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  • 昼食難民

    2016/12/18

    変な話

    ひとり会社を出て、どこかで昼飯を食べるつもり。

     

    幼なじみの女性が通りの向こうからこちらにやってくる。

    大人になった彼女はとても魅力的に見える。

    視線が合いそうだが、どうも自然に話せそうもない。

     

    彼女は僕のすぐ後方を歩いていた知人に話しかける。

    「○○へ行くつもりなの。あそこの○○、おいしいのよ」

     

    それを耳にして、僕は方向転換をする。

    その時、僕は独り言のように何かつぶやく。

    すぐ後方を歩いていた女性が、それを聞いて笑う。

     

    好きでも何でもない女性なので気楽に話しかけられる。

    「君も○○へ行くの?」

     

    彼女は微笑む。

    「そうよ。○○は駅ビルの中にあって

     あの駅ビルは○○の店主が建てたものなのよ。

     だから私、なかなか彼は偉いと思うわ」

     

    さらに駅ビルが見えると

    「この3階部分を増築したのが店主の息子さんで

     そろそろ電車が発車する時刻だから、ではこのへんで」

    彼女は走り出す。

     

    なんだか僕も遅れてはならないような気がしてくる。 

    彼女を追うように走り出し、駅ビルの階段を上り 

    今まさに発車せんばかりの電車に飛び乗る。

     

    ホッとするが、チラリと見えた行先表示の地名に見覚えがない。

    どうやら逆方向の電車に乗ってしまった気配。

     

    もう昼飯どころではない。

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  • カニを積む

    2016/12/17

    変な話

    あなたはカニを積み上げようとしている。

    それも生きているカニである。

     

    一番下に一番大きなカニ。

    その上に二番目に大きなカニ。

     

    さらにその上に・・・・ 

     

    ザワザワ動くので 

    なかなか積み上がらない。

     

    石やレンガならともかく 

    なぜ生きたままのカニなのか。

     

    あの鎧で固めたクモみたいなブキミな姿 

    見ているだけでも気色悪い。

     

    それを手でつかんで持ち上げるなんて 

    まったくもって気が知れない。

     

    あなた自身、よくわかっていない。

    よくわからないままカニを積む。

     

    来る日も来る日もカニを積む。

    積み上がりそうもないカニを積む。

     

    逃げるカニを追いながら 

    あなたは他にすること、浮かばない。

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  • あたりまえ

    2016/12/16

    空しい詩

    ものごとは 

    うまくゆかぬが あたりまえ 

     

    あたりまえ なのであって 

     

    なんとか うまくゆくよう 

    くろうせにゃならぬ 

     

    せにゃならぬが あたりまえ 

    なのである

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  • お願い

    2016/12/15

    論 説

    無暗にゴミを捨てるの やめようよ。

     

    つまらない くだらない ありふれたもの 

    どこにでも落ちていそうなものを 

    できるだけ増やさないようにしようよ。

     

    ここはね 

    世界から隔絶された君だけの部屋じゃないんだよ。

     

    公共の場とは言わないまでも 

    集合住宅みたいな共同の場ではあることは確か。

     

    迷惑を撒き散らしていたら 

    周囲から苦情が出ないはずないよ。

     

    いくら注意しても改まらないなら 

    そのうち無事には済まなくなるだろうね。

     

    そりゃあ ここは自由だよ。

     

    物理的な制約がほとんどないから 

    匿名で好き勝手できるもんな。

     

    でも ここは孤独な夢の世界じゃない。

    現実とつながりある開かれた世界なんだ。

     

    ここは豊かになるよ。

    あそこより豊かになる。

     

    第一 ここに養分を吸い取られ続けて 

    あそこは貧しくなる一方だ。

     

    いや それどころか 

    もうすでに逆転しているのかもしれない。

     

    でもね だったら なおさらだよ。 

    とにかく ここを快適にしなきゃならないはずさ。

     

    あそこからここへ避難してきたみたいな逃げ道が 

    ここから先には もうまったくないのだからね。

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  • 甘ったルイーゼ

    2016/12/14

    楽しい詩

     あま あま 甘いぜ

     甘すぎる

     

