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2016/11/28
どこか知らないところへ一緒に行こうと
友人と約束のようなものをしたらしい。
そのため、どこか知らない場所で待っているが
彼の姿はなかなか現れない。
ところで、にぎやかな建物が目の前にある。
不必要なまでに窓や電飾が明るいのだ。
何気なく中に入ってみると、彼がいて
見覚えのない女の子とデートの最中であった。
こちらとの約束はすっかり忘れているようである。
少なくとも、そのように感じられる。
中央ホールのような印象を与えるフロアには
たくさんの裸の男女が入り乱れている。
抱き上げたり、組み合ったり、振りまわしたり
恥知らずと言うか、目を覆うばかりである。
すると、ここは公衆欲場のような特別な場所なのか。
それとも、なにかのまちがいなのか。
・・・・いくら考えてもわからない。
「今この目の前にある不具合を修正しない限り
将来の輝ける進展は見込めないのだぞ」
さような声なき声も聞こえてくるが、いかんせん
女の子たちの悩ましい声まで聞こえてくる。
「今この目の前にある世界を楽しまない限り
永遠に楽しむことなんてできないのよ」
それはもう信じられないほどの悩ましさである。
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2016/11/27
説得するには、まず相手を知ること。
観察したり、打診したりする。
何を好み、何をきらい、何を望み、何を恐れるか。
好ききらい、いかんともしがたし。
望みには応じられない場合が多い。
そこで、相手の恐れを利用することになる。
こちらの目的を相手に伝える必要はない。
結果として目的を達成するまでだ。
「まず、こいつを外すんだ」
銃口を相手の額に押しつける。
「次に、これをずり下げろ」
逆らったら危険だぜ。
「これも一緒だ」
誰だって命は惜しいからな。
「よし。こいつを持ち上げろ」
撃たれたら痛いだろうし。
「それから爪を立てて、ここを掻くんだ」
ああ、そこそこ。
「そ、そこが、すっごく痒かったんだ」
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2016/11/26
ねえ、いいかしら。
お姉さんといけないことしましょうよ。
うん、そうよ。
やってはいけないことをするの。
ほら、こんなことするのはいけないことよね。
でも、やっちゃうわけ。
楽しいでしょ。
うふふ、そうよ。
だって、いけないことができるんだもんね。
もともと、いけなくなんかないのよ。
いけないと決めつけるからいけないのよ。
たとえばジャンケンでね
グーでもチョキでもパーでもない
なんか変な形の手を出すようなもんかしら。
つまり、やってはいけないことを許すわけ。
それだけで世界が変わるわ。
まず自由になる。
なにより気楽になれる。
ただし、やましいことはしちゃダメよ。
やましいことをすると、気が重くなるわ。
することが不自然になるし
できることが自由にできなくなる。
あっ、こらっ。
そんなことしちゃダメだってば。
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2016/11/25
知人の男とラーメン屋に入り
注文した品が出てくるのを待っている。
ここの店主の娘であるか、または店員であるか
どちらか不明だが、その子に知人はご執心なのだ。
テーブル席で待つ間に知人と店主が口論となる。
いわゆるラーメン論争である。
ひとりカウンター席に避難してメニューを眺めていると
はしっこに「ぶたちちラーメン」と書かれてある。
ぶたちち? 豚の父親? 豚の母乳?
それとも豚のオッパイの肉?
これはぜひ食してみたいものだ。
などと思っているうちに、すでに食べてるし。
わあ、どうしたことだ。
前の注文を取り消さねばならない。
ところが、あわててテーブル席に戻ると、すでに
その上にレバニラ炒めらしき皿が載っている。
こんなもん注文したっけ?
そもそも看板娘はどこにいるのだ?
