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    Works 3,356
  • 腹の虫

    2016/05/23

    愉快な話

    「グルルルル」

    腹の虫が鳴き始めた。

     

    うるさいのでエサを与えてやる。

    お菓子が少しあったので、それを食べた。

     

    カビの生えたかりんとう。

    僕が食べると、すぐに腹の虫のところまで届く。

     

    腹の虫はいやしいから、なんでも食べる。

    どうせかりんとうみたいなフンを出すんだし。

     

     

    「ギュルルルル」

    しばらくすると、また鳴き出した。

     

    うるさいな。

    迷惑電話みたいなやつだ。

     

    すぐに与えるとくせになるから、放っておく。

     

     

    「ゴロゴロゴロゴロ」

    鳴き声が変わった。

     

    どうやら怒ったらしい。

    腹の虫がおさまらないようだ。

     

    ふん、たかが虫のくせに。

    無視、無視。

     

     

    「ゾロゾロゾロゾロ」

    なんだなんだ、この鳴き声は? 

     

    うわああああ、腹の虫が外に出てきた!

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  • 笑っちゃう

    2016/05/21

    暗い詩

    それはそれは 

    まことに悲惨な事件なのであって 

     

    決して笑い事ではない 

    とは 思うものの 

     

    なんだか とっても おかしくて 

    つい 笑ってしまった。

     

     

    すると それを

    「不謹慎だ」と 怒る人がいて 

     

    それもまた なんだか おかしくて 

    ついつい 笑ってしまった。

     

     

    なぜだろう。

    おかしいな。

     

    笑ってる場合じゃないのにね。

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  • アカリ

    君は 

     

    その名前ほどには 

    明るくない。 

     

     

    白熱電球ではなく 

    蛍光灯でもなく 

     

    ましてや 

    LEDではありえない。 

     

     

    優雅だったり 

    コミカルだったり 

     

    おどろおどろしかったり 

    悲痛だったりして 

     

    不安定で 危険で 

    落ち着かなくて 心配で 

     

    ほんのちょっとした吐息に 

    ゆれて消えそうな 

     

    ロウソクの炎が 

    ふさわしい。

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  • 卵の反乱

    2016/05/19

    変な話

    たくさんの卵を部屋に集めた。

    いろんな色や形や大きさの卵たち。

     

    ただし、どうやって集めたのか記憶にない。

     

    もらったか、拾ったか、盗んだか。

    あるいは闘って奪ったのかも。

     

    まさか産んだということはなかろう。

    断言できるほど自信ないが。

     

    とにかく部屋には卵が氾濫していた。

    寝る場所どころか足の踏み場もない。

     

    それでも卵を捨てる気になれない。

    また、そういう形をしているのが卵なのだ。

     

    とりあえず温めた方が良さそうだ。

    とりあえす卵なのだから。

     

    それで、ありったけのフトンやら衣類を出して 

    床一面の卵どもの上に厚くかぶせた。

     

    (さて、どこに寝ようか?)

    そのように悩む前に異変に気づく。

     

    かぶせたフトンや衣類のあちこちがモコモコ動く。

     

    早い。早すぎる。

    もうかえった卵があるのだ。

     

    大きな醜いカエルがピョンと跳ねた。

    毒々しい色のトカゲが壁を這う。

     

    フトンを引き裂いたのは大きなゾウカメ。

    ひよこの鳴き声も聞こえる。

     

    さらには、天井からぶら下がるコウモリ。

    (はて、あれは哺乳類では?) 

     

    水面から魚が跳ねた。

    (誰だ、部屋に水をためたのは?)

     

    ふくらはぎに噛みついたのは毒蛇かも。

    毒虫も飛んでるし。

     

    (なんなんだ? どうしろと言うのだ?)

    話が違う。何も聞いてないぞ。

     

    突然の暗転と痛み。

    (誰だ、おれの頭をかじるやつは?)

     

    ワニか? まさか恐竜? 

     

     

    そろそろ疲れた。

    もう卵のカラの中に入らせてもらおうかな。

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  • たまらん授業

    2016/05/18

    変な話

    教室は国語の授業中。

    なのに僕は外国語の教科書を読んでいる。

     

    そのうち教師に叱られる。

    「これから一週間、みっちり海で勉強してこい」

     

    その意味はわからないが、それらしき意図はわかる。

     

    申し訳なさそうに僕は謝る。

    「しっかり溺れるまで頑張ります」

     

    それなのに、どうしても授業に耐えられない。

     

    国語がきらいなわけでなく、外国語が好きなわけでもない。

    なにしろ、外国語の授業中には国語の教科書を読むのだから。

     

    隣席の同級生がこっそり教えてくれる。

    「先生はおまえのこと、ずっと見ていたぞ」

     

    つまり、教師は前から気づいていた。

    授業の終了まぎわ、やっと注意したのだ。

     

    僕はうなだれるしかない。

    (たまらんなあ)

     

    そして、授業終了のチャイムが鳴る。

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  • 落ちながら

    2016/05/17

    暗い詩

    これっぽっちの前触れもなく 

    不意に突き落とされて 

     

    ぼくは下へ下へと 

    まっさかさまに落ちてゆく 

     

     

    なにか悪いことしたのかな 

    思い浮かばないよ 

     

    なにも良いことしなかったせいかな 

    そう言えばそうかもね 

     

    良いも悪いも 

    よくわかんないけど 

     

     

    ああ そろそろかな 

     

    ドサッ かな 

    グシャッ かな 

    ボキボキッ かな

     

    きっと痛いだろうな 

    覚悟なんかできないよ 

     

     

    いっそ このまま すうっと 

    消えちゃえばいいのに 

     

    信じられないくらい首の長い 

    とんでもなく大きな大きな恐竜に 

     

    パックリ食べられて 

    ゴクリと飲み込まれたみたいな感じで 

     

    胃袋に落ちる前に すうっと

    とけちゃえばいいのに

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  • 仕事の定義

    2016/05/16

    論 説

    金儲け、必ずしも仕事にあらず。
    あり余る資産ありながら稼ぐは趣味。

    やらねばならぬをやるが真の仕事なり。


    子ども、遊びが仕事。
    学生、学ぶが仕事。

    サラリーマン、会社勤めが仕事。
    主婦、家事が仕事。

    されど、どれも仕事の一部なり。
    やらねばならぬは多岐にわたる。

    妊婦、出産が仕事。
    親、育児と教育が仕事。

    老人、あまり迷惑かけぬが仕事。
    さらに、ほどほどで死ぬるも。


    さて、いかに。
    やらねばならぬかなるまいか。

    それを考えるも仕事なり。

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  • 勢い余って

    2016/05/15

    愉快な話

    勢い余って 産婆を倒し 

    産湯を泳いで クイックターン 

     

    泣きもしないで 笑うので 

    親は笑えず 驚くばかり 

     

    なんだ この子は 何者だ 

    どうすりゃいいか わけわからん 

     

    這うより先に 立ち上がり 

    歩き出す前 走り出す 

     

    入った学校 飛び出して 

    家も飛び出し 村も出た 

     

    それから 消息 聞かないが

    今頃 どうしているのやら

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  • 時代の流れ

    2016/05/13

    空しい詩

     あなたは 

     

    時代に寄り添い 

    時代に頼り 

     

    時代と寝て 

    時代のヒモとなる

     

     

     やがて 

     

    時代に流され 

    時代に去られ 

     

    時代から忘れられ 

    時代の彼方に葬られる

     

     

     ああ 

     

    たかが時代 

    されど時代 

     

    いつまでも 

    流されるままでは済むまいぞ

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  • 素数の在り方

    2016/05/12

    変な詩

    僕は素数が好きだ。

     

    正確に言うなら 

    その在り方が、だ。

     

     

    合成ではなく 

    オリジナル。

     

    求める手順あれど 

    公式なし。

     

    存在に限りがないのも 

    頼もしい。

     

     

    苦労して 

    新たに見つけた時の 

     

    その喜びよ。

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