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  • ルロイ広場

    2008/11/28

    明るい詩

    ルロイ広場の夜はふけて
     手招きするは 湿った月

       あちらこちらの梢の先から
        噴水みたく あふれるお酒

          ほら あの子が笑う
           ほら あの子が踊る


    ルロイ広場の夜はふけて
     焚火の上でこげる星

       誰もかれも浮かれ騒ぐよ
        笛と太鼓と足拍子

          ほら あの子が笑う
           ほら あの子が踊る
     

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  • 立方体の部屋

    あなたはひとり そこにいる


    床と天井は 正方形
    四方の壁も 正方形

    ドアも窓もない 立方体の部屋


    家具はなく 照明さえない
    なのに部屋全体が 明るい

    あなたの影は どこにも見えない


    壁も床も天井も 白く滑らか

    あなたは 息苦しさを感じる

    見えない出口を 探そうとあせる


    おそらくあなたは 壁を押すだろう

    すると その壁が床に変わる

    床だった面は 壁になる
    反対側の壁は 天井になっている


    床にうつ伏せに 倒れているあなた

    立ち上がれば 同じ部屋

    白く滑らかな 立方体の部屋


    あなたはもう 呼吸さえ忘れてる
     

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  • 妖 精

    2008/11/26

    愛しい詩

      触れたら魚になり
      つかんだら泡になる

      泣いたって
      知らんぷり

      いじわるな君の性格


    「浜辺で遊んでると、波にさらわれるよ」


    心配するけど
    どうせ君のことだから

    誰にも邪魔されることのない海底で

    夢を見ながら
    眠っているんだろうね



      触れたら鳥になり
      つかんだら風になる

      見つめても
      知らんぷり

      自分勝手な君の性格


    「雲の上に乗って、雪にでもなるつもり?」


    忠告したって
    どうせ君のことだから

    誰にも征服されることのない山頂に

    ひとり優雅に
    舞い降りるんだろうね
     

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  • ようこそ

    2008/11/25

    明るい詩

    ようこそ ようこそ


    パパは金持ち ママ美人
    弟は賢くて 妹かわいくて

    おまけに私ときたら 狂ってる

    なんて素敵なマイファミリー!


    庭には五本脚の犬がいる
    屋根には三日月刺さってる

    玄関の扉は逆さまで
    廊下の真ん中 穴がある

    居間はプール 寝室クール
    台所なんか どこにもない


    さあさ 遠慮はしないでね

    ワニの靴なんか 脱いじゃって
    こんな家政婦 脱がしちゃって

    二階に上がって 窓を開けたら
    そこは秘密の地下室よ

    壁紙 血でにじんでるけど
    中世の家具 ずらり並んでるから

    きっと気に入ってもらえるわ


    これ なんだかわかる?

    洒落た陶器の便器じゃなくて
    ナマズヒゲ仕掛けの管弦楽団

    一緒に踊りたいけど
    あいにく指揮者は私なの


    だから 勝手に踊ってよ

    どうぞ 勝手に踊ってよ
     

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  • 軽 蔑

    2008/11/24

    愛しい詩

    僕は君が好きだけど
    君のすべてが好きなわけじゃなく

    好きなのは君だけじゃない。


    君を盗み見ながら
    僕が描くかもしれない似顔絵は

    きっと君に似ていない。


    僕は君が欲しいけど

    君が望むような僕なら
    たぶん君なんか欲しくない。


    君が僕でない誰かと愛し合えば
    僕は死にたくなるだろうけど

    本当に死んだりなんかしない。
     

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  • 雪ん子

    なんにもない 暗い空だけど
    雪降れば 白いお山あらわれて

    村に雪ん子 やってくる


    雪みの 雪ぐつ 雪化粧
    リンゴ食べたような赤い頬

    笑顔こぼれて ぼたん雪

    泣いたら みぞれ
    手袋ぬれて

    粉雪 綿雪 雪わたり

    すべって転んで 雪合戦


    雪ん子 村の子らと遊ぶけど
    そんなに長くはいられない

    雪がやんだら お山が消える

    お山消えたら 帰れない
     

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    • Tome館長

      2014/09/03 09:52

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2011/02/15 18:33

      ケロログ「しゃべりたいむ」かおりサンが朗読してくださいました!

  • 水たまり

    2008/11/23

    明るい詩

    にわか雨の雨あがり

    水たまりに虹が架かる

    元気に跳び越える子どもたち


     長靴に落ちた
     蛙の子

     迷子の迷子の
     河童の子

     傘の花咲き
     実がなって

     みんなアヒルが
     食べちゃった


    ペダルに足の届かない少年が
    買ってもらった自転車で虹を追う

    「どうして僕から逃げるの?」


    飛べない自転車では
    虹を渡れない

    水たまりの虹が
    壊れてしまうから
     

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    • Tome館長

      2012/07/21 15:27

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2012/07/18 11:17

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • ミーミとミミー

     
    耳の穴の奥に 小人が住んでいる。


    小人は子どもで ふたりいて

    右耳は男の子で ミーミ
    左耳は女の子で ミミー

    どちらもとっても いたずら好き。


    真夜中、眠っていると
    耳の穴の奥から 這い出てきて

    ウーン と背伸びしてから
    耳たぶにぶら下がる。


    カタツムリの背に乗って
    鼻息でラッパをプカプカ吹いたり

    ハンマーで鼓膜を
    ドンドン叩いたりする。


    だから、病気になったときに
    耳鳴りがしたりするのは、じつは

    ミーミとミミーのせいなのだ。
     

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  • 迷 い

    2008/11/21

    暗い詩

    気づかない
    ふりをしていた


    黙って
    うつむいたままの

    君が

    そこにいるのに

    なにかに心を奪われ

    まるで君なんか
    そこにいなくて

    昨日のことなんか
    もうすっかり忘れてしまって

    意味のない笑みを

    いやらしく
    横顔に浮かべながら

    なにも気づかない
    ふりをして

    むしろ見せつけるように

    君がそこからいなくなるまで

    君ではない
    誰かと

    君に関係のない
    なにかについて

    ずっと
    話し続けた


    迷いがあった

    そんな気がする
     

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  • 魔法の目薬

    2008/11/21

    暗い詩

      母親は
      魔女に違いない。

      呪文を唱え、
      我が子に魔法の目薬をさす。


    一滴で、見えるものが見えてくる。

    二滴で、見たいものが見えてくる。

    三滴で、見るべきものが見えてくる。

    四滴で、見えないものが見えてくる。

    五滴で、見たくないものが見えてくる。

    六滴で、見てはいけないものが見えてくる。

    七滴で、見えるものが見えなくなる。
     

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