Tome Bank

main visual

Tome館長

m
r

Tome館長

CREATOR

  • 3

    Fav 1,206
  • 9

    View 6,102,614
  • p

    Works 3,356
  • 秋に散る

    2016/05/11

    空しい詩

    散る 散る 散るる 

    秋に散る 

     

     

    春ではなくて 

    夏でもない 

     

    冬には雪が 

    降るそうな 

     

     

    散る 散る 散るる 

    秋に散る

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • それ

    2016/05/10

    論 説

    それを使うとしても 

    それに使われたくはない。 

     

     

    とは思うものの 

     

    それを使う以上 

    それに使わされる 

     

    という側面は 

    どうしたってある。 

     

     

    また 

     

    もし 

    それを使うしかないなら 

     

    どうしたって

    それに使わされるしかない。 

     

     

    なので 

     

    できうるならば 

    そういう余裕のない状況に陥おちいることだけは 

     

    なんとしても 

    避けたいものだ。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 火の玉の

    2016/05/09

    暗い詩

    新月の 宵闇に 

    火の玉の ふたつ三つ 
    飛び交いて 

    怨みはらさで おくべきか 

    いや おくまいぞ 
    おくまいぞ 


    嗚呼 されど 

    成就のあてなく 声もなく 
    芸もなきに さまよいて 

    末代までも 成仏できぬは 

    飛んで 火の玉
    あわれなり

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 桜咲く

    2016/05/08

    明るい詩

    春になって 桜の花が咲く 

    それは木の枝でなく 
    心の中に 


    散るために 誰が咲こう 
    花よ 花 

    美しくあろうと なかろうと 
    華やかであろうと なかろうと 

    咲いておれば 
    春爛漫

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • ゆうさ太夫

    2016/05/07

    楽しい詩

    ゆうさ ゆさゆさ 花魁道中 
    金らんどんす 島田もゆれて 

    ゆっさ ゆっさ ゆっさ ゆっさ 
    ゆれるよ 胸も 

    そうよ あちきは花魁 
    浮世のあだ花なのよ

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 清きお水

    2016/05/06

    愉快な話

    わたくしがたまたま助けてさし上げたご老人は 

    自信たっぷりに、このようにおっしゃいました。 

     

    「わしは水道の神である。助けてもらった礼として

     あんたの家の水道水を、あんたが望むものに変えてしんぜよう」

     

    お酒でもジュースでも血液でも、なんでも好きなものが 

    ひとつだけ選べるのだそうです。

     

    ご冗談に決まっておりますが、わたくしは悩んでしまいました。

    なにしろ毎日使うものですから、迂闊なことは申せません。

     

    しばらく悩んだ末に、わたくしはお願いしました。

    「それでは、できましたら、清きお水にしてくださいな」

     

    すると、ご老人はにっこり微笑みました。

    「おお。それはそれは、なかなか賢い選択じゃな」

     

    なので、それからというもの、わたくしの家の水道水は 

    いつもいつも、本当に清きお水なのでした。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • アンテナ帽子

    2016/05/04

    愉快な話

    どうだい、これ? 

    なかなかカッコイイだろ? 

     

    「アンテナ帽子」って言うんだぜ。

     

    見た目だけじゃない。

    機能もすごいよ。

     

    ほとんどすべての周波数帯に対応しているんだ。 

    どんな微弱電波でも拾っちゃうし。

     

    テレビ、ラジオ、各種無線通信、宇宙からの電波。

    それどころか、付近にいる人や動物の意識さえ感知しちゃう。

     

    それを増幅して、翻訳編集して、かぶってる人に伝える。

    いわゆる万能「聞き耳ずきん」のようなものさ。

     

    しかし、口で言っても伝わらないよね。

    ほら、試しに一度かぶってごらん。

     

    とにかく、すっごいんだから。

     

    びっくりするよ。

    人間不信になること、まず間違いなしさ。

     

    おや、疑ってるね。

    それに怖いんだ。

     

    ちゃんと聞こえてるよ。

    あはは。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • Coin Toss

    2016/05/03

    思い出

    画面には男の片手だけが見える。

     

    一枚のコインを親指の爪で弾き、打ち上げる。

    落ちてきたそれを受け取り、再び打ち上げる。

     

    「今度こそ、あいつを始末しろ」

    手の持ち主の声がする。

     

    悪の組織のボスであろう。

    彼の声は聞こえるが、決して顔は見せない。

     

    男の片手はコインを打ち上げ続ける。

    「失敗は許さんぞ」

     

     

    ・・・・以上、古いTVアニメの一場面である。

     

    小学生だった当時の僕は、この謎の人物の片手に魅せられた。

    正確に言うなら、片手による連続コイントス。

     

    適当なコインを手に入れ、毎日のように練習した。

    そのうち右手の親指の爪が変形してしまったほどだ。

     

    おかげでかなり上達した。

     

    指だけで1mくらい、腕も使えば10mは上がる。

    低めに抑え、コインの回転速度を上げると「ブーン」と音がする。

     

    打ち上げ、受け取り、セットを右手だけでスムーズに行えるようになり 

    やがて左手だけでもできるようになった。

     

    その結果が表であろうが裏であろうが関係ない。

    単純に上達する過程が楽しかったのだ。

     

     

    で、このささやかな特技が人生において役に立ったのかと言うと 

    うーん、ちょっと思い出せないな。

     

    せいぜい、この話を書けたくらいか。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 風よ 吹け

    吹け 吹け 風よ 

    風よ 吹け 

     

    遠慮はするな 

    情けは無用 

     

    うなれ 吠えろ 

    叫べ 泣け 

     

    どす黒く 胸に渦巻く 

    不安や 悩み  

     

    届かぬ愛や 叶わぬ夢 

    悔しさ 悲しさ 欲望も 

     

    みんな みんな 

    吹き飛ばせ 

     

    吹け 吹け 風よ 

    風よ 吹け

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 叩いてよ

    2016/05/01

    ひどい話

    彼女が言うのだ。

    「叩いてよ」

     

    脈略のない彼女のことでもあり 

    なんとなく叩きたい気分でもあったので 

    俺はためらわずに彼女の頬へ平手打ちをくれてやった。

     

    大きな音と衝撃があったにもかかわらず彼女は言う。

    「もっと強く」

     

    さすがに今度は俺もためらう。

    彼女は涙目になり、その頬は赤い。

     

    しかし、ここでやさしさを装ってはならない。

    そういうありきたりな流れは俺がもっともきらうところのものだ。

     

    二度目の平手打ちで崩れるように彼女は床に倒れた。

    ちょっと強く叩き過ぎたかもしれない。

     

    よろめきながらもなんとか立ち上がった彼女の唇は切れ 

    形のよいあごの先からポタポタと血が垂れた。

     

    「今度はあたしに叩かせてよ」

    やや発音の悪くなった彼女の声。

     

    「いいよ」

    断る理由は見つからない。

     

    「目を閉じて」

    思い詰めたように彼女は言う。

     

    俺は素直に目を閉じる。

     

    彼女が部屋を出て、台所の戸棚を開ける音がして 

    すぐに戻ってくる足音がする。

     

    見えない俺の目の前に彼女が立つ。

     

    「叩くよ」

    彼女の荒い息づかいが聞こえる。

     

    歯を喰いしばっている関係で俺は首だけ振る。

    (俺、そんなに何か悪いことしたっけ?)

     

    それから・・・・

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
RSS
k
k