いじめ
2012/12/18
「お願いがあるの」
かわいらしい少女でした。
「はい。なんでしょうか」
「いじめて」
天使のようにほほえむのです。
「あたしをいじめて欲しいの」
僕は返事に困りました。
「それはまた、どうして?」
「どうしても」
「どうしても、と言われても」
「あたし、いじめられたいの」
「いじめられたいの、と言われても」
「困ったわ」
「困りましたね」
少女は今にも泣きそうです。
「いじわる!」
うしろ姿がさびしそうでした。
すごく悪いことをしてしまったような気がしました。
「わかりました」
僕は覚悟を決めました。
「やってみましょう」
すると、天使が振り返りました。
「ほんと?」
白い翼さえ見えたような気がしました。
「うれしい!」
でも、僕には彼女をいじめる自信など
これっぽっちもないのでした。
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