すっかり頭が混乱してしまい、せっかくの
ぶたちちラーメンの味、ちっとも思い出せない。
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2016/11/24
ナスがママ
キュウリがパパ
妹トマト
僕ピーマン
カボチャの土地に
キャベツの家が建っている
クルマはスイカ
バイクはハクサイ
自転車ニンジン
足ダイコン
今朝はサラダで
お昼は漬物
今夜は
野菜炒めかな
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2016/11/23
お盆の墓参り。親類縁者お揃いで山寺へ。
夏の夕暮れ行き来する浴衣姿の家族連れ。
坂のぼり、山門くぐり、さらに坂のぼる。
盆花で飾られし先祖代々の苔むす墓の群。
ロウソクに火を灯し、台の上に。線香も。
数珠を手に黙祷。手持ち提灯に火を移す。
坂くだり、山門くぐり、さらに坂くだる。
つまづいて、家の前で提灯の火が消える。
ひとり墓前まで戻り、迎え火を運ぶ沙汰。
西日は沈み、人影まばらな夜道となりぬ。
幾百もの灯明りに浮かぶ山のシルエット。
蛍とび交うも、すれ違いし人の影はなし。
灯明りに照らされ、卒塔婆の影ゆれ踊る。
提灯のロウソクに火を移し、立ち上がる。
不意の突風。提灯ゆれるも、迎え火残る。
見渡せば、人気ない山の墓場は真っ暗闇。
誰ぞ吹いたか突風で灯明りすべて寂滅す。
残るは、ゆれる迎え火、かそけき蛍の光。
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2016/11/22
ひとっつも僕の入ってない それは
とても僕のもん なんて呼べなくて
それこそ そのあたりに転がってる
ちっとも珍しくなくて 欲しくもない
石ころとか 風景みたいな
どうでもいいもんじゃないかな
そういう つまんないもんばっかり
君がまだ 欲しがるってんなら
それは なにも僕でなくったって
ほら そのあたりを歩いてる
あの人とか あの人とか
または あの人とか あの人とか
とにかく もう どこのどいつだって
かまいやしないじゃないか
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2016/11/21
やりたくなくて
やらなくてもかまわないなら
やらなきゃいい
起きたくなければ 起きない
食べたくなければ 食べない
言いたくなければ 言わない
興味なければ
見ない 読まない 聞きもしない
コウダカラ とか
ナントカノタメ とか
ソウスルホウガイイ とか
まったく
余計なおせっかい というものだ
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2016/11/20
主人公は異星人との混血児。
とても勇敢な少年。
かわいらしくて賢い妹
にくたらしくて力持ちの弟を従え
世界の平和を守るという伝説の
竜の炎を求め、冒険の旅に出かけた。
孤児の三人を引き止める者はいなかった。
父親は辺境の地で戦死した。
勇敢な最期だったという。
それぞれ母親は異なり
皆、出産と同時に亡くなった。
どれも悲惨な最期だったという。
怪物を退治したり、囚われの姫を救ったり
大活躍の末、ついに三人は手に入れた。
永遠の平和を世界にもたらすであろうはずの竜の炎を。
ところが、持ち帰ろうとした途端
その炎が消えてしまった。
まさに伝説。
もともと永遠の世界平和など
人知のおよぶところではなかったのだ。
これにより世界平和の根拠は消滅し
三人による凄惨な世界分割戦争が勃発した。
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2016/11/19
「生命維持管理室」という立派な名称があるにもかかわらず
ここは皆に「死神の部屋」と呼ばれている。
ここでは個々の人間の基本的生命バロメーターが管理されている。
若々しさ、健康、気分、欲望、やさしさ、理性、などなど。
無機質な数値やグラフによって表すことも可能ではあるが
それでは直観的なイメージがつかみにくい。
そのため現在に至るまで、昔からの伝統にのっとり
ロウソクとその炎の状態によってリアルに表示されている。
ロウソクの太さは生命力の強さ、その長さは寿命。
色は人格のようなものに相当する。
そして、そのてっぺんで燃える炎の状態は
まさに今この瞬間における命の燃え具合を示している。
実際に何が行われているかは想像するしかない。
ただし、明るさ、色、勢い、形、それらの変化によって
おおよそのところは察せられる。
この部屋において、これらロウソクとその炎を
一元的に管理しているのが、生命維持管理官たち。
いわゆる死神である。
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