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  • 電気工事士

    2016/02/17

    変な話

    胸騒ぎがして急いで帰宅すると 

    キッチンで男が電気工事をしていた。

     

    見覚えのない男ではあるが 

    壁の電灯スイッチのパネルを外している。

     

    ドライバーらしき道具で作業している状況からして 

    電気工事士であることが推測される。

     

    「いやいや、どもども、すみません」

    などと謝ったのに、作業中の工事士は返事もしない。

     

    約束した時間帯に留守をしていたからなのか 

    どうやら彼は怒っているらしい。

     

    そう言えば、どうやって彼は留守宅に侵入したのだろう。

     

    パネルを外した部分に小さいけれど傷口みたいな穴が見える。

    かなり危険な状態であることは素人目にもわかる。

     

    ところで、キッチンの奥には小さなテーブルがあり 

    その近くに幼なじみの友人のように思える男がいる。

     

    そして、テーブルを挟んで向かい側には少女。

     

    友人の娘であろうか、かわいらしい顔立ちではあるが 

    発達障害なのか、それとも見た目よりも幼いのか 

     

    しきりに体を動かしながら歌うように喋り続けているが 

    何を言っているのかさっぱりわからない。

     

    ぼやけて見える表情にも奇妙な印象を受けるが 

    見続けていてもなかなか見飽きない。

     

    どうやら工事は長引きそうである。

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  • テナントのあるフロア

    2016/02/16

    変な話

    そのフロアには複数の売り場区画があり 

    ジャンルに応じたテナントが配置されている。

     

    ただし、フロアのジャンルは不明。

    あるいは複数のジャンルがあるのかもしれない。

     

    少なくとも薬や化粧品を売る店はある。

    なぜなら、その店に彼女が出勤してきたから。

     

     

    私は、そのフロア全体の売り場主任のような立場にある。

    実際は違うとしても、そのような自覚がある。

     

    私は彼女の方へ顔を向けない状態のまま 

    背中越しに彼女の位置や言動を意識し続けている。

     

    せっかく久しぶりに再会できたというのに 

    このような態度をとらねばならない理由がわからない。

     

    ただし、久しぶりと感じるのは今この場であって 

    あのフロアにおいては毎日のように会えていた気もする。

     

     

    そのうち彼女は、昔の印象のままの姿で 

     

    私の好みでない別の女性と一緒に快活にお喋りしながら 

    私の目の前を知らんぷりして横切り 

     

    私の視界の外へ出てしまった。

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  • 西洋ネズミ考

    2016/02/15

    論 説

    かの西洋ネズミについて 
    かくも吾輩が考えてしまうのは 
    先ほど夢に見てしまったからであり
    決してあやつめが有名であるからではない。 

    吾輩にはさほどかわいいとも思えぬが 
    愛らしく感じる女子が多いらしく 
    キャーキャー騒がれておる事 
    いまいましくも存じておる。

    かの地ではダンスなど踊り 
    キャラクター商品は巷にあふれ 
    幼児性を執拗に母性愛へ訴えたいのか 
    高音域の耳障りな裏声で他愛なきをほざく。

