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  • 短すぎる昔話

    昔むかし、

    あるところに
    おじいさんとおばあさんが

    いたのですが、

    そのうち死んでしまいました。


    めでたくなし、めでたくなし。


    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【鋭すぎる推理】


    「おまえが犯人だ!」

    「・・・・・・まだ殺してないんだけど」

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【熱すぎる恋愛】


    「好きだ!」

    「私もよ。あああ・・・・・・」


    焼き鳥の
    串とトリ皮。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【怖すぎる怪談】


    おまえは

    すでに死んでいる。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【くだらなすぎる笑い話】


    お願い。

    笑って。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【もっと短すぎる昔話】


    昔むかし・・・・・・

    忘れてしまった。


    あほらし、あほらし。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【もっと鋭すぎる推理】


    「本当の犯人は、神だ!」

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【もっと熱すぎる恋愛】


    「あああ・・・・・・食べちゃった」

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【もっと怖すぎる怪談】


    この宇宙はね、

    じつは幽霊なんだよ。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【もっとくだらなすぎる笑い話】


    ちんこ。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【短すぎる未来話】


    未来みらい、

    おじいさんもおばあさんも

    どこにも
    いないのでした。


    おそろし、おそろし。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

    【さらに短すぎる昔話】


    昔むかし、

    地球には
    人類がいたのですが

    もう絶滅してしまいました。


    おろかし、おろかし。
     

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  • 勇者も楽じゃない

    さて、おれは勇者だ。


    買ったり拾ったり奪ったりした
    チンケな武器を携え、

    姑息とも言えるような
    怪しげな能力を身に付け、

    裏切らないよう洗脳されてるらしい
    信頼できる仲間も得て

    ひねくれた謎を解いたり、
    あまり芸のない怪物を倒したりの

    お定まりの苦労の末、

    旅の最終目的地である敵の城に
    とうとうやってきたわけだ。


    心優しい絶世の美女という噂の

    ええと、その
    ちょっと名前は忘れてしまったが

    つまり、なんとか姫が
    ここに囚われているはずなのだ。

    これから、そのお姫様を
    勇者様が救出することになっている。


    ・・・・・・とまあ、なぜか
    そういうことになっているわけだけどさ、

    ここまで来て
    いまさらなんだけどさ、

    なんだか
    かったるいんだよね。

    どうも
    やる気になれんのよね。


    だいたいだよ、

    世間の噂なんか当てにならないし、
    そもそも

    こんな悪の巣窟みたいなところに
    美女が囚われていたら

    どう考えたって
    無事でいられるはずないよな。


    うん。

    まず絶対に
    なんかされちゃってるよ。


    それに案外、

    彼女、本性あらわしてさ、
    結構よろしくやってたりして・・・・・・


    ふん。

    まあ、なんにせよ

    いまさら名誉とか出世とか
    めんど臭いだけだよな。


    あらかじめ用意されているという
    それらしき財宝だけ奪って

    どこか静かなところで
    のんびり寝て暮らそうかな。


    うん、うん。
    いいね、いいね。

    そうしましょう、そうしましょう。
     

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    • Tome館長

      2013/06/02 02:05

      「Spring♪」武川鈴子さんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2013/06/01 17:56

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 天 国

    2012/06/22

    変な話

    天国は楽しいところです。


    善人が亡くなると魂は天に昇り
    天国で天使と一緒に暮らすことになります。


    気に入られ好かれ愛され注目され
    感心され歓迎され褒められ称賛され

    撫でられ揉まれ抱かれ持ち上げられて

    気候は温かく、または涼しくて
    穏やかな日差し、心地好い風が吹いて

    ありとあらゆるおいしい飲み物があり
    ありとあらゆるおいしい食べ物があり

    また、飲んだり食べたりしなくても一向に平気で

    水中に潜ったり
    空中を飛んだり

    どこへでも行くことができて

    いつも楽しいことばかりで

    刺激があって面白く
    感動や感激の連続で

    なんでもわかるから尊敬され

    信頼され信用され
    意志や信念のままに実行され

    すべてを受け入れ、すべてを与え
    良い方向へ限りなく世界が広がり続け

    飽きることも疲れることもなく
    倦怠も憂鬱も苦痛も困難もなにもなく

    したくないことはしなくてもかまわなくて
    できないことはできなくてもかまわなくて

    もっとも望むままになんでもできるのですけれど

    それら喜びに満ちた出来事の数々が
    永遠のように繰り広げられ続けるのです。


    どんなことでも可能です。

    たとえば、もう一度生まれ変わって
    ふたたび地上に降り立つことさえできるのです。

    また、どんなことでも実現します。

    たとえば、もう一度死に直して
    地獄に落ちることさえできてしまうのです。


    このようなところが天国です。
     

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    • Tome館長

      2013/06/02 02:04

      「Spring♪」武川鈴子さんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2013/05/31 18:18

