Tome Bank

main visual

Tome館長

m
r

Tome館長

CREATOR

  • 3

    Fav 1,206
  • 9

    View 6,103,077
  • p

    Works 3,356
  • セクシー家電

    「喘ぎ声が凄い洗濯機」という動画
    かつて話題になったことがある。

    洗濯槽が回転する時、擦れるのか軋むのか
    女性の喘ぎ声に似た騒音が出る洗濯機の話。


    不況下の苦肉の策であろう。

    これを応用した独身男性向けセクシー家電を
    某家電メーカーが大量生産してしまった。


    洗濯機の場合、声質が選べて
    水量によって発声が微妙に変化する展開。

    冷蔵庫の場合、モーター音を喘ぎ声に似せ、
    さらに扉を開ければ「イヤ〜ン」と悩ましい声を出す。

    エアコンや空気清浄器の稼働音も同様。


    これらがメディアや口コミで話題になり、
    意外なヒット商品となった。

    調子に乗って、炊飯器、ジャーポット、パソコン、・・・・・・

    そのうち腐女子向け男声仕様まで登場する始末。


    すると、某ガス器具メーカーまで便乗し、
    風呂釜や湯沸かし器まで喘がせてしまった。

    台所用品のメーカーでも
    笛吹きケトル「セクシーブロー」が販売された。


    さらには、某自動車メーカーまで参入。

    さすがに露骨な喘ぎ声は出せないものの
    「性的1/fゆらぎ」のキャッチコピーで販売。

    国内に限らず、海外でもそこそこ人気とのこと。


    まったく嘘みたいな話である。


    なんということはない。

    つまり、「不況下でもエロなら売れる」という
    情けなくも切ない事実。
     

    Comment (2)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
    • Tome館長

      2013/04/19 17:52

      「広報まいさか」舞坂うさもさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2013/04/19 15:26

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 出会いは突然に

    2012/05/12

    変な話

    突然、ふたりは出会った。
    それは、あり得ない出会いだった。


    僕が死んだはずの彼女に出会った時、
    彼女は死んだはずの僕に出会った。

    つまり僕たちは、互いに自分は生き延び、
    互いに相手が亡くなったものと信じていたのだ。


    「私、あなたの葬式に出たわよ」
    「僕なんか、君の死に顔を見たぞ」

    「そんなの嘘よ」
    「そっちこそ」


    どうも話が合わない。
    互いの記憶が喰い違っている。

    「だって、私があなたを・・・・・・」

    彼女が言い淀む言葉を
    僕は直感できた。

    「いや違う。僕が君を殺したんだ」


    ふたりは互いに見つめ合う。

    その表情を別にすれば
    まるで昔の恋人同士のように。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 観葉植物

    2012/05/10

    切ない話

    近所のホームセンターで女子高生の球根を買った。
    ほんの冗談のつもりだった。

    だから、バケツに水を入れて球根を固定しておいたら
    本当に女子高生が生えてきたのには驚いてしまった。


    水栽培のヒト型観葉植物である。


    品種改良とか遺伝子組み換えとか
    いわゆるバイオテクノロジーの進歩は凄まじい。

    それらしい葉っぱの組み合わせなのだが
    有名な私立高校の制服まで身に着けている。


    さすがに喋ることはできない。
    外観が少女に似ている植物に過ぎないのだ。

    ただし、触れると多少は動く。

    たとえば、両腕に相当する部分が正面に寄ってくる。
    顔の部分も微妙に動いて、表情が変わる。

    オジキソウと同じ原理らしい。


    生長しても等身大までにはならず、
    せいぜい半身大よりちょっと高くなる程度。

    もともとはタマネギだったかキャベツだったか
    とにかく野菜なので、食べることもできる。


    しかし、さすがにここまで育ててしまうと
    愛着が湧き、とても食用にはできない。

    かと言って、そのうち枯れるだろうし、
    いつまでも愛らしい形を留めているわけでもない。


    鑑賞しながら、ため息が出る。

    恥ずかしくて、とても公表できないが
    もう命名までしてある。


    まったく悩ましいものを買ってしまったものだ。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 逃げ切れない

    あなたは密かに視られてる。
    ジッと盗撮されている。

     あなたはキョロキョロ
     あたりを見まわす。

      それらしき不審人物見当たらない。
      それらしきカメラも穴も見つからない。


    あなたは密かに聴かれてる。
    シッカリ盗聴されている。

     あなたはオドオド
     声をひそめる。

      いくら盗聴器さがしても
      そんなものは出てこない。


    あなたは尾行されている。
    常に監視されている。

     逃げ続けるのはあなたの定め。
     棲家を移り、雑踏に紛れ。

      それでも、あなたは逃げ切れない。
      あなたの中の消せない他人。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 波の枕

