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2011/05/14
春になれば
目覚めなければ
ならなくて
まだ眠りたのに
なんとも
息苦しくなってきて
切なくて
どうにも
我慢できなくなって
虫ケラども
いとわしきもの
ぞろぞろ
うじゃうじゃ
這い出てくるのです。
2011/05/13
なんにもなれなかった。
棋士にもなれなかった。
画家にもなれなかった。
なんにもなれなかった。
科学者にもなれなかった。
漫画家にもなれなかった。
なんにもなれなかった。
詩人にもなれなかったし、
作家にもなれなかった。
なんにもなれなかった。
天才にもなれなかったし、
秀才にすらなれなかった。
サラリーマンにはなれたけど、
嬉しくもなかった。
そのうちサラリーマンもやめてしまった。
やめてしばらくして
またサラリーマンになったりしたけど、
やっぱりやめてしまった。
なんにもなれなかった。
作曲家にもなれなかったし、
作詞家にもなれなかった。
なんにもなれなかった。
哲人にもなれなかった。
仙人にもなれなかった。
このまま
なんにもなれないまま
死体になって
お骨になって
でも仏にはなれなくて
きっと幽霊になったりするんだろな。
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2011/05/12
ポタッ ポタッ ポタッ ・・・・・・
冷たい水の雫が
私の額に落ちてくる。
いつまでもいつまでも
限りなく・・・・・・
縛られて動けなくて
目も見えない。
耳さえ聞こえない。
眠りたいのに眠れない。
眠れないから眠りたい。
眠りたいけど眠れない。
おんなじことの繰り返し。
そういう類の拷問があるということ
昔、本で読んだことがある。
こんなふうに苛める方法
いったい誰が考えたんだろう。
あるいは
私かもしれないけど・・・・・・
ポタッ ポタッ ポタッ ・・・・・・
2011/05/07
頭に釘刺して 眠れぬ夜
「プロジェクトX」読みながら 自炊す
魚肉ソーセージ 噛んで吐き 噛んで吐き
俎板と包丁 洗いたくなきが故に
震災関連倒産 六十六社とや
ならば 無関連倒産 幾社ぞや
などと思えり
その場しのぎで 良かれなら
詐欺や横領 社長も総理も 楽なもの
パソコン インターネット なかりせば
世に表すこともなき 余生かな
指折りて 五七五 五七五七七と
定型こだわる 俳人歌人の 気が知れぬ
詠んで好ければ 読まずとも良し
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2011/05/04
兎よ 兎
跳ねろよ 兎
誰だ おまえは
偉そうに
そんなこと
言われなくても
兎は 兎
放っておいても
跳ねるよ 兎
2011/05/03
目に見えず
音もなく
地下に流るる
水脈は
地上の日照りに
かかわらず
世間の風に
波立たず
地中深く
井戸掘る者にぞ
得させてん
2011/05/02
ライオンのところに
黄金の王冠が届きました。
「百獣の王たる者へ」
と手紙が添えてあります。
誰からの贈り物なのか不明ですが
ライオンは大喜び。
さっそく王冠を頭に載せてみました。
「威厳があります」
「とても偉そうでございます」
なかなか評判です。
でも、ライオンの頭が大きすぎて
動くと王冠が転がり落ちてしまいます。
王の威厳を保つため
ライオンはほとんど動けなくなりました。
家来たちの話を聞いて指示を出したり
でなかったら眠ってばかり。
そういうわけで、それからというもの
獣たちはライオンを恐れる必要がなくなりました。
誰が贈ったのか、いまだに謎ですが
それはともかく
めでたし、めでたし。
2011/04/29
「昔、ここに火力発電所があったんだよ」
わしは孫の未来に語りかける。
「じつに大きな建物でな、
もうあんな大きな建物は作れないだろうな」
