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  • 困った人

    2016/05/31

    論 説

    困った人がいる。

     

    身内にも 近所にも 職場にも 

    それこそ どこにでもいる。

     

    ルール無視 はた迷惑 

    ろくでもないことばっかりする。

     

    放っておけないほど困った人 

    ニュースになるほどの大物もいる。

     

    このような困った人たちの扱いが 

    簡単ではないから また困る。

     

    追い出そうとしても抵抗する。

     

    主張しても認められないから 

    正当防衛で殺すわけにもいかない。

     

    正直なところ 消えていただきたい。 

     

    ところが ひっそり消えてくれないから困る。

    消えるにしても わざわざ迷惑な死に方を選ぶ。

     

    まったくもって困った人。

     

    迷惑に対する正当防衛  

    ある程度 認めてくれないものかな。

     

    運用は難しいだろうが 

    迷惑の抑止力にはなると思うぞ。

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  • 青白い画面

    2016/05/30

    変な話

    訪れるはずの友人の姿は家の中に見つからない。

    まだ到着していないのかもしれない。

     

    玄関から首を突き出して外を眺める。 

    庭の端に自転車が五台も置いてある。

     

    見慣れぬデザイン。最新型であろう。

    どうやら兄の客が来ているらしい。

     

    母の話では、全員が外国人だそうで 

    この国の言葉を学んでいるのだという。

     

    兄たちの話し声が聞こえてくる。

     

    応接室には誰もいない。

    おそらく二階の兄の部屋に集まっているのだろう。

     

    テレビには青白い画面が映っている。

    観る者のいない、つけっぱなしのテレビ。

     

    我慢できず、リモコンのスイッチをOFFにする。

    なぜか消えないので、本体のスイッチを切る。

     

    それでも消えないので、電源コードを抜く。

    なのに、どういうわけか青白い画面は消えてくれない。

     

    諦めて応接室を出ようとして、ふと不安になる。

     

    あの青白いテレビ画面を観ていたのは誰だったのだろう。 

    兄たちではなく、この自分ではなかったか。

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  • レッテルを貼る

    2016/05/29

    変な話

    (あれ?)

    レッテルはどこにも存在しない。

     

    (クスッ)

    想像上の産物である。

     

    (ペタッ)

    しかし、貼ることはできる。

     

    (こいつ、変なやつ)

    貼った本人にはレッテルが見える。

     

    「おい、おまえ。なに笑ってんだよ」

    レッテルを貼られた相手には見えない。

     

    「だって、君があんまり変なことしてるから」

    ただし、教えてやると見えてきたりする。

     

    「おいおい。おかしなレッテル貼るなよ」

    一度貼られたら、なかなか剥がせない。

     

    「だって君の背中、いかにも貼りやすいんだもん」

    貼られたレッテルの上にさらに貼られたりもする。

     

    「いやいや。おまえの方がもっと変だぞ」

    たまに貼り返されたりもする。

     

    「知ってるよ」

    自分で自分に貼ることもできる。

     

    「まったく変なやつだな」

    レッテルの文字が大きくなったりする。

     

    「うん。まあね」

    そうそう。あんまり気にしないことだね。

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  • 堕天使

    2016/05/28

    暗い詩

    あの灰色の濁った空から 

    この腐った大地に 

     

    たくさんの 

    たくさんの天使たちが 

     

    乱れ 汚れ くたびれはてて 

     

    ボタボタ ボタボタ 

    堕ちてくる。 

     

     

    かつての純白の衣や 

    張りのある翼 清き肌も 

     

    今はもう 面影さえなく 

     

    その虚ろなる眼まなこは 

    死魚にも似たり。

     

     

    ああ 主よ 

    天にまします 我らが父よ 

     

    我らが行いの 

    何がいけなかったのか 

     

    または 

     

    恐れながら 

    まことに恐れながら 

     

    そのように我らをあらしめた 

    あなた様が定めの 

     

    何がいけなかったのか 

     

    願わくは 

    知らしめたまえ。

     

     

    アーメン

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  • 雪だるま

    雪が降った。

     

    妹が小さな雪だるまを作った。

     

