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2016/10/05
おいらは 詐欺師
夢ない人に 夢を見せ
愛ない人に 愛を匂わせ
無知に 微笑み
無邪気に 笑い
人のよさに つけ込み
やさしさに すり寄る
弱み見つけりゃ 握って離さぬ
甘さ感じりゃ 骨までしゃぶる
人間不信 えじゃないか
神も仏も ご不在じゃ
シロサギ アカサギ
アオサギ クロサギ
巷に詐欺師 色々あれど
笑って済ませる
愉快な詐欺師は いかがかな
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2016/10/04
この部屋に絵を飾ると、必ず落ちる。
額装して壁の釘にヒモで引っかけておいても
フォトスタンド式に棚の上に置いても
いつの間にか床に落ちている。
釘が抜けたり、ヒモが切れたり、地震があったわけでもない。
誰かが故意に外したり落としたりした感じなのだ。
地縛霊のような見えない者の悪戯だろうか。
ひょっとすると、飾る絵が悪いのかもしれない。
立体交差する川とか、犬の町とか
私には変な絵を飾る趣味があるのだ。
しかし、まったく飾り気のない部屋はさびしい。
人がいると煩わしいが、絵は違う。
なので、近頃は最初から絵を床に落としておく。
そういうもんだと思って見下ろせば
なんとなく落ち着いた気分になれる、というもんだ。
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2016/10/03
ねえ 君
たまにはね
痛い目にあうのも いいもんだよ
失恋する とか
悪酔いする とか
仕事で失敗する とか
土砂降りの雨に濡れる とか
こんなこともあるさ と
そんなにうまくはいかないんだ と
調子に乗ってはいけないんだ と
おれはバカなんだ と
自覚して うなだれて
反省して 立ち直って
ひとまわりも ふたまわりも
大きくなってやるんだ
てね
だから 君
たまにはね こっぴどく
痛い目に あってみるものさ
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2016/10/02
マナーの基本は、周囲にあまり迷惑をかけないこと。
最低限の処世術である。
余計なサービスなんぞする必要はない。
そも、まったく迷惑かけずに生きるのは無理。
存在するだけで迷惑な場合すらあるから。
なので、多少の迷惑なら許される。
と言うか、許すべきである。
許せないとすれば、逆に迷惑となろう。
迷惑に迷惑で返してどうする。
つまり、多少の迷惑なら我慢するのもマナーである。
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2016/10/01
大雨が降ったという記憶もないが
洪水でもあったのだろうか。
道路が川になっている。
これでは買い物に出られない。
二階のベランダから家の前の通りを見下ろす。
通勤のサラリーマンがカヌーを漕いでいる。
通学の小学生はビニールプールごと流されている。
ことさら驚いている様子もない。
まるで私がのほほんと余生を送っている間に
秘密裏に都市計画が進んでいたかのようである。
近頃、世間の流れがわからない。
テレビは家にないし、新聞も取ってないのだ。
それはともかく、なんとかしなければ。
小舟になるようなもの、家にあったろうか。
洗面器やバケツでは役に立つまい。
通販でカヌーでも買うしかないかな。
なんにせよ、面倒臭いし、えらい出費だ。
私は溜息をつきながら
寝ぼけ頭のままパソコンの電源を入れた。
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2016/09/29
出た 出た ハエが
ハエが出た
夏になったね ハエが出ちゃ
生もの いたむ すぐ腐る
ウジウジ ウジわく
うっさい うっさい ハエになる
お皿の上で もみ手して
朝も早よから いい気なもんだ
ああ 夏だ
不潔な夏だ ハエの夏
出た 出た ハエが
ハエが出た
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2016/09/28
膝小僧がいるのだから
やはり、肘小娘もいるのである。
実際、肘は小娘に限るな。
男はもちろん、おばさんもいかん。
しわが寄ってたり黒ずんでたりすると
思わず目を背けたくなる。
その点、小娘の肘はきれいだ。
ひざまずいて肘掛け椅子になりたいくらいだ。
それに、あの柔らかそうな折り目のところに
グッと挟まれるのも悪くないな。
おいおい。そんなこと言ってると
聞いてる奴から肘鉄砲くらいかねんぞ。
脇腹とか、みぞおちとかに。
または脳天にエルボードロップ、
別名「肘落とし」とか。
さすがに痛いだろうな。
ふん。しかしまあ、おじさんとしては
小娘の肘小娘なら、甘んじて受けようではないか。
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2016/09/27
じめじめ じめっと
梅雨に入り
だらだら だらっと
汗が出る
軒下の 巣の中 ツバメの子
口をパクパク 餌おくれ
休む間もなく 親ツバメ
虫を捕え 運び いそがしい
汗かいてる 様子もなくて
カメラ向けつつ 感心す
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2016/09/26
風が 吹くと
くるくる まわる
まわる まわる
かざぐるま
いつも いつも
そこにいて
風まかせ 芸もなく
くるくる くるっと
まわるだけ
それ以上は 望まない
それ以上は 望めない
くる日も くる日も
くるくる くるくる
くるくる くるっと
まわってばっかり
かざぐるま
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2016/09/25
「美少女地獄」というのは
ウスバカゲロウの幼虫の巣、アリジゴクに
何気なく近寄ったアリが陥るように
美しい少女たちが堕ちてしまう地獄である。
普通の少女なら大丈夫だったろうに
なまじ美しく生まれ育ったばかりに
その仕掛けられた罠に近寄ってしまい
どうにも取り返しのつかないことになる。
見目麗しければ、どうしても人目惹き
物心ついたばかりのまだ幼い頃から
蝶よ花よと褒められ、煽てられ
いやでも美少女に成長してしまう。
すると、砂糖に群がるアリのごとく
いかがわしい誘惑のあの手この手が
すり寄り、撫でまわし、揉みあげて
いけない方へ方へと彼女らを導く。
出版物やら広告やらが巷に乱れ飛び
よからぬ甘言を弄する鏡やら
華やかなすり鉢状のステージやら
嘘っぽい夢のような日々が演出される。
ところが、そうこうするうち
あれよあれよと浮かれているうちに
ずるずるずるずる滑り落ちてしまい
もうにっちもさっちも抜け出せなくなる。
隠れていた怪物が地中から這い出し
そのおぞましい姿を見せつけるように
その醜い本性をむき出しにして
怯えるばかりの美少女たちに襲いかかる。
これがつまり、美少女地獄である。
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