     甘ったルイーゼ セニュリータ 

     

     

    舌がマヒして 胸やけだ 

    脳がとけるぜ セバスチャン 

     

    ガキじゃねえ アンコじゃねえ 

    イチゴのった ケーキじゃねえ 

     

    そもそも 考え方が 甘いんだ 

     

    丸まっこくて ワンパターン 

    いい子 いい子で 日が暮れて 

     

    おりこうさんでございます 

    とか きたもんだ

     

    ケッ ケッ ケケケのケー 

    大人はいねえか いねえのか

     

     

     あま あま 甘いぜ

     甘すぎる

     

     甘ったルイーゼ セニュリータ

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  • 君は潜る

    2016/12/13

    愉快な話

    君は今、水面を見下ろしている。

     

    ほとんど波はない。

    鏡のように君の姿を映す。

     

    これから君は潜るつもりだ。

     

    望むものが水中にあると 

    あるかもしれないと、君が思うから。

     

    いや。

    すでに君は潜り始めている。

     

    息を止め、水面を通り抜ける。

    視界は悪くない。

     

    小さな魚が泳いでいる。

    熱帯魚のように色鮮やか。

     

    しかし、これではない。

    こんなもの、べつに欲しくない。

     

    君は息が苦しくなる。

    あわてて水面まで浮上する。

     

    深く潜れない。

    これでは見つけられない。

     

    さらに手に入れるなんて、夢の夢か。

    しかし、諦められない。

     

    君は再び潜る。

    もっと深くまで潜る。

     

    息が苦しくても潜り続ける君。

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  • ノコギリ問題

    2016/12/12

    ひどい話

    この問題は、明らかに問題である。

     

     

    ある大男が巨大なノコギリを挽いて 

    一軒の家を屋根の中央から床下まで切断した。

     

    中には親子四人の家族が住んでいたが 

    家もろとも全員が切断されてしまった。

     

    折れたり重なったりしていたので 

    死体の数は全部で十五個になった。

     

    さて、どのように大男は切り分けたのであろうか。

    あらゆる死体の組み合わせを列挙せよ。

     

    なお、片腕が切断された場合、その片腕は死体とするが 

    まだ生きている残りの部分は死体とはみなさないものとする。

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  • 2016/12/11

    愛しい詩

    あごに汗 

    うなじに汗の 

     

    その汗の 

     

    したたるままに 

    むねにポタ ももにポタ 

     

    ポタポタ ポタリ 

    ポタリ ポタ 

     

     

    うすくらやみに 

    君のゆれる

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  • 正義がきらい

    2016/12/10

    論 説

    正義がきらいだ。

     

    その威を借る狐 

    正義の使者どもがきらいだ。

     

     

    大いばりで大義名分 

    錦の御旗みはたを振りかざす。

     

    愛、保護、安全、平等、平和、・・・・ 

     

    それらしき美名の下 

    どんな横暴も許されるとふんでいる。

     

     

    きゃつらに退治される立場の悪の組織なるものは 

    そんなに迷惑な存在か。

     

    必要悪ではないのか。

    疑わしきを罰するのか。

     

    正義の味方の引き立て役に 

    させられているだけではないのか。

     

     

    きゃつらに問いたい。

     

    イイカッコする前に 

    地味ながらもっと実質あること 

    本当になすべきことがあるのではないのか 

     

    と、怒りをこめて。

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  • ママゴト

    2016/12/09

    ひどい話

    「ただいま」

    「おかえりなさい」

     

    ぼくは、この遊びをやめたいのだ。

     

    「腹へったな」

    「すぐ夕飯にしますね」

     

    最初は、そこそこ面白かった。

     

    「お風呂も沸いてますよ」

    「うん。あとで入る」

     

    でも、こんなこと毎日やらされてはたまらない。

     

    「ああ、疲れたよ」

    「毎日、ごくろうさま」

     

    さすがに、もう限界のような気がする。

     

    「あのさ、そろそろ別の遊び、しない?」

    「あら? ちっとも遊んでなんかいなくてよ」

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