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  • 涙は・・・・・・

    2009/02/27

    愛しい詩

        涙は


       君のために

    僕が作ってあげられる

     世界で一番小さな


        海です



    寺山修司の詩「なみだは にんげんのつくることのできる いちばん小さな 海です ・・・・・・」のアレンジ)
     

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    • Tome館長

      2012/10/05 11:19

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2012/09/29 15:38

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 牝牛のドア

    2009/02/26

    明るい詩

    ここは緑の牧場。

    大きな牝牛が 草を食む。


    ちょっと違うのは
    牝牛の脇腹 ドアがある。

    ドアを開けると
    なんとも素敵な 冷蔵庫!

    ドアの裏側
    瓶入り牛乳 冷えている。

    奥の棚には
    薄切りハムさえ 置いてある。


    ここは緑の牧場。

    大きな牝牛が 草を食む。
     

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  • 影踏み

    影はなんでも知っている。


    ひっそり隠れた耳たぶ。
    観察する切れ長の目。
    ほくそ笑む薄い唇。

    影を葬ることは誰にもできない。

    昼間どんなに明るくても
    影は皮膚の内側にも潜むから。


    「ほら、影を踏んだぞ!」
    息を切らして男の子が叫ぶ。

    「嘘よ。踏まれてないわ」
    負けずぎらいな女の子が逃げる。

    けれど、男の子の靴の下で
    千切れた影がのたうっている。

    その影を男の子が責める。
    「あの子の秘密を言え!」


    そう。
    影はなんでも知っている。
     

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  • 恐竜の谷

    2009/02/24

    切ない話

     

      小さな谷に恐竜の群があった。


      雪の降り始めた朝のこと

      まだ幼い恐竜の子は
      不思議そうに見上げたものだ。

      生まれてはじめて見る雪。

      骨より白くて、草よりも軽い。
      たくさんの小さくて冷たい花びら。


      (みんな、どうして眠っているの?)

      大きな恐竜たちは目を覚まさない。

      (こんなにきれいなのに)

      嬉しくて、恐竜の子は駆けまわる。


      あんまりはしゃいだから
      いつしか恐竜の子も眠くなる。

      白い枕が冷たくて心地よい。
      天からのやさしい贈り物。


      恐竜の子の夢を白く包みながら

      いつまでも、いつまでも
      小さな谷に雪は降りつもる。

     

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  • 犬ぞり

    2009/02/23

    楽しい詩

    白い道に 雪が降る

      犬ぞりに乗って
       嬉しくて

         彼女 首を振り振り

           歌うたう


    白い道に あられも降る

      犬ぞりの上で
       気がふれて

         彼女 服を脱ぎ捨て

           すっ裸


    白い道に ひょうも降る

      そりの上には
       犬が乗り

         彼女 革につながれ

           そりをひく
     

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  • かなわぬもの

    おいらの夢は
                 あたいの恋は
    かなわぬ夢
                 かなわぬ恋


    かなう夢など
                 かなう恋など
    つまらぬ夢
                 つまらぬ恋


    つらい夢なら
                 つらい恋なら
    いらぬ夢
                 いらぬ恋


    かなわぬ夢こそ
                 かなわぬ恋こそ
    まことの夢
                 まことの恋
     

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    • Tome館長

      2012/09/28 14:36

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2011/02/02 16:39

      ケロログ「しゃべりたいむ」かおりサンが朗読してくださいました!

  • 生卵の夕暮れ

    2009/02/21

    変な話

    崩れそうな塀の上、

    キツネ顔の少女は
    首にヘビを巻いている。


    「今、何時?」
    「昨日の今頃かな」

    「なら、昨日の今頃は何時?」
    「明日の今頃じゃないかしら」


    お日様が割れて
    中身が海に垂れ落ちる。

    どことなく生卵の黄身に似てるのは
    きっと夕暮れが近いせいだろう。


    塀にハシゴを立てて登る
    一頭の牛。

    長さと太さと形の違う左右の角。

    少女は素足の指で
    右の角に触れてみる。


    「なにか喋ってごらん」
    牛そっくりに牛が鳴く。

    「あはは。まるで牛みたい」
    少女そっくりに少女が笑う。


    塀の向こうの斜め上、

    獄舎の窓が音もなく開いて
    ふたりの女の顔が闇に浮かぶ。


    眉のない女と髪のない女。

    彼女たちには
    表情というものがない。


    夜になるまで待っても
    黙ったまま。
     

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  • 泥 棒

    2009/02/21

    暗い詩

    逃げてゆく 逃げてゆく
    誰か あの泥棒を 捕まえて


    金庫は 破られたけど
    盗まれるものなど なかったはず

    なんにもない 空っぽの 金庫
    はじめから なんにも 入ってない


    真っ黒な 覆面をして
    足跡も 指紋も残さず 去ってゆく

    あいつを 誰か 捕まえて
    お願い だから 捕まえて


    どうして 私から 逃げるの
    あんた まだなんにも 盗んでない
     

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  • 空き缶

    2009/02/20

    思い出

    砂浜の波打ち際
    朽ちた流木のすぐ近く

    陸に寄せる波に
    押し上げられたり

    海に戻る波に
    引き下げられたり

    それが気持ちよくて
    やめられず

    他人の視線など
    気にする余裕もなく

    笑ったり叫んだりしながら
    繰り返し繰り返し繰り返し

    心ない人に捨てられた
    空き缶みたいに

    いつまでもいつまでもいつまでも
    転がり続けているのは


    まだ少年だった頃の
    私です。
     

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  • 赤い花

    2009/02/19

    暗い詩

    かつて
    地の果ての
    戦場で見た

     その草は
     雨水では
     育たないのだ

    血を
    与えなければ
    枯れてしまう

     それも
     人の血
     でなければ


    夏の終わりに
    一輪の花が
    咲く 

     その脈打つような
     血色の
     花弁 

    ちょっと
    掘りおこして
    みたくなる

     そんな赤い花が
     もしも
     咲いていたら
     

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    • Tome館長

      2014/10/05 17:14

      「ゆっくり生きる」はるさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2014/10/05 17:13

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/09/25 16:40

      「こえ部」で朗読していただきました!

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