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 壊れた家

    2012/06/20

    空しい詩

    積み木の家

      チョンと押したら
       壊れてしまった。


    カードの家

      フッと吹いたら
       壊れてしまった。


    もともと家でも
     なんでも

       なかったんだけどね。
     

    Comment (1)

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  • ため息

    ハア・・・・ 

    ため息ばかり・・・・ 


    しあわせが 
    逃げてゆくかもしれないけど 

    逃げたくなるような 
    しあわせなら 

    そっと 
    逃がしてやろう。
     

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    • Tome館長

      2015/06/19 23:40

      「しゃべりたいむ・・」かおりさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2013/05/30 01:09

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • ゆっくり壊れる

    2012/06/18

    暗い詩

    ゆっくり壊れる
     夜もすがら

       なんの恨みもあるまいに

         ゆるゆるゆると
          ゆるゆると


    あやしく乱れる
     夜もすがら

       なんら手柄になるまいに

         あやあやあやと
          あやあやと
     

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    • Tome館長

      2013/05/28 10:36

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2013/05/28 10:33

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 考える配分

    2012/06/17

    論 説

    よくよく考えてみれば

    今、見えるものより
    今、見えないものの方が

    今、聞こえる声より
    今、聞こえない声の方が

    はるかに多いはずである。


    とすれば、われわれは

    今、見えるものより
    今、見えないものについて

    今、聞こえる声より
    今、聞こえない声について

    より多く考えるべきであろう。


    もし今、余裕があるなら。
     

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  • 幻影の荒野

    2012/06/16

    暗い詩

    どうして僕たちは
     こんな荒野にいるのだろう。


    にぎやかなのに
     淋しくて

      楽しそうでも
       つまんない。


    なんでもあるのに
     なんにもなくて

       なにをしたって
        なんにもならない。


    明るいはずが
     真っ暗闇で

      手探りしなきゃ
       歩けない。


    正しいことが集まって
     まちがったことになっている。

    良いことが寄り添って
     最悪なことになっている。


    どうして僕たち
     こんなふうになってしまったの?

       どうして
        どうして
         どうして


      木霊は返ってくるけど
       尋ね返されるだけ。

    いくら待っても
     求める答えは返ってこない。
     

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  • 地 獄

    2012/06/15

    怖い話

    地獄は恐ろしいところである。


    悪人は死ぬと亡者となり
    地獄に落ちて鬼に責められる。


    殴られ蹴られ折られ潰され
    刺され切られ裂かれ破られ

    ねじられ抜かれ曲げられ伸ばされて

    冷やされては凍らされ
    煮られ蒸され焼かれ炒められて

    とんでもないものを飲まされたり
    とんでもないものを喰わされたり

    逆にとんでもないものに飲まれ喰われては

    水中に沈められ
    地中に埋められ

    火中や溶岩に放り込まれ

    恐ろしい病気に感染させられたり

    悪化するまま痛むまま
    腐るままに放っておかれ

    辱められ軽蔑され非難され罵倒され

    騙され裏切られ
    意志や信念を捻じ曲げられ

    背負い切れない責任を背負わされ
    返済できない負債が雪だるま式に増え続け

    寝る暇も与えられず休みなく働かされては
    それまでの苦労が水の泡となり

    したくないことをさせられたり
    できるはずのないことをさせられたり

    反対にまるっきりなにもさせてもらえなかったり

    それら情け容赦ない責め苦の数々が
    終わりなき永劫の如く続けられる。


    どこにも逃げられない。

    絶望のあまり死にたくなるが
    あいにく、すでに亡者は死んでいる。

    どこにも救いはない。


    このようなところが地獄である。
     

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  • キリン

    2012/06/14

    楽しい詩

    アフリカのサバンナを渡る風のように
    アフリカのサバンナを駆けるキリン。

    ライオンに追われてるわけじゃない。
    ただ駆けたいから駆けるだけ。

    背が高い上に首が長いから
    草原の遥か遠く彼方まで見渡せる。

    こんなふうに爽快に駆けられるのは
    キリンとして生まれた幸せ。

    アフリカのサバンナを吹き抜ける風のように
    アフリカのサバンナを駆け抜けるキリン。

    おっと、駆け抜けてはいけないね。
    アフリカのサバンナの中で駆けるだけ。
     

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