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    Works 3,356
  • 宇宙の歪み

    2016/10/28

    論 説

    慣性系において真空中の光速は一定とのこと。

    なので、長さの単位は一定時間に進む光の距離で定義される。

     

    ところで、2mの棒の長さは 

    1mの棒の長さの2倍ぴったりなのだろうか? 

     

    または、2m先の鏡に反射して戻ってくる光の所要時間は 

    1m先の鏡に反射して戻ってくる光の所要時間の 

    厳密に2倍なのだろうか? 

     

    そもそも、1秒間の2倍の時間は厳密に2秒間なのか? 

     

    と言うか、果たして宇宙の歪みは 

    その宇宙の中で計測可能なのだろうか?

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  • チョコレート色

    2016/10/26

    変な話

    早朝のオフィス。

    主任が下請け会社の課長と話をしている。

     

    これから地方へ出張らしい。

    新製品製造現場の立会であろう。

     

    だが、なんとなく気になることがある。

    この主任はすでに退職したのではなかったか。

     

    「昨日は飲んだの?」

    下請け会社の課長が声をかけてきた。

     

    「いいえ」と、愛想のない私。

     

    「ああ、そう」と、つまらなそうな課長。

    「近頃の文学というのは、こんなんでいいのかね」

     

    近頃の文学は知らないが、昨日は飲む暇などなかったはず。

    担当していた製品にクレームが発生したのだ。

     

    いや、待てよ。

    これから発生するのであったか。

     

    事実の認識は曖昧であるが、いずれにせよ 

    酒を飲んでも問題の解決にはならない。

     

    ふと気づくと、もう二人の姿はない。

    その差し替えのように部長が出勤してきた。

     

    額に汗をかいている。

    「チョコレートはあるか?」

     

    記憶を探る。冷蔵庫のイメージが浮かぶ。

    「一枚だけあると思います」

     

    「一枚だけ、ということはあるまい」

    部長の声は怒りに満ちている。

     

    そう言えば、四箱ほど購入したばかりだ。

    なるほど、一枚だけでは納得しかねる。

     

    あやしい。これは何かある。

     

    これまでの悩みが怒りに変わってゆく。

    「クレームの原因はチョコレートですね」

     

    部長は返事もしてくれない。

    安易な責任転嫁を見抜かれたのであろうか。

     

    私は、あわててデスクの引き出しを開ける。

    そこにチョコレート色の沼があった。

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  • 意訳十戒

    2016/10/24

    空しい詩

    快楽の源を外に求むるなかれ。

     

    偶像を本物と見なすなかれ。

     

    本音をみだりに口にするなかれ。

     

    疲れたら安息せよ。

     

    敬うべき人物を敬え。

     

    無闇に殺すなかれ。

     

    無責任に姦淫するなかれ。

     

    安易に剽窃するなかれ。

     

    その場しのぎに偽証するなかれ。

     

    隣人を妬むなかれ。

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  • こんなんじゃない

    2016/10/22

    暗い詩

    これじゃない それでもない 

     

    求めているのは 

    こんなんじゃない 

     

     Hey! 

     

    違う 違う 

    だめだ だめ

     

    おそらく 

    ここにゃ あるまいよ 

     

    他を あたろう 

    旅立とう 

     

    きっぱり さっぱり 諦めて 

    新天地を めざそうよ 

     

     Hey! 

     

    ただでさえ 才能ないのに 

    余裕もない 

     

    残された 時間は少ない 

    あとわずか 

     

     Hey! 

     

    やめろ やめろ 

    余計なことは 無駄なこと

     

    そんなこと やってる場合か 

    目を覚ませ 

     

     Hey! Hey! Hey!

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  • あたしの世界

    勝手に入らないで! 

     

    ここは あたしの世界。

    誰にも邪魔させないんだから。

     

    踏み込めば 決して生かして帰さない。

    死ぬほど後悔させてやる。

     

    ここは治外法権。

    あたしが法律、あたしが絶対。

     

    法則だって 真実だって 善悪だって 

    みんなみんな あたしが決める。

     

    うるさい! 

    でしゃばらないで! 

     

    あんたは よそ者、余計者。

     

    狭っ苦しいあんたの世界に 

    未来永劫 引っこんでなさい!

