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2016/08/24
なんとなくできそうな気がしたので
空に手を伸ばしてみる。
すると、不思議なことに
ちゃんと雲をつかむことができた。
「おいおい、なにすんだ。やめろよ」
つかまれた雲が文句まで言いだす。
つかみどころのない感触ながら
もぞもぞ動くのがわかる。
「まったく、冗談じゃないぞ。
人間の分際で勝手なことするな」
やけに偉そうな雲である。
なんだか心配になってきた。
でも、せっかくなので
この雲と記念撮影することにした。
コンデジで、パチリ。
すると、それっきり雲は黙ってしまい
もう僕の手の届かない空へ帰ってしまった。
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2016/08/23
慣れ親しんだ大地を離れ
大空へ 見上げるばかりの大空へ
ロケットを打ち上げよう
地球との重力を振り切り
しがらみや因縁や定めを捨て去り
ロケットを打ち上げよう
誰も手の届かないところ
夢見るしかなかった遥かな宇宙へ
ロケットを打ち上げよう
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2016/08/22
一輪車に乗れる子は
そんなにいないけど
一輪車に乗って
君は どこへ行くつもり?
歩くスピードと大差ないし
二輪車ほど遠くへもいけない。
乗れない子に比べたら そりゃあ
可能性は秘めているけど
下手に能力を自慢したって
反感を持たれないとも限らない。
肝心なことは それで何をするか
何をしたいか だよね。
一等賞で いいのかな。
お金儲けで いいのかな。
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2016/08/21
みんな、どうしたの?
仕事で忙しかったり
日帰り旅行に出かけたり
たまには顔だって見たいのに
なかなか会えない。
「悪い。また今度」
スケジュールぎっしり
連絡すら ままならない。
そんなのやめて
そんなのほっといて
やらなくてもいいことなら
やらなきゃいいのに。
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2016/08/20
ミシン目でつながった1枚の書類には
2件の請求額が記されてある。
それを役所の窓口に提出して手続きをしているところ。
「片方の分しか支払ってませんね」
パソコンのモニター画面を見ながら受付けの女性職員。
「ああ。それはですね・・・・」
過去のやり取りを思い出しながら説明する私。
両方やる予定だったが、実際には片方しかやらなかったのだ。
だから支払いも半分だけ。
けれども、なかなか込み入った事情があり
うまく内容を伝えることができない。
もどかしい。
どうやらボケてきたらしい。
それで、もどかしい音頭を踊りたくなったが
あいにく、そんな変な踊りは知らない。
まったくもって、もどかしい。
もどかしいったら、ありゃしない。
ああ、こりゃこりゃ。
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2016/08/19
なにやら土壁の傷のようなものが
あちらこちらに散在している。
だが、よく見ると、それらが動いている。
しかも徐々に大きくなる。
どうやら虫の巣に遭遇したらしい。
節足動物の無数の脚がもぞもぞ蠢うごめいている。
絶望的な予感と悪寒がする。
片手ほどの大きさの虫の群が足もとに落ちる。
そのままこちらに這い寄る。
クモかもしれない。
ゴキブリのような気がしないこともない。
手の甲になにやら触れた。
必死に腕を振る。
うなじに冷たいものが落ちてきた。
あるいは、この生臭い雨はヒルであろうか。
イカの塩辛のような水たまりができる。
裸足なので踏んではいけない。
しかし、それとは別のものを踏んでしまった。
とぐろを巻いたヘビ。
おそらく冬眠明けのマムシであろう。
悲鳴をあげ、飛びのいて逃げる。
ところが、逃げ切れない。
ぬらぬらしたタコまで這いずってくる。
カエルのように跳びはねもする。
おぞましさが頂点に達する。
なのに、いまだ目覚める気配はない。
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2016/08/18
「はい。お口を大きく開けて」
「あーん」
「おやおや。虫歯が多いね」
「あああ」
「甘い夢ばっかり見てるからだよ」
「んあああ?」
「ええと、この奥歯は抜かなきゃいけないな」
「ああ?」
「痛くないよ。麻酔注射するからね」
「んあんあ」
「治療中、これを右手でつかんでいてもらおうかな」
「んあ?」
「もし痛かったら握って教えるんだよ」
「ああん」
「どれどれ。ちょいちょい、と」
「んあっ!」
「痛い。つ、強く握り過ぎだって」
「んああっあ」
「やさしく治療するから、やさしく握り返すんだよ」
「んああんあ」
「ほら。そっと、なでなで」
「あああん」
「うううん」
「あー。もう、やだ。歯医者さんごっこなんか」
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2016/08/17
不安ゆえに苦心するとしても
安心したいがため苦しむは愚かなり。
確証もなく防波堤を築かんとするは
気休めになれど、対策にあらじ。
安心できぬなら無理に安心せず
上手に諦めるが上策なり。
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2016/08/16
その町には商用で訪れたはずなのに
なぜか故郷の町、いや、村になっている。
T字路のような場所で野菜が売られている。
スイカやカボチャ、長ネギや白菜など。
舗装された路上だが、クルマが通る気配はない。
一台の一輪車の上に大きなキャベツが載っていた。
ところが、よく見るとそれは老婆だった。
買い物中の近所のおばさんが教えてくれる。
「あなたのお母さんですよ」
なるほど。
いかにも私の老母に違いない。
しかも、野菜のように売られているのではなく
どうやら野菜を売っているのが老母であるらしい。
このような動けない姿になっても
どうにか野菜を栽培して販売することにより
その対価として周囲の世話になっているようである。
収穫時期を逃したキャベツのように仰向けに寝そべり
頭を持ち上げる首の筋肉も残っていないらしい。
なのに私は、居たたまれない気持ちのまま
老母に近寄ることも声をかけることもできない。
そうすべきだとは思いながらも
泥だらけのゴボウみたく、ただ立ち尽くすばかり。
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2016/08/15
長く寒かった冬が終わり、ようやく
北の大地にも待ちに待った春が訪れました。
ぽかぽか暖かい日差しに心うきうき。
はるさんちのそら君は冒険の旅に出かけるつもりです。
夜ふかしはるさん、ただいまお昼寝中。
今が旅立つチャンスです。
苦労してこしらえた秘密の通路をくぐって
そら君、はるさんちを抜け出しました。
そらそら 空は よい天気
そらそら そら君 ごきげんだ
時計台なんか見上げもせず
テレビ塔だって関係なし。
赤レンガがどうしたって?
クラーク先生、なに言ってんの?
ラーメン横丁でチャーシューもらって
すすきもないのにすすきのとはこれいかに?
「これいかに?」と目覚めたら
はるさんが写真を撮っていました。
そらそら そら君 夢見てた
そらそら そら君 変な顔
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