    2012/05/08

    変な詩

    誰もいない砂浜。

    海水浴シーズンには
    まだ少し早い。

    サンダル脱いで裸足になり、
    波打ち際に立つ。

    手に持っているは
    ゴム製の水枕。

    この中に
    海水を詰めるつもり。

    海水入りの水枕。

    なかなか
    素敵じゃないかしら。

    海原に浮かぶ夢とか
    見れるかも。


    ところが現実、甘くない。

    割れた貝殻踏んで
    よろめいて

    そのまま波にさらわれ
    海原へ。

    気が付いたら
    かなり沖合。

    私は泳げない。


    水枕を持ってて
    助かった。

    空気を詰めて
    栓をして

    浮き袋にしちゃいましょう。

    そうしましょう。
    そうしましょう。


    ああ、流される。
    どこまでも流される。

    そのうち
    眠くなってきた。

    海面に仰向けに寝て

    頭の下には
    水枕ならぬ空気枕。


    波を枕に見る夢は
    魚の夢ではあるまいか。

    プカプカ プカカ
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 薄切りの夢

    親しくしている方から
    ハムをいただいた。


    キッチンに立ち、
    まな板に載せ、

    包丁で切る。

    パンに挟んで食べるつもり。


    切っているうちに

    どれくらい薄く切れるか
    試してみたくなった。


    包丁にサラダ油を垂らす。

    切り方も工夫する。


    あれこれ試行錯誤の末、

    惚れ惚れするほど
    薄く切れるようになった。


    じつに見事な薄切りハム。

    これなら皆既日食だって
    透けて見えるかも。


    「うふふ」

    思わず笑ってしまう。


    それにしても

    なんて、なんて
    薄っぺらいんでしょうね。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 不思議な扉

    2012/05/06

    変な話

    それは不思議な扉です。

    確かに扉はあるのに
    どこにあるのか誰も知りません。

    いくら探しても見つからないのです。

    なのに、ふと気付くと
    なぜか目の前にあるのだそうです。

    つまり、そういう扉なのです。


    その扉は施錠されていません。

    だから、誰でも開けることができます。

    そして、開けることができれば
    誰でも通り抜けることができます。


    それによって
    どうなるのか

    入ることになるのか
    出ることになるのか

    よくわかっていません。

    というのも

    この扉を通り抜けた者で
    こちらに戻ってきた者は

    いまだかつて
    一人としていないからです。


    さて、唐突ではありますが
    今、あなたの目の前に扉があります。


    そうです。

    冗談みたいですが
    あの不思議な扉なのです。
     

    Comment (2)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
    • Tome館長

      2013/04/16 11:43

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2012/05/13 17:58

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

  • 誘ってみたら

    2012/05/05

    変な話

    墓場で出会った彼女は
    とても魅力的な幽霊だった。

    駄目もとで誘ってみたら
    快く僕に憑いてきてくれた。


    普通の多くの人たちには
    彼女の美しい姿は見えない。

    せいぜい寒気のようなものを
    背筋に感じるくらいだ。


    思い出したくないのか、彼女は
    幽霊になった経緯を話してくれない。

    話したくないわけでもあるのだろう。
    あえて僕も尋ねたりしない。


    彼女の言うところによると
    僕は半分ほど幽霊なのだそうだ。

    そう言われてみると、確かに
    現実感が希薄な気がする。


    「すると、僕は半分ほど死んでいるのかい?」
    「いいえ。あなたは半分ほど生きているのよ」

    なんだか同じ事のような気がするけど
    じつは微妙に違う事なのだそうだ。


    いつも彼女が側にいてくれるから
    いつだって僕は幸せな気がする。

    いつか僕は死ぬだろうけど、もう
    いつ死んでも怖くない気がする。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • あえぎ声

    俺は独身。
    時は真夜中。

    場所はマンションの一室。

    隣の部屋から壁越し、
    かすかに声が聞こえる。


    俺は耳を壁に押し当てる。

    「ああ、あああ・・・・・・」

    女のあえぎ声が聞こえる。


    俺は首をひねる。

    (はて、隣は空き家だったはず・・・・・・)


    そっと玄関のドアを開け、
    共用階段の踊り場に出る。


    隣の玄関ドアの新聞受けには
    「入居者募集」のステッカーが貼られたまま。

    見上げれば、電力量計。
    そのアルミニウムの円盤は微動だにしない。

    金属製のドアに耳を押し当てても、無音。
    自分の鼓動が聞こえるくらいだ。


    俺は自室に戻る。
    内鍵を閉める。

    まだ壁越しに声がする。


    マンションの構造上、天井から物音がしても
    真上の部屋が音源であるとは限らない。

    壁の場合も、そういうことがあるのだろうか。
    真横の部屋ではなく、その上下階であるとか・・・・・・


    再び俺は、壁に耳を押し当てる。

    「ああ、あああ・・・・・・」

    その声に聞き覚えはない。
    女の切なく悩ましい、あえぎ声。


    俺は、だんだん興奮してきた。

    股間に手が伸びる。


    その時だった。

    壁越しの女の声が大きくなったのは。

    「ああ、あああ、あんた・・・・・・聞いたわね」
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • いいの?

    2012/05/03

    空しい詩

    ねえ

      いいの?


    こんなこと
     していて

       本当に

         いいの?


    それって

      やっても
       やらなくても

         どうでもいいこと
          なんじゃ

            ないの?


    もっと

      他に
       すべきこと

         あるんじゃ

           ないの?


    せめて

      そういうのが
       あるのかないのか

         考えてみても

           いいんじゃ

             ないの?
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
RSS
k
k