わしのすぐ横で
未来は無言のままブランコを漕いでいる。
「わしも見たことないが、もっと昔は
どこかに原子力発電所というのもあったんだそうだ」
「うん。教科書に書いてあった」
まっすぐ前を向いたまま
未来が呟く。
開かれた窓の向こう
丘の上に巨大な風車がいくつも見える。
「今は、水力と風力と太陽光と地熱と潮力と・・・・・・」
「人力発電!」
「・・・・・・そうだな」
未来は怒ったように
人力発電ブランコを漕ぎ続けている。
せっかくの休日なのに
子どもは素直に遊べない。
老人も安楽に隠居できない。
どうしてこんなことになってしまったのか。
車輪のない家庭用人力発電自転車の
ペダルが重い。
2011/04/24
おい、おまえ。
なに読んでんだよ。
おまえだよ、おまえ。
これ、読んでるおまえ。
そう、おまえだよ。
とぼけた顔すんなよ。
あー、まだ読んでる。
「読むな」って書いてあるだろが。
だから、もー読むなって。
意味わからんのか、おめーは。
なに笑ってんだよ。
冗談じゃねーからな。
あっ。
それでも読んでる。
くそっ。
強情な奴だな。
こっちにも覚悟があるぞ。
読んだの、後悔させてやる。
なにもできねーと思ってるだろ。
ふん、読みが甘いんだよ。
とんでもねーこと書いてやるからな。
おまえの秘密ばらしてやる。
あっ。
おれが知らねーと思ってるな。
あめーぜ、おめーは。
あんな恥ずかしーことしといて
よくもまー平気でいられるな。
まーだ読むつもりか。
おまえ、いー加減にしろよ。
もー頭に来たからな、おれは。
どーなっても知らねーぞ。
いーか、書くぞ。
やめるなら今のうちだぞ。
おまえ、飲んで食って寝て
ウンコして小便して、屁ーこくだろ。
ああ、恥ずかしー。
なんて恥知らずなんだ、おめーは。
おいおい、まだ読んでるよ。
もー勘弁してよ。
すみません。
ごめんなさい。
もー読まないで。
あなた、後生ですから。
お願いしますよ。
それ以上読まれると
あたし、恥ずかしくって。
ま、まだ読んでる。
やめてー。
う、うそっ。
きゃー、死ぬー。
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2012/11/13 19:13
改作「聞くな」を「こえ部」で朗読していただきました!
【 聞くな 】
おい、おまえ。
なに聞いてんだよ。
おまえだよ、おまえ。
これ、聞いてるおまえ。
そう、おまえだよ。
とぼけた顔すんなよ。
あー、まだ聞いてる。
「聞くな」って言ってるだろが。
だから、もー聞くなって。
意味わからんのか、おめーは。
なに笑ってんだよ。
冗談じゃねーからな。
あっ。
それでも聞いてる。
くそっ。
強情な奴だな。
こっちにも覚悟があるぞ。
聞いてるの、後悔させてやる。
なにもできねーと思ってるだろ。
ふん、読みが甘いんだよ。
とんでもねーこと言ってやるからな。
おまえの秘密ばらしてやる。
あっ。
おれが知らねーと思ってるな。
あめーぜ、おめーは。
あんな恥ずかしーことしといて
よくもまー平気でいられるな。
まーだ聞くつもりか。
おまえ、いー加減にしろよ。
もー頭に来たからな、おれは。
どーなっても知らねーぞ。
いーか、言うぞ。
やめるなら今のうちだぞ。
おまえ、飲んで食って寝て
ウンコして小便して、屁ーこくだろ。
ああ、恥ずかしー。
なんて恥知らずなんだ、おめーは。
おいおい、まだ聞いてるよ。
もー勘弁してよ。
すみません。
ごめんなさい。
もー聞かないで。
あなた、後生ですから。
お願いしますよ。
それ以上聞かれると
あたし、恥ずかしくって。
ま、まだ聞いてる。
やめてー。
う、うそっ。
きゃー、死ぬー。
2011/04/23
夜空の月は
麗しけれど
湖面の月は
いと妖し
天地さかさま
あなたの心の
裏返し
寄らば割れ
触れなば濡れし
笹の舟
どんなにおめめ
凝らしても
小さな星は
見えませぬ