    童話世界の案内人を自負しておるのか 
    明るく楽しくにぎやかに華やかに
    いつも元気で笑顔を絶やさず 
    借用も盗用もお構いなし。

    これほどまでに吾輩の
    心がひねくれてしまうのも 
    軽佻浮薄でええじゃないかの 
    すべてがあやつめのせいなのだ。

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  • 秘められたメッセージ

    2016/02/14

    変な話

    そう。
    それはまるで映画を観ているような感じなのだ。

    私は映画館の観客なのか、あるいは 
    その映画の登場人物なのか、判然としない。

    いわゆる洋画。

    素敵なおじさま風の白髪の老人と 
    快活で魅力的な若い女。

    ふたりはあたかも恋人のように振る舞い 
    実際にも夫婦か恋人であるらしい。

    じゃれる猫のように会話やふれあいを楽しみ 
    老人の弾くピアノの音色に若い女はうっとりする。

    この舞台となる家には、なぜか 
    ハンサムな若い男が同居していてる。

    親密なふたりをからかったり 
    挑発的に腰を振ってみせたりもするのだが 
    老人も女も冗談としか受け取らず、平気で笑っている。

    彼はふたりの共通の友人なのか 
    この家の一時的な泊まり客のようであり 
    さらにまた、感情移入した私自身のようでもある。

    最後、若い男がふたりの家を去ることになる。

    その時に彼は、女から三つの手紙のような 
    あるいは三つの言葉そのもののような 
    いわく言いがたいメッセージのようなものを受け取る。

    その三つの配列を並べ替えたり 
    重ねるように組み合わせたりすると 
    彼女の秘められたメッセージが読み取れるらしいのだ。

    ところが、この若い男でもある私は 
    それを解読しないうちに映画館を出てしまい 
    自宅の寝具の中、うすぼんやりと目覚めてしまった。

     

     

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  • 好きなの

    2016/02/13

    怖い話

    昔、いろんなのが好きだった。

     

    食べるの、寝るの、遊ぶの、学ぶの、

    物語、マンガ、テレビ、映画、ゲーム、

    おもちゃ、動物、少女、女の人、・・・・ 

     

    たくさんありすぎて数えきれないほど。

     

    なのに、いつの間にか、それらは 

    ほとんど失われてしまった。

     

    今、輝きは弱まり、ほとんど消えかけている。

     

    たとえそれほど好きでないとしても 

    あれこれ手を加えたりすれば 

    いくらか好きになることはある。

     

    そういうのを「空想」と呼んだりする。

     

    あるいは「創作」 

    または「夢」かもしれない。

     

    実際、そうすることがなにより好きだったから 

    他のことなんかあまり気にしてなかった。

     

    ところが今、それすら失いそうな予感が 

    それをしていながらするのだ。

     

    なにも浮かばない。

    好きなのがまったくなくなってしまう。

     

    怖い。

    怖くてしかたない。

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  • 日報の提出

    2016/02/12

    思い出

    ごく私的な記憶にまつわる話で申しわけない。

     

     

    読書していて、ふと思い出したのだが 

     

    ある会社の社員だった時、ある日から急に 

    作業報告書のような日報を書くことを強制され 

    それを週末に上司に提出しなければならないことになった。

     

    最初はきちんと書いて提出していたのだが 

    そのうち面倒になり、提出が遅れるようになった。

     

    いつか怒られるのではないかと 

    臆病なので、内心かなり気にしてはいるのだが 

    どうも気が乗らず、なかなか継続できない。

     

    その上司も、つまらない報告を読みたくないのか 

    あまり意味ある管理システムと考えていないのか 

    べつに提出を催促しないものだから 

     

    そのうちうやむやになり 

    そのうち退職してしまったせいか 

    今この時点まで、すっかり忘れていたのだ。

     

     

    あるいは睡眠中に見た悪夢の会社だろうか 

    と疑ったくらいで 

     

    どの会社だったか思い出せないくらい 

    かすかなかすかな記憶。

     

     

    ところが 

    こうして書いているうちに少しずつ思い出してきた。

     

    大学ノートだったり、専用の用紙だったりの違いはあれど 

     

    今まで正社員として勤めた三つの会社 

    そのすべてで同じような経験をしてきたのだ。

     

     

    うまく言えないのだが 

    書きたくもないものを書かねばならない日々は 

     

    もう本当にすっかり忘れてしまいたいくらい 

    本物の悪夢に似ているような気がする。

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  • 予知夢

    2016/02/11

    変な話

    こうして私は毎日ブログを更新しているわけだけれども 

     

    面白いとも思えない記事は残したくないので 

    またマナーとして残すべきではないと考えるので 

     

    毎日のように試行錯誤しながら 

    苦心して編み出している。

     

     

    かつて考えたアイデアのメモを参考にしたり 

    すでに退会したブログの記事データを参考にしたり 

     

    しかし、今やそれらからは 

    ほとんど宝を掘り尽くした気配があるので 

     

    本やWeb検索結果やリアル日常を参考にしたり 

    あとは記憶を頼りに目を閉じてあれこれ考えるくらい。

     

     

    考えても面白いイメージが得られない状態がしばらく続くと 

    そのうちどうしても眠くなる。

     

