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2016/05/11
散る 散る 散るる
秋に散る
春ではなくて
夏でもない
冬には雪が
降るそうな
散る 散る 散るる
秋に散る
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2016/05/10
それを使うとしても
それに使われたくはない。
とは思うものの
それを使う以上
それに使わされる
という側面は
どうしたってある。
また
もし
それを使うしかないなら
どうしたって
それに使わされるしかない。
なので
できうるならば
そういう余裕のない状況に陥おちいることだけは
なんとしても
避けたいものだ。
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2016/05/09
新月の 宵闇に
火の玉の ふたつ三つ
飛び交いて
怨みはらさで おくべきか
いや おくまいぞ
おくまいぞ
嗚呼 されど
成就のあてなく 声もなく
芸もなきに さまよいて
末代までも 成仏できぬは
飛んで 火の玉
あわれなり
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2016/05/08
春になって 桜の花が咲く
それは木の枝でなく
心の中に
散るために 誰が咲こう
花よ 花
美しくあろうと なかろうと
華やかであろうと なかろうと
咲いておれば
春爛漫
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2016/05/07
ゆうさ ゆさゆさ 花魁道中
金らんどんす 島田もゆれて
ゆっさ ゆっさ ゆっさ ゆっさ
ゆれるよ 胸も
そうよ あちきは花魁
浮世のあだ花なのよ
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2016/05/06
わたくしがたまたま助けてさし上げたご老人は
自信たっぷりに、このようにおっしゃいました。
「わしは水道の神である。助けてもらった礼として
あんたの家の水道水を、あんたが望むものに変えてしんぜよう」
お酒でもジュースでも血液でも、なんでも好きなものが
ひとつだけ選べるのだそうです。
ご冗談に決まっておりますが、わたくしは悩んでしまいました。
なにしろ毎日使うものですから、迂闊なことは申せません。
しばらく悩んだ末に、わたくしはお願いしました。
「それでは、できましたら、清きお水にしてくださいな」
すると、ご老人はにっこり微笑みました。
「おお。それはそれは、なかなか賢い選択じゃな」
なので、それからというもの、わたくしの家の水道水は
いつもいつも、本当に清きお水なのでした。
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2016/05/04
どうだい、これ?
なかなかカッコイイだろ?
「アンテナ帽子」って言うんだぜ。
見た目だけじゃない。
機能もすごいよ。
ほとんどすべての周波数帯に対応しているんだ。
どんな微弱電波でも拾っちゃうし。
テレビ、ラジオ、各種無線通信、宇宙からの電波。
それどころか、付近にいる人や動物の意識さえ感知しちゃう。
それを増幅して、翻訳編集して、かぶってる人に伝える。
いわゆる万能「聞き耳ずきん」のようなものさ。
しかし、口で言っても伝わらないよね。
ほら、試しに一度かぶってごらん。
とにかく、すっごいんだから。
びっくりするよ。
人間不信になること、まず間違いなしさ。
おや、疑ってるね。
それに怖いんだ。
ちゃんと聞こえてるよ。
あはは。
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2016/05/03
画面には男の片手だけが見える。
一枚のコインを親指の爪で弾き、打ち上げる。
落ちてきたそれを受け取り、再び打ち上げる。
「今度こそ、あいつを始末しろ」
手の持ち主の声がする。
悪の組織のボスであろう。
彼の声は聞こえるが、決して顔は見せない。
男の片手はコインを打ち上げ続ける。
「失敗は許さんぞ」
・・・・以上、古いTVアニメの一場面である。
小学生だった当時の僕は、この謎の人物の片手に魅せられた。
正確に言うなら、片手による連続コイントス。
適当なコインを手に入れ、毎日のように練習した。
そのうち右手の親指の爪が変形してしまったほどだ。
おかげでかなり上達した。
指だけで1mくらい、腕も使えば10mは上がる。
低めに抑え、コインの回転速度を上げると「ブーン」と音がする。
打ち上げ、受け取り、セットを右手だけでスムーズに行えるようになり
やがて左手だけでもできるようになった。
その結果が表であろうが裏であろうが関係ない。
単純に上達する過程が楽しかったのだ。
で、このささやかな特技が人生において役に立ったのかと言うと
うーん、ちょっと思い出せないな。
せいぜい、この話を書けたくらいか。
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2016/05/02
吹け 吹け 風よ
風よ 吹け
遠慮はするな
情けは無用
うなれ 吠えろ
叫べ 泣け
どす黒く 胸に渦巻く
不安や 悩み
届かぬ愛や 叶わぬ夢
悔しさ 悲しさ 欲望も
みんな みんな
吹き飛ばせ
吹け 吹け 風よ
風よ 吹け
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2016/05/01
彼女が言うのだ。
「叩いてよ」
脈略のない彼女のことでもあり
なんとなく叩きたい気分でもあったので
俺はためらわずに彼女の頬へ平手打ちをくれてやった。
大きな音と衝撃があったにもかかわらず彼女は言う。
「もっと強く」
さすがに今度は俺もためらう。
彼女は涙目になり、その頬は赤い。
しかし、ここでやさしさを装ってはならない。
そういうありきたりな流れは俺がもっともきらうところのものだ。
二度目の平手打ちで崩れるように彼女は床に倒れた。
ちょっと強く叩き過ぎたかもしれない。
よろめきながらもなんとか立ち上がった彼女の唇は切れ
形のよいあごの先からポタポタと血が垂れた。
「今度はあたしに叩かせてよ」
やや発音の悪くなった彼女の声。
「いいよ」
断る理由は見つからない。
「目を閉じて」
思い詰めたように彼女は言う。
俺は素直に目を閉じる。
彼女が部屋を出て、台所の戸棚を開ける音がして
すぐに戻ってくる足音がする。
見えない俺の目の前に彼女が立つ。
「叩くよ」
彼女の荒い息づかいが聞こえる。
歯を喰いしばっている関係で俺は首だけ振る。
(俺、そんなに何か悪いことしたっけ?)
それから・・・・
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