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2013/11/14
ガラスの遊園地は
シンデレラ姫の片方の靴。
落とした靴か、
履いてた靴か。
落とした靴なら
王子様が拾ってくれる。
履いてた靴なら
誰も拾ってくれない。
知らんぷりして
クルクル
クルクル
まわり続ける
ガラスのメリーゴーランド。
2013/11/12
主は
何処より来たり
主が
此処に在らずんば
何処へと去りぬ
幾億 幾万 幾千の
憂いを 迷いを 災いを
捨て置きしまま
2013/11/10
一緒に帰ろう
君が よければ
一緒に帰ろう
お話 しながら
一緒に帰ろう
歌ったりして
一緒に帰ろう
笑ったりして
一緒に帰ろう
僕で よければ
2013/11/06
やむにやまれず
恋をして
よせばよいのに
夢を見た
なせばなるさと
努力して
そりゃあそうさと
諦める
どうせどうにも
なりゃしない
なるよになるが
人生さ
2013/11/01
毎晩
あなたにね
囁いてあげるから
片耳そいで
贈ってよ
ほら あんなに
月が赤い
尻尾を切られた
猫の眼みたい
なぜか今夜は
酔えなくて
恋人でもない
彼または彼女を引きずって
お散歩するの
手鏡とか割るつもりで
白いブラウス
引き裂いてみるの
なぜかしら
救いの呪文は
電話番号に似ているの
街路樹を飾る
美しい死体
それとも
たとえば
月から落ちた
真っ赤なしずく
ダラ ダラリ
2013/10/28
不安はなく
心残りもなく
寝返るように
何気なく
夢見るように
微笑みながら
眠るように
本当に
眠るように
やすらかに
消えたい。
2013/10/26
彼女を家に呼んで
料理する
原形を留めないまでに
細切れにして
肉団子にしようか
ハンバーグにしようか
それとも
生姜焼きなんかどうだろう
どうだろうって
どうでしょう
彼女の望みは
なんだったのか
どうでもいいけど
気にはなる
気にはなるけど
気にしない
どうせ僕が食べるわけじゃない
2013/10/26
形のない悲しみ
大きさのない虚しさ
位置のない苛立ち
ああ 助けて
私は水虫
ああ 水虫の幽霊
そんなに嫌わなくても
いいじゃないの
水虫に権利を
水虫に自由を
水虫に愛を
ああ 痒い
とても痒い
身も心も痒い
ああ ああ ああ
ただ痒いばかり
水虫の幽霊
2013/10/24
砂の惑星には水がない。
水がないのに雨は降る。
砂の雨、つまり降砂だ。
空を見上げてはいけない。
砂が目に入ったら失明する。
降った砂が集まり、川になる。
砂の川、つまり流砂だ。
支流が集まり本流になる。
蛇行しながら海へ流れる。
砂の海、つまり洋砂だ。
砂漠と違って歩けない。
自分の重さで沈んでしまう。
泳げないなら溺れて死ぬ。
でも、船に乗れば大丈夫。
砂の船、つまり漂砂だ。
焼けた砂が固まったもの。
水の海の流氷に似ている。
海だから魚だって釣れる。
砂の魚、つまり泳砂だ。
食べられるが旨くない。
まるで
そう、まるで
砂を噛むよな味がする。
2013/10/21
その星は 海ばかり
大陸どころか
島もない
魚一匹
泳いでおらず
プランクトンさえ
いないのだ
塩分含まぬ
純水の
海 海 海 海
恒星の 光受け
屈折して 反射して
宝石みたく 輝くは
水の惑星 青い星
キラキラ キラリ
キラ キラリ