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  • 罠の多い村

    2016/10/20

    変な話

    「先住民の悪しき遺物」と呼ばれているが 

    この村には至るところに罠がある。

     

    落とし穴、仕掛け弓矢、落石、地雷、

    切れる吊り橋、迷路の洞窟、底なし沼。

     

    便利なので使い続けていると 

    そのうち逆に使われてしまう道具。 

     

    美しいので家に飾っておくと 

    住む人が病気になったり醜くなる人形。

     

    乗物は常に死と隣り合わせ。

    たとえ楽でも、安心できない。

     

    薬のほとんどは毒。

    うまい話にゃ裏がある。

     

    なので、ここの村人たちは質朴である。

     

    用もなく遠くまで出かけたりせず 

    必要のない持ち物は増やさないようにしている。

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  • バスに乗って帰る

    2016/10/19

    変な話

    よく思い出せないのだけれども 

    どこかでなにかのイベントがあったのだ。

     

    それが終わって家に帰らなければならないのに 

    こんなところで僕は雑誌なんか読んでる。

     

    こんなところというのはバス停の前で、その証拠のように 

    見知らぬ女の子が僕の肩を揺すって問う。

     

    「あなた○○の方ですよね。

     ○○へ帰るには、このバスでいいのですか?」

     

    そう問われてみると、自然に記憶がよみがえり 

    自信を持って次のように断言できた。

     

    「ええ、そうです。

     △△駅行きのバスなら、間違いありません」

     

    それで彼女は安心したらしく笑顔を浮かべ 

    辛抱強く待っていてくれたらしい停車中のバスに乗る。

     

    渡りに船とばかりに僕も続いて乗る。

     

    乗車券について運転手に尋ねると 

    「途中乗車の場合、中央で受け取ってください」

     

    くたびれた老婆が隠すように立っていたが 

    自動発行機の口から突き出ていた白いベロを引き抜く。

     

    最後尾の座席に腰を下ろせば、やれやれである。

     

    ところが、小学校から下校途中であろう男の子が 

    馴れ馴れしく声を掛けてくる。

     

    「おい。そんなこと許されると思っているのか」

     

    見知らぬ大人にどういうつもりか、と呆れたが 

    じつは僕を挟んで反対側の同級生に話しかけたのだった。

     

    しかし、そのように思えないこともない状況を利用して

    見知らぬ大人をからかっていないとも限らない。

     

    (なにしろ、近頃の子どもは油断ならないからな)

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  • 鍋のオフィス

    2016/10/18

    変な話

    暗いオフィスの狭い一室である。

     

    中央にデスクが寄せ集められ 

    その上にコンロがいくつか置かれ 

    丸底の黒い鉄鍋が火にかけられている。

     

    すぐに湯を沸かす必要が先ほどまであったはずだが 

    なぜか今、おいしそうな鍋料理を煮ている。

     

    デスクに座った数人の従業員たちは呆れ顔だ。

     

    もうひとつ土鍋もあったので 

    水を入れ、別のコンロで温め始める。

     

    階下からアルミ鍋を持って先輩社員が現れた。

    「すまん。ちょっと使わせてよ」

     

    そのままコンロに点火して手持ちの鍋を置く。

     

    階下の部屋にはコンロがないのだが 

    どうしても貧しさを感じてしまう。

     

    電気保温ポットが故障しているとしても 

    湯沸しより急がれる仕事がないのだろうか。

     

    そろそろ土鍋の湯を使いたいのだが 

    取っ手が熱くて素手では持ち上げにくい。

     

    隣室に入り、手頃なものはないかと探す。

    使われることなく、誇りをかぶったデスクの群。

     

    殺伐とした広い室内には誰もいない。

    ゴーストタウンを連想させる。

     

    粗品の社名入りタオルを見つけたところで 

    後輩社員が土鍋を素手で持って現れた。

     

    「手、熱くないの?」

    「平気です」

     

    かなり無理しているような気がする。

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  • 想いの形

    2016/10/17

    明るい詩

    集め、組み合わせ、分類し 

    選び、使い、提示する。

     

    これではない。

    あれでもない。

     

     

    ほのかな想い 

    形となーれ。

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  • 時空意識

    2016/10/16

    空しい詩

    明日になれば 

    今日が昨日であるごとく 

     

    今 この瞬間は 

    現在であると同時に 過去未来。

     

     

    また ここはここ、

    ここはあそこでなけれども 

     

    もし ここがここでなかりせば 

    ここはあそこで あそこ ここ。 

     

     

    すなわち なべて時空 

    意識のありよう次第なり。

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