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2016/02/19
水の入ったバケツを兄の家に届けて帰ると
家には父が帰宅していた。
「風呂に入りたいな」
独り言のように父がつぶやく。
あなたの望みは叶えてやりたいが、あいにく
バケツ一杯の水がなければ風呂に入ることはできない。
「わかりました。すぐ戻ります」
そう言い残し、急いで兄の家に引き返す。
ところが、着いたところは兄の家ではなく
ガラス張りの白っぽいビル。
ガラスのドアを引き戸式に開け
最上階にあるオフィスに侵入する。
休日なのか誰もいない。
バケツが見当たらないので出ようとすると
ガラスの入り口から放し飼いの黒ウサギが侵入している。
このままドアを閉めてしまったら
無人のオフィスの中で飢え死にするだろう。
持ち上げて通路に出てからドアを閉め、鍵をかける。
黒ウサギとは別に灰色ウサギが一羽、通路にいて
開いた引き戸にあやうく挟まるところだった。
こちらを不思議そうな表情で見上げる。
いけないことかもしれないが
持ち帰るつもりで灰色ウサギを抱き上げる。
さて帰ろうとすると
二人の掃除婦がお喋りしながら階段を下りるところ。
彼らをやり過ごしてからビルを出よう。
しかし、よくよく考えてみると
掃除婦ならバケツの一つぐらい持っていたかもしれない。
手持ちぶさたに視線を下せば
じっとこちらを見上げる灰色ウサギ。
いかにも問い質したそうな
そのつぶらな瞳。
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2016/02/18
「クルマは便利だ」などと言うが、迷信だと思う。
免許証と駐車場は必要だし、ガソリン代もかかり
手続きやメンテナンスも手間。
また、たとえクルマAの乗員が便利だと感じても
歩行者やクルマBの乗員にとってAの存在は
邪魔で危険で迷惑でしかない。
クルマを使う以上、車道の建設や整備、法規制による管理も必要。
個人の大いなるプラスが他人のわずかなマイナスになるだけ
としても、わずかなりとも負の要素が集まれば大いなる負となり
交通渋滞、事故多発、騒音公害、大気汚染を招く。
ケータイだって、そう。
便利なだけではない。
ケータイあるゆえに、ケータイを持ち歩かねばならず
充電せねばならず、着信を確認せねばならず、連絡せねばならず
そのようなケータイのシステムに囚われて生活せねばならない。
機種更新の対応、基地局の確保など
システム全体の整備も大変なはず。
また、ケータイを使うことで恩恵を受けるとしても
ケータイを使わないことで受けたかもしれない恩恵は失われる。
たまに電車に乗ると
ケータイを見つめる自閉症患者ばかりで不安になるが
不便なクルマやケータイを便利または必要と感じる状況が
すでに問題ではなかろうか。
パソコン、インターネットも然り。
それがなければできないことが
それがあることによってできるとしても
それがなくてもできるはずのことが
それがあることによってできなくなってはいまいか。
・・・・とまあ、そういうわけなので
これら文明の利器なるものを使用する理由は
決して「便利で簡単だから」などではなく
「不便でも面白いから」「面倒でもできるから」
などと言うべきではなかろうか。
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2016/02/17
胸騒ぎがして急いで帰宅すると
キッチンで男が電気工事をしていた。
見覚えのない男ではあるが
壁の電灯スイッチのパネルを外している。
ドライバーらしき道具で作業している状況からして
電気工事士であることが推測される。
「いやいや、どもども、すみません」
などと謝ったのに、作業中の工事士は返事もしない。
約束した時間帯に留守をしていたからなのか
どうやら彼は怒っているらしい。
そう言えば、どうやって彼は留守宅に侵入したのだろう。
パネルを外した部分に小さいけれど傷口みたいな穴が見える。
かなり危険な状態であることは素人目にもわかる。
ところで、キッチンの奥には小さなテーブルがあり
その近くに幼なじみの友人のように思える男がいる。
そして、テーブルを挟んで向かい側には少女。
友人の娘であろうか、かわいらしい顔立ちではあるが
発達障害なのか、それとも見た目よりも幼いのか
しきりに体を動かしながら歌うように喋り続けているが
何を言っているのかさっぱりわからない。
ぼやけて見える表情にも奇妙な印象を受けるが
見続けていてもなかなか見飽きない。
どうやら工事は長引きそうである。
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2016/02/16
そのフロアには複数の売り場区画があり
ジャンルに応じたテナントが配置されている。
ただし、フロアのジャンルは不明。
あるいは複数のジャンルがあるのかもしれない。
少なくとも薬や化粧品を売る店はある。
なぜなら、その店に彼女が出勤してきたから。
私は、そのフロア全体の売り場主任のような立場にある。
実際は違うとしても、そのような自覚がある。
私は彼女の方へ顔を向けない状態のまま
背中越しに彼女の位置や言動を意識し続けている。
せっかく久しぶりに再会できたというのに
このような態度をとらねばならない理由がわからない。
ただし、久しぶりと感じるのは今この場であって
あのフロアにおいては毎日のように会えていた気もする。
そのうち彼女は、昔の印象のままの姿で
私の好みでない別の女性と一緒に快活にお喋りしながら
私の目の前を知らんぷりして横切り
私の視界の外へ出てしまった。
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2016/02/15
かの西洋ネズミについて
かくも吾輩が考えてしまうのは
先ほど夢に見てしまったからであり
決してあやつめが有名であるからではない。
吾輩にはさほどかわいいとも思えぬが
愛らしく感じる女子が多いらしく
キャーキャー騒がれておる事
いまいましくも存じておる。
かの地ではダンスなど踊り
キャラクター商品は巷にあふれ
幼児性を執拗に母性愛へ訴えたいのか
高音域の耳障りな裏声で他愛なきをほざく。
童話世界の案内人を自負しておるのか
明るく楽しくにぎやかに華やかに
いつも元気で笑顔を絶やさず
借用も盗用もお構いなし。
これほどまでに吾輩の
心がひねくれてしまうのも
軽佻浮薄でええじゃないかの
すべてがあやつめのせいなのだ。
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2016/02/14
そう。
それはまるで映画を観ているような感じなのだ。
私は映画館の観客なのか、あるいは
その映画の登場人物なのか、判然としない。
いわゆる洋画。
素敵なおじさま風の白髪の老人と
快活で魅力的な若い女。
ふたりはあたかも恋人のように振る舞い
実際にも夫婦か恋人であるらしい。
じゃれる猫のように会話やふれあいを楽しみ
老人の弾くピアノの音色に若い女はうっとりする。
この舞台となる家には、なぜか
ハンサムな若い男