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Tome館長

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    Works 3,356
  • ボクサー

    彼はボクサー

     左ジャブ 

     

    闘う他に能がない

     ブロック 

     

    殴り合うのが彼のすべて

     右ストレート 

     

    人を殴り倒すという 

    日常生活において

    やってはいけない行為が許される 

     

     スウェーバック

     フック アッパー カウンター 

     

    ボコボコに殴られて

     ボディーブロー 

     

    マウスピースが飛び出した

     ダウン 

     

    何が彼をそうさせる

     クリンチ 

     

    生まれて 落ちて ぶつかって 

    頭の打ちどころ 悪かった

     

     ノックアウト

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  • 灰色の庭

    色がない。色彩がない。

    黒くもなければ白くもない。

     

    灰色の空の下に灰色の庭。

    灰色の土、灰色の草、灰色の塀。

     

    灰色の庭に誰かが立っている。

    見覚えのない灰色の笑顔を浮かべてる。

     

    灰色の帽子を持ち上げて挨拶すると 

    灰色の腕が手首から折れる。

     

    折れたところから砂になる。

    さらさらさらさら砂になる。

     

    肩も胸も次々と砂になる。

    砂になっては地面にこぼれる。

     

    やがて灰色の笑顔も砂になる。

    壊れた砂時計みたいに砂になる。

     

    みんなみんな砂になる。

    静か過ぎる午後。灰色の庭。

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  • ねてしまおう

    ねよう ねよう 

    ねてしまおう 

     

    おきていたって つまらない 

     

    あめは ザーザー 

    くるま ブーブー 

     

    ぼく グーグー

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  • あたしの世界

    勝手に入らないで! 

     

    ここは あたしの世界。

    誰にも邪魔させないんだから。

     

    踏み込めば 決して生かして帰さない。

    死ぬほど後悔させてやる。

     

    ここは治外法権。

    あたしが法律、あたしが絶対。

     

    法則だって 真実だって 善悪だって 

    みんなみんな あたしが決める。

     

    うるさい! 

    でしゃばらないで! 

     

    あんたは よそ者、余計者。

     

    狭っ苦しいあんたの世界に 

    未来永劫 引っこんでなさい!

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  • やめなくちゃ

    そういうことは 

    やってはいけなかったんだ。

     

    許されるかと思っていたけど 

    そうではなかったんだ。

     

    やり過ぎたのだ。

    調子に乗り過ぎた。

     

    怒られて、厳重注意。

     

    もうできないのだ。

    やめるしかない。

     

    悪気はなかったんだけどな。

    そうは思ってくれないのよね。

     

    どうにも仕方ない。

    はあ、残念。

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  • かざぐるま

    風が 吹くと 

    くるくる まわる 

     

    まわる まわる 

    かざぐるま 

     

     

    いつも いつも 

    そこにいて 

     

    風まかせ 芸もなく 

     

    くるくる くるっと 

    まわるだけ 

     

     

    それ以上は 望まない 

    それ以上は 望めない 

     

    くる日も くる日も 

    くるくる くるくる 

     

    くるくる くるっと 

    まわってばっかり 

     

    かざぐるま

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  • ほっといて

    みんな、どうしたの? 

     

    仕事で忙しかったり 

    日帰り旅行に出かけたり 

     

    たまには顔だって見たいのに 

    なかなか会えない。

     

    「悪い。また今度」

     

    スケジュールぎっしり 

    連絡すら ままならない。

     

     

    そんなのやめて 

    そんなのほっといて 

     

    やらなくてもいいことなら 

    やらなきゃいいのに。

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  • 夜の闇の記憶

    夜の闇を恐れなくなったのは 

    いつの頃からだったろう 

     

     

    太古から綿々と続く 

    おぞましき体験の集積であろうか 

     

    形定まらぬ恐怖の対象が 

    無数に蠢うごめいていた 

     

     

    あんなものがいるかもしれない 

    こんなものがいそうな気がする 

     

    そんな恐ろしいところに顔をさらしたままでは 

    不安で不安で とても眠れなかった 

     

    小さくて 弱くて 

    どうしようもないくらい臆病だった 

     

     

    あの頃 あんなに怯えていたのに 

    今では その記憶すら消えそうになる

     

    いつか平気でいられる夜は訪れるのかと 

    遠い将来まで心配していた 

     

    あのまだ幼き頃の 

    あの漆黒の 夜の闇

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  • ほどほどの関係

    あなたの悩みは 

    ほとんど私の悩みでもあるけれど 

     

    あなたの苦しみは 

    厳密に私の苦しみとは言えない。

     

    ましてや 

     

    あなたの痛みは 

    決して私の痛みではあり得ない。

     

     

    ただし、その代り 

     

    私の苦しみは 

    厳密にあなたの苦しみではなく 

     

    私の痛みもまた 

    決してあなたの痛みではないはず。

     

    つまり 

     

    良くも悪くも 

    お互い様というわけだ。

     

     

    ほどほどに温かくて 

    ほどほどに冷たい。

     

    そのような関係で 

    いいのではないかな。

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  • アカリ

    君は 

     

    その名前ほどには 

    明るくない。 

     

     

    白熱電球ではなく 

    蛍光灯でもなく 

     

    ましてや 

    LEDではありえない。 

     

     

    優雅だったり 

    コミカルだったり 

     

    おどろおどろしかったり 

    悲痛だったりして 

     

    不安定で 危険で 

    落ち着かなくて 心配で 

     

    ほんのちょっとした吐息に 

    ゆれて消えそうな 

     

    ロウソクの炎が 

    ふさわしい。

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