし、その前に謎を解明するため 

    あのコタツ板みたいなのを拾い上げなくては。

     

    窓を開け、庭に降り立つ。

    そして、そのまま立ち尽くす。

     

    あの観覧車みたいなのがまっすぐこっちへ向かって 

    大迫力で転がってくるのが見えた。

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  • ねてしまおう

    ねよう ねよう 

    ねてしまおう 

     

    おきていたって つまらない 

     

    あめは ザーザー 

    くるま ブーブー 

     

    ぼく グーグー

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  • 場を与える

    2016/12/25

    論 説

    たとえば、我々が「宇宙の外側」と言う時 

    宇宙の外側なるものが実際に在るかないかに係らず 

    我々は「宇宙の外側」と言う名の場を与えてしまったことになる。

     

    「未来」も同様。

    未だ来てもいない何事かに対して場を与えたことになる。

     

    「実数」「虚数」「無」も然り。

    「真実」「悟り」「天国」「神」・・・・なんでもござれ。

     

    だから、それらが実在するかどうかは問題ではない。

    絵空事の「物語」と同じ。

     

    それに場を与えてしまった以上 

    それは、それらしく、その場を占める。

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  • ファンからの手紙

    2016/12/24

    変な話

    私は あなたの熱烈なファンですが 

    以前 あなたの芸を見て 

    寒気を感じたことがあります。

     

    それは さびしがりやの人が 

    さびしさのあまり つい自分の尻を撫でて 

    そのため もっとさびしくなる  

    みたいな芸でした。

     

    それから もうひとつ。

     

    自分の手のひらに あなたが 

    カラーのサインペンで 文字や絵を書いて 

    それがいかにも媚を売るような内容なんですけど 

    それを自慢げに 観客へ向かって見せる 

    みたいな そんな感じの芸でした。

     

    なんなんですかね。

     

    ことさらおもしろくもないのに 

    なぜか印象に残っているのですよね。

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  • 状況による

    2016/12/23

    論 説

    その場の状況に応じて 

    その場におけるあり方が決められてしまう 

     

    という現象は 

     

    水の流れ 天体軌道 

    分子の構造 歴史の変遷 

    風俗の多様化 ゲームの進行 

    失敗による成功 恋愛感情の起伏 

    理論の辻褄合わせ 技術の拡散と進歩 

    展開の可能性と飽和 野生動物の棲み分け 

    組織における人員配置 市場における価格変動 

    作曲における音符の配置 作文における語句の配置 

     

    などなど 

     

    その事例は広く分野を超えて 

    枚挙にいとまがない。

     

    それぞれの場におけるそれぞれの状況が 

     

    どのように伝わり 

    どのように感知され 

    どのように対応されるか 

     

    という問題についても 

    やはり 

     

    それぞれの場のそれぞれの状況による 

    としか答えられない気がする。

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  • モウセンゴケ

    2016/12/22

    変な詩

    つまり 結局のところ 

    わかり合えない感性の人たちとは 

    永遠にわかり合えないのだな 

    と思うのですよ。 

     

    なんと申しますか 

    あの ぬとぬとっとした 

    おぞましさ 気色悪さたるや 

    まさに筆舌に尽くしがたく 

     

    無理にたとえようにも 

    生きた綿アメに首を絞められる 

    とでも申しましょうか 

    モウセンゴケ 

     

    いやもう どうにもこうにも 

    激動の 世代格差のまにまに浮かぶ 

    よしなしごとの ゴミ屋敷 

    なのでございます。

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  • 被告の包丁

    2016/12/21

    愉快な話

    わたくし、包丁です。

    答弁書に沿って答弁させていただきます。

     

    被告でありますところのわたくし、いわゆる文化包丁は 

    原告でありますところの検察官殿によって今回の凶悪犯罪 

    強盗致死事件に凶器として加担した、と糾弾されました。

     

    しかしながらわたくし、本来は料理道具です。

    なかなか重宝するという評判の日用品であります。

     

    凶器となる可能性はあったにせよ、日々の食事を用意するのに 

    必要不可欠な存在であると常日頃より自負しております。

     

    たまたま今回の事件おいて凶器として使われてしまいましたが 

    当然ながら、これはわたくしの本意ではありません。

     

    わたくしを不当に扱い、強制的に使用した加害者の独断です。

    わたくしに抵抗の術はなかったのです。

     

    現場にわたくしがいたから殺害が成立した、というのが

    原告の主張でありますが、これにはまったく承服しかねます。

     

    わたくしは常に現場にいなければならなかったのです。

     

    もしわたくしが台所に待機しておらねば、殺害された被害者は 

    日々の暮らしに大変な支障をきたしていたはずです。

     

    つまり、わたくしが台所の包丁差しに置かれてあったのは 

    被害者本人の自由意思による決断の結果なのであります。

     

    わたくしの存在自体にいくらか悪しき要素があるとしても 

    それを含め、わたくしは必要とされていたのです。

     

    いわゆる「必要悪」なのであります。

     

    理想的な現実ではなく、現実的な理想と申しますか 

    妥協と協調による必然的な産物なのであります。

     

    皆さん、理想という名の夢を法廷で見ないでください。

    どうか不具合だらけの現実を真摯に見つめてください。

     

    わたくしもその被害者のひとりなのです。

     

    よって、被告でありますところのわたくしの無罪を 

    わたくし包丁は断固として主張いたします。

     

    わたくしからの答弁は以上です。

    ご清聴、ありがとうございました。

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