    眠くなったら、あまり抵抗せずに寝ることにしている。

    とりあえず寝転んで考えるわけである。

     

    すると、そのまま眠ってしまう場合もあるわけだが 

    それで面白い夢が見れたらしめたもの。

     

    その面白い夢をネタに記事が書ける。

     

     

    ところが今回 

    面白くもなんともない夢を見てしまった。

     

    新しいブログ記事を投稿しようとして 
    パソコンの前で考えている自分。

     

    それだけ。

     

     

    しかしながら、まあとりあえず 

    こうして書き終えることができそうだから 

     

    今この現在の予知夢と言えなくもない、かな。

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  • 電動ドリル

    2016/02/10

    楽しい詩

    電動ドリルで

     あなたの額に穴あけて

     

       あなたの その

        まちがいだらけの考えを

     

          グリグリ ググリと

           ほじくり出して みたきもの 

     

     

    ハゲタカや ハゲワシは

     

      そのハゲ頭を

       死体に突っ込むところまで

     

         ハゲあがっている

          のだそうです

     

        そのように

       ハゲタカや ハゲワシが

     

     申していたわけでは 

    ありませんけど

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  • 静電気対策

    2016/02/09

    怖い話

    もうすぐ乾いた季節がやってくる。

     

    静電気が溜まりやすい体質なので 

    正直なところ怖いし、うんざりする。

     

     

    髪はもちろん、すべての体毛が逆立つ。

    若い女の子に必ず笑われる。

     

    ものに触れるたびに強烈な電撃を受ける。

    握手したら気絶したOLもいた。

     

    暗闇では体の表面がぼんやり光る。

    夜道を歩いていると女性が悲鳴をあげる。

     

    たとえ女の子がいなくても危険なので 

    ガソリンスタンドでセルフの給油はできない。

     

    知人や友人は近寄らなくなる。

    この季節、妻は実家へ帰ってしまう。

     

     

    だが、今年は大丈夫。

    いくつか静電気対策を用意したからだ。

     

    まず、小まめな水分補給を心掛け 

    ミネラルウォーターを頻繁に飲む。

     

    重ね着しても帯電しにくいよう 

    衣類の組み合わせには同じ素材を選ぶ。

     

    シルクの枕カバーを使い 

    あまり長時間続けて眠らない。

     

    地球の磁力線との関係から 

    電気が発生しにくい北枕で寝る。

     

    なるべく自然に親しむようにして

    とりあえず室内は裸足で歩く。

     

     

    これでも効果ないなら、もう足首に鎖を巻いて 

    地面に垂らしながら歩くつもりだ。

     

    昔のタンクローリー車が 

    不安から無意味にやっていたように。

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  • よくわからない

    2016/02/08

    変な話

    どこかの港の桟橋みたいなところ。

     

    僕たちは敵味方に分かれ 

    集団で球技らしきゲームをして遊ぼうとしている。

     

    しかしながら、その肝心なゲームのルールが 

    いまいちよくわからない。

     

    そもそも球技にしてはボールが見当たらない。

     

    どうやら競技者のうち特定の誰かが 

    仮想的にボールに相当するものになるらしい。

     

     

    よくわからないままゲームは開始されてしまった。

     

    皆と一緒にゾロゾロと階段状の岸を下りて 

    水着姿なのでそのまま浅瀬に入る。

     

    ボールに相当する人物がいるあたりでは 

    両チーム入り交じり攻防するかのような動きがある。

     

    ルールもそうだが、ルールがよくわからないせいか 

    このゲームの面白さもよくわからない。

     

    鬼ごっことかもそうだった。

    どうも子どもの頃から集団遊びは苦手だ。

     

     

    ぼんやりしていたら突然 

    潜水する誰かの腕が僕の腰のあたりに絡みつく。

     

    まるで人喰いザメに襲われたような感じ。

     

    どうやら、このように潜水者にしがみつかれた者が 

    このボールなし球技のボールに相当させられるらしい。

     

    手つなぎ鬼の変形みたいなものだろうか。

     

     

    ともかく 

     

    腰にしがみつく謎の潜水者を従えて 

    僕は浅瀬を移動するしかない。

     

    逃げているのか追っているのか 

    よくわからないまま。

     

     

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