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    Works 3,356
  • 待ちぼうけ

    待つのはきらい
    消えたくなる

    泣くのもきらい
    捨てたくなる


    こんなことするため
    ここにいるんじゃない

    こんなことしたいため
    生きてるんじゃない
     

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  • Mystery

    2012/03/30

    暗い詩

    殺人現場は血の海で
    漂う膨れた全裸死体

    浮いては沈む指紋の波が
    血塗りの壁に打ち寄せる

    穴だらけの密室
    凶器は殺し文句

    目撃者は剥製の虎
    密告者は義眼の猿

    手作りのアリバイ
    子ども騙しの偽証

    不謹慎な動機
    不透明な殺意

    容疑者はあなた
    被害者もあなた

    迷宮に響く
    怪しき叫び
     

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  • 織姫の糸

    2012/03/29

    愛しい詩

    織姫の
     糸は切れぎれ

        さなきだに
     つのる想いぞ

          雪の降るらん
     

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  • ブーメラン

    2012/03/28

    変な詩

    空は晴れていた。

      僕は嬉しくなり、
       空に向かってブーメランを投げる。

         戻ってくるブーメラン。


    ブーメランを投げる。

      王様の首がとぶ。

        まあいいさ。


    ブーメランを投げる。

      親の首がとぶ。

        申しわけない。


    ブーメランを投げる。

      恋人の首がとぶ。

        ごめんね。


    ブーメランを投げる。

      僕の首がとぶ。

        やれやれ。
     

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  • 歩道の絵

    2012/03/27

    怖い話

    かわいらしい男の子がひとり、

    色々な色のクレヨンを使って
    歩道の真新しい石畳に絵を描いている。

    その無邪気な瞳。
    折れてしまいそうな細い指。


    それにしても、奇妙な絵。

    男の胸にナイフを刺す女の絵。
    血の色のヘビが歩道を這っている。

    不思議そうに見下ろす通行人たち。


    やがて、母親が男の子を迎えにくる。

    「ママ!」
    女の腰に抱きつく男の子。

    「ねえ、パパはどこ?」


    あやしく微笑む女。
    「そうね。このあたりだったかしら」

    黒いハイヒールが石畳を叩く。
     

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  • ポリ袋の中の思い出

    2012/03/26

    切ない話

    彼はたくさんの思い出を持っている。

    役に立ちそうもないものばかりなので
    他人が見たら呆れるしかない。


    それぞれポリ袋に入れてあり、
    それぞれラベルまで貼ってある。

    ラベルにはタイトルが記されてある。

    たとえば・・・

    小石が一個入っていて、
    「修学旅行にて、バスガイドさんが蹴った」

    ひどく短い鉛筆には、
    「同級生の女の子の似顔絵を描いた」

    割れたボタンの場合、
    「誰もいない冬の海岸で拾った」

    前歯が一本、
    「バイク事故の記念」

    日めくりカレンダーの切れ端、
    「失恋した日に破った」

    ・・・そんなのばっかり。


    机の引き出しの中。
    押し入れの段ボール箱の中。

    棚の上の籠の中。
    ジャンバーのポケットの中にまである。


    彼がどんな気持ちでタイトルを書き、
    どんな気持ちでラベルを貼るのか。

    そして、どんな気持ちでポリ袋に入れ、
    どんな気持ちでポリ袋を閉じるのか。

    なるべく僕は考えないようにしているけれど
    それでもつい想像してしまったりする。

    そんな時は、なんだか
    たまらなく哀しい気持ちになったりする。


    彼は、とても不器用で引っ込み思案だ。

    他人に見捨てられやすい性格だから
    見捨てられやすいものを見捨てられないのだ。


    「もしも僕が君と絶交したら
     新しいポリ袋がひとつ増えるんだろうね」

    僕がそう言うと、彼は弱々しく笑うけど。
     

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    • Tome館長

      2013/11/10 16:07

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/03/31 01:54

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 凍った雫

    2012/03/25

    暗い詩

    銀色の 
    ナイフの刃先を 

    さっと 
    煌めかせ 


    切ったばかりの 
    傷口から 

    ドク 
    ドク 
    ドク 

    と 

    溢れ出て 


    生命線を伝って 
    運命線に流れ込み 

    知能線と感情線を 
    するりと乗り越え 


    幾本かの 
    指の先から 

    ポタ 
    ポタ 
    ポタ 

    と 

    赤い雫が 
    垂れ 

    垂れ 
    垂れ 
    垂れ 

    垂れる途中で 
    凍ってしまい 

    いくつもの 
    いくつもの 

    キラキラ 
    光る 

    真っ赤なルビーに 

    なりました 


    ころ 
    ころ 
    ころ 


    きれいだね 

    うふふ
     

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    • Tome館長

      2012/06/03 14:28

      「さとる文庫」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/03/25 12:22

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • Snow Dance

    2012/03/24

    楽しい詩

             降る雪 降る雪

            降る 降る 降るよ


              たくさんの

            雪 雪 雪 雪


             白くて 小さな

           天から届く お手紙よ


          文字は結晶 六角 三角

          こな雪 わた雪 ぼたん雪


        真っ赤な ホッペに くっついた


             舞う雪 舞う雪

            舞う 舞う 舞うよ


             子犬も 舞うよ

             子供も 舞うよ

        みんな みんな みんなが 舞うよ


         雪 雪 雪 雪 雪 雪 雪 雪

    降る 降る 降る 降る 降る 降る 降る 降る

    舞う 舞う 舞う 舞う 舞う 舞う 舞う 舞う


         雪 雪 雪 雪 雪 雪 雪 雪

    降る 舞う 降る 舞う 降る 舞う 降る 舞う

      雪 舞う 雪 舞う 雪 舞う 雪 舞う


            雪ん子 雪ん子

            雪ぐつ はいて


            雪ん子 雪ん子

             天まで 昇れ
     

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    • Tome館長

      2012/03/26 17:56

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2012/03/24 10:18

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • うつろな心

    わかってもらいたい人に
     わかってもらえないのは

       とてもつらく、
        とても哀しい。


    人と人とが互いに
     わかり合える部分は

       気持ちや考えの
        ほんの表面的な

          ほんの一部に過ぎない
         ということ、

       せめてそれくらいは
        君と

          わかり合いたい。
     

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  • 日没の前に

    2012/03/22

    変な話

    私は走っていた。
    そして、焦っていた。

    この先にある目的地まで、私は 
    どうしても日没までに辿り着かねばならない。

    けれど、それは死を意味していた。

    日没を過ぎれば、友の死。
    日没の前であれば、私の死。

    どちらも耐え難い。
    できれば、どちらも避けたい。

    そこで私は考えた。
    ちょうど日没と同時に到着したらどうだろうか、と。

    友は殺せまい。
    私も殺されまい。

    ・・・・甘い考えだろうか。

    私は走りながら腕時計の時刻を読む。
    目的地点における日没時刻は計算済みだ。

    私は走る。
    とにかく走る。

    途中、目の前に亀が歩いていた。

    私が現在の亀の位置に辿り着いた時 
    この亀は少しばかり前進しているはずだ。

    その少しばかり前進した位置に私が至った時 
    さらにほんの少しばかり亀は前進しているはずだ。

    ・・・・などと考えているうちに 
    私は亀を追い越してしまっていた。

    私は走る。
    ひたすら走る。

    脚が痛い。
    胸が苦しい。

    頭が割れそうだ。

    それでも走る。
    それでも私は、走り続ける。
     

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