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2015/08/21
忘れているような気がする。
なにか大変なことを。
「なんだっけ?」
「知らないわよ」
そりゃそうだ。
唐突に尋ねてもな。
「わし、なにか忘れてるみたいなんだよ」
「あんた、みんな忘れてるじゃない」
ああ、そうか。
「そう言えば、あなた、どなたでしたっけ?」
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2015/08/20
妻の部屋に侵入した。
まずは挨拶。
「お邪魔します」
妻が返事をする。
「あら。夫婦なのに水臭い」
おれは用件に入る。
「では、金を出せ!」
右手には拳銃。
「あんまりよ」
妻は財布からコインを取り出す。
おれは首を振る。
「札にしろ」
「無理よ。家計が苦しいのに」
「おれは空腹が苦しい」
なんとか紙幣を奪うことに成功した。
「それじゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
おれは玄関を出ると
拳銃を郵便受けに入れ
いつものように最寄駅へ向かうのだった。
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2015/08/19
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2015/08/18
ろくでもない日々の
救いようのない一刻一刻の
うんざりするような
繰り返しの中で
錆びついた扉を
無理に開けなくても
その隙間から
または鍵穴から
着替え中の君の肌が
チラリと見えてしまうような
そんなささやかな
本当に情けないくらい
ささやかな
いいことだって
あるさ
たまには
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2015/08/17
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2015/08/16
君がくれた
Teardrop
どんな味がするんだろ?
すっぱいのかな
しょっぱいのかな
それとも案外
にがかったりして
甘くない気はするけれど
甘酸っぱい可能性はあるかな
あるかな
あるかな
舐めるかな
君がくれた
Teardrop
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2015/08/15
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2015/08/14
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2015/08/13
傾きに気づいた頃には
すっかり家は浸食されていた。
壁や柱は喰い散らかされ
床はへこみ、天井には大きな穴。
ここまでひどいとは思わなかった。
いまさらリホームしても手遅れだろう。
仕方がない。
おれは家に火をつけた。
メラメラと燃えあがる我が家。
土台までしっかり焼けるよう
灯油も少しばかり注いでやった。
さて、家は完全に焼け落ちた。
しばらくはホームレスだ。
ただし、テントはある。
寝袋だってある。
水とトイレは近所の公園。
まあ、なんとかなるだろう。
汚れた灰色の夜空に向かって
おれは誓う。
今度こそ浸食されない家を築いてやるぞ、と。
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2015/08/12
君に届けと
落とした しずく
波紋となって ひろがって
ひろがって
どうにか こうにか
君が岸辺に
たどりついたれど
ついたれど
波紋はやぶれ うすまって
うすまって
もはや どこの波やも
わからない
わからない
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