    それを僕が壊した。

     

    妹は泣いた。

     

    僕は困った。

     

    僕は企んだ。

     

    僕は大きな雪だるまを作った。

     

    それを妹が壊した。

     

    僕は泣くふりをした。

     

    妹は笑った。

     

    僕も内心で笑った。

     

    雪だるまは怒っていた。

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  • 忍び寄るリスク

    2016/05/26

    論 説

    暗闇を手探りで進むのは明らかに危険であるが 

    そのまま動かないでいるのはさらに危険であろう状況がある。

     

    大きな地震の直後に余震や津波が懸念されるなど 

    あまりに環境が不安定で、予想される変化が過激な場合。

     

    ギャンブルに限らず未知の不確かなことに取り組むのは 

    あるやなしやのメリットと共に、あるやもしれずのリスクを伴う。

     

    できれば何もせず、大人しく寝ていたい。

    眠ってさえいれば悩みも苦労もなく、とにかく楽だから。

     

    しかしながら、近頃の世の中の変化は滅法激しい。

    今日が大丈夫だからと明日に対する準備を怠るのは危険。 

     

    現代の成功者と呼ばれる人たちが口をそろえて言う。

    「むしろ何もしないでいるのはリスクである」と。

     

    環境の変化に対応できない状態は「ボケ」に等しく 

    せめて世の流れを読む努力くらいは日々続けたいものだ。

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  • ほどほどの関係

    あなたの悩みは 

    ほとんど私の悩みでもあるけれど 

     

    あなたの苦しみは 

    厳密に私の苦しみとは言えない。

     

    ましてや 

     

    あなたの痛みは 

    決して私の痛みではあり得ない。

     

     

    ただし、その代り 

     

    私の苦しみは 

    厳密にあなたの苦しみではなく 

     

    私の痛みもまた 

    決してあなたの痛みではないはず。

     

    つまり 

     

    良くも悪くも 

    お互い様というわけだ。

     

     

    ほどほどに温かくて 

    ほどほどに冷たい。

     

    そのような関係で 

    いいのではないかな。

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  • 葡萄パンの気持ち

    2016/05/24

    明るい詩

    葡萄パンは 
    干しブドウ入りパン。


    なぜ干しブドウが入っているのか 
    と言うと 

    それに含まれる天然酵母が 
    パン生地をふくらませてくれるから。

    そして 
    おいしいから。


    葡萄パンの気持ちは 
    葡萄パンにしかわからないだろうけど 

    葡萄パンの味は 
    葡萄パンにはわかるまい。

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  • 腹の虫

    2016/05/23

    愉快な話

    「グルルルル」

    腹の虫が鳴き始めた。

     

    うるさいのでエサを与えてやる。

    お菓子が少しあったので、それを食べた。

     

    カビの生えたかりんとう。

    僕が食べると、すぐに腹の虫のところまで届く。

     

    腹の虫はいやしいから、なんでも食べる。

    どうせかりんとうみたいなフンを出すんだし。

     

     

    「ギュルルルル」

    しばらくすると、また鳴き出した。

     

    うるさいな。

    迷惑電話みたいなやつだ。

     

    すぐに与えるとくせになるから、放っておく。

     

     

    「ゴロゴロゴロゴロ」

    鳴き声が変わった。

     

    どうやら怒ったらしい。

    腹の虫がおさまらないようだ。

     

    ふん、たかが虫のくせに。

    無視、無視。

     

     

    「ゾロゾロゾロゾロ」

    なんだなんだ、この鳴き声は? 

     

    うわああああ、腹の虫が外に出てきた!

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  • 笑っちゃう

    2016/05/21

    暗い詩

    それはそれは 

    まことに悲惨な事件なのであって 

     

    決して笑い事ではない 

    とは 思うものの 

     

    なんだか とっても おかしくて 

    つい 笑ってしまった。

     

     

    すると それを

    「不謹慎だ」と 怒る人がいて 

     

    それもまた なんだか おかしくて 

    ついつい 笑ってしまった。

     

     

    なぜだろう。

    おかしいな。

     

    笑ってる場合じゃないのにね。

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