Tome Bank

main visual
FAV
1,206
作品数
3,356
48
フォロワー
45

Tome館長

CREATOR

FAV
1,206
作品数
3,356
48
フォロワー
45

水たまり

2008/11/23

明るい詩

にわか雨の雨あがり

水たまりに虹が架かる

元気に跳び越える子どもたち


 長靴に落ちた
 蛙の子

 迷子の迷子の
 河童の子

 傘の花咲き
 実がなって

 みんなアヒルが
 食べちゃった


ペダルに足の届かない少年が
買ってもらった自転車で虹を追う

「どうして僕から逃げるの?」


飛べない自転車では
虹を渡れない

水たまりの虹が
壊れてしまうから
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

ミーミとミミー

2008/11/22

不思議な詩

 
耳の穴の奥に 小人が住んでいる。


小人は子どもで ふたりいて

右耳は男の子で ミーミ
左耳は女の子で ミミー

どちらもとっても いたずら好き。


真夜中、眠っていると
耳の穴の奥から 這い出てきて

ウーン と背伸びしてから
耳たぶにぶら下がる。


カタツムリの背に乗って
鼻息でラッパをプカプカ吹いたり

ハンマーで鼓膜を
ドンドン叩いたりする。


だから、病気になったときに
耳鳴りがしたりするのは、じつは

ミーミとミミーのせいなのだ。
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

迷 い

2008/11/21

暗い詩

気づかない
ふりをしていた


黙って
うつむいたままの

君が

そこにいるのに

なにかに心を奪われ

まるで君なんか
そこにいなくて

昨日のことなんか
もうすっかり忘れてしまって

意味のない笑みを

いやらしく
横顔に浮かべながら

なにも気づかない
ふりをして

むしろ見せつけるように

君がそこからいなくなるまで

君ではない
誰かと

君に関係のない
なにかについて

ずっと
話し続けた


迷いがあった

そんな気がする
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

魔法の目薬

2008/11/21

暗い詩

  母親は
  魔女に違いない。

  呪文を唱え、
  我が子に魔法の目薬をさす。


一滴で、見えるものが見えてくる。

二滴で、見たいものが見えてくる。

三滴で、見るべきものが見えてくる。

四滴で、見えないものが見えてくる。

五滴で、見たくないものが見えてくる。

六滴で、見てはいけないものが見えてくる。

七滴で、見えるものが見えなくなる。
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

墓 標

2008/11/19

変な詩

ハネなしチョウの墓を
 たくさん見つけた

それは鼻なしゾウの
 たくさんの足跡


ハネなしチョウの群を
 鼻なしゾウが踏んだ

その足跡が
 ハネなしチョウの

   墓標なのだ


ただそれだけなんだけど
 なんとなく笑ってしまう

   ハネがないのにチョウだなんて
    鼻がないのにゾウだなんて
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

僕と君

2008/11/18

空しい詩

僕がどうしようもない缶詰だった頃
君はピッカピカの缶切りだった

僕の汚れたブリキの蓋を開けたから
銀色の君の刃先が汚れてしまったね

その君の刃先の汚れを取ろうとして
拭った僕の手がまた汚れていたっけ


結局のところ 僕は僕を見失い
あれから救いようのない空缶さ

今頃 君はどうしているだろう
僕の腐った中身を食べてしまって
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

牧場にて

2008/11/17

空しい詩

牛よ 牛
 牧場の牛よ

   おまえの脇腹の模様は
    あの空の雲そっくりだ


遠く厩舎を離れ
 その小さな目で

   なにを見るのか


おまえが飲み込んだ草は

  おまえの胃と口との間を
   なん度も往復するだろう


だから 牛よ
 牧場の中の牛よ

   あの錆びた有刺鉄線の柵は
    おまえの地平線なのだ


反芻の日々
 繰り返しの日々

   そこから日は昇り
    そこへと日は沈む
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

傷 口

2008/11/16

愛しい詩

傷口を舐めてあげる

  ほら まだ血がにじんでる
   あんた 野鼠みたいに怯えてる

     あたしのこと なんにも知らない


傷口を塞いであげる

  こんなの 使い捨ての唇
   傷は浅い 舌の先が底まで届く

     あんたのこと なんにも知らない


傷口を開いてみようか

  なんだか苛めてみたくなる
   この痛み ずっと忘れないでね

     あたしたちのこと 誰も知らない
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

福音書

2008/11/16

空しい詩

あなたがたによくよく言っておく。


どのような窮地に陥ったとしても
あなたがたは神をあてにしてはならない。

なぜなら、あなたがたを救えるのは
あなたがたでしかないからである。


つねに神はあなたがたとともにあり
あなたがたが生きているということが

そのなによりのあかしである。


そのようなあなたがたによって
あなたがたが救えないとすれば

ともにある神によってもまた
あなたがたは救えないのである。
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

ピンクのフクロウ

2008/11/15

変な詩

家の近くの 森の奥に
 ピンクのフクロウがいる


奇妙なことに
 その肩の上で

   ピンクの丸い顔が
    ころころ 転がる


普通のフクロウは ともかく
 ピンクのフクロウは いつも

   「今晩は」

     と 静かになく
 

コメント

ログインするとコメントを投稿できます。

すべてのコメントをみる

好きな作品やお気に入りリストに追加したい
作品にFAVしましょう。

illumyのアカウントを作成するとFAVできるようになります。

好きなクリエイターをフォローして
新しい作品をいち早くチェックしよう。

illumyのアカウントを作成するとフォローできるようになります。

好きな作品に応援コメントを投稿しよう。

illumyのアカウントを作成するとコメントできるようになります。