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  • 水たまり

    2008/11/23

    明るい詩

    にわか雨の雨あがり

    水たまりに虹が架かる

    元気に跳び越える子どもたち


     長靴に落ちた
     蛙の子

     迷子の迷子の
     河童の子

     傘の花咲き
     実がなって

     みんなアヒルが
     食べちゃった


    ペダルに足の届かない少年が
    買ってもらった自転車で虹を追う

    「どうして僕から逃げるの?」


    飛べない自転車では
    虹を渡れない

    水たまりの虹が
    壊れてしまうから
     

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    • Tome館長

      2012/07/21 15:27

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2012/07/18 11:17

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • ミーミとミミー

     
    耳の穴の奥に 小人が住んでいる。


    小人は子どもで ふたりいて

    右耳は男の子で ミーミ
    左耳は女の子で ミミー

    どちらもとっても いたずら好き。


    真夜中、眠っていると
    耳の穴の奥から 這い出てきて

    ウーン と背伸びしてから
    耳たぶにぶら下がる。


    カタツムリの背に乗って
    鼻息でラッパをプカプカ吹いたり

    ハンマーで鼓膜を
    ドンドン叩いたりする。


    だから、病気になったときに
    耳鳴りがしたりするのは、じつは

    ミーミとミミーのせいなのだ。
     

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  • 迷 い

    2008/11/21

    暗い詩

    気づかない
    ふりをしていた


    黙って
    うつむいたままの

    君が

    そこにいるのに

    なにかに心を奪われ

    まるで君なんか
    そこにいなくて

    昨日のことなんか
    もうすっかり忘れてしまって

    意味のない笑みを

    いやらしく
    横顔に浮かべながら

    なにも気づかない
    ふりをして

    むしろ見せつけるように

    君がそこからいなくなるまで

    君ではない
    誰かと

    君に関係のない
    なにかについて

    ずっと
    話し続けた


    迷いがあった

    そんな気がする
     

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  • 魔法の目薬

    2008/11/21

    暗い詩

      母親は
      魔女に違いない。

      呪文を唱え、
      我が子に魔法の目薬をさす。


    一滴で、見えるものが見えてくる。

    二滴で、見たいものが見えてくる。

    三滴で、見るべきものが見えてくる。

    四滴で、見えないものが見えてくる。

    五滴で、見たくないものが見えてくる。

    六滴で、見てはいけないものが見えてくる。

    七滴で、見えるものが見えなくなる。
     

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  • 墓 標

    2008/11/19

    変な詩

    ハネなしチョウの墓を
     たくさん見つけた

    それは鼻なしゾウの
     たくさんの足跡


    ハネなしチョウの群を
     鼻なしゾウが踏んだ

    その足跡が
     ハネなしチョウの

       墓標なのだ


    ただそれだけなんだけど
     なんとなく笑ってしまう

       ハネがないのにチョウだなんて
        鼻がないのにゾウだなんて
     

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    • Tome館長

      2012/07/27 10:43

      ケロログ「mirai-happiness☆」舞坂うさもさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/07/17 13:09

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 僕と君

    2008/11/18

    空しい詩

    僕がどうしようもない缶詰だった頃
    君はピッカピカの缶切りだった

    僕の汚れたブリキの蓋を開けたから
    銀色の君の刃先が汚れてしまったね

    その君の刃先の汚れを取ろうとして
    拭った僕の手がまた汚れていたっけ


    結局のところ 僕は僕を見失い
    あれから救いようのない空缶さ

    今頃 君はどうしているだろう
    僕の腐った中身を食べてしまって
     

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  • 牧場にて

    2008/11/17

    空しい詩

    牛よ 牛
     牧場の牛よ

       おまえの脇腹の模様は
        あの空の雲そっくりだ


    遠く厩舎を離れ
     その小さな目で

       なにを見るのか


    おまえが飲み込んだ草は

      おまえの胃と口との間を
       なん度も往復するだろう


    だから 牛よ
     牧場の中の牛よ

       あの錆びた有刺鉄線の柵は
        おまえの地平線なのだ


    反芻の日々
     繰り返しの日々

       そこから日は昇り
        そこへと日は沈む
     

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  • 傷 口

    2008/11/16

    愛しい詩

    傷口を舐めてあげる

      ほら まだ血がにじんでる
       あんた 野鼠みたいに怯えてる

         あたしのこと なんにも知らない


    傷口を塞いであげる

      こんなの 使い捨ての唇
       傷は浅い 舌の先が底まで届く

         あんたのこと なんにも知らない


    傷口を開いてみようか

      なんだか苛めてみたくなる
       この痛み ずっと忘れないでね

         あたしたちのこと 誰も知らない
     

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  • 福音書

    2008/11/16

    空しい詩

    あなたがたによくよく言っておく。


    どのような窮地に陥ったとしても
    あなたがたは神をあてにしてはならない。

    なぜなら、あなたがたを救えるのは
    あなたがたでしかないからである。


    つねに神はあなたがたとともにあり
    あなたがたが生きているということが

    そのなによりのあかしである。


    そのようなあなたがたによって
    あなたがたが救えないとすれば

    ともにある神によってもまた
    あなたがたは救えないのである。
     

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  • ピンクのフクロウ

    2008/11/15

    変な詩

    家の近くの 森の奥に
     ピンクのフクロウがいる


    奇妙なことに
     その肩の上で

       ピンクの丸い顔が
        ころころ 転がる


    普通のフクロウは ともかく
     ピンクのフクロウは いつも

       「今晩は」

         と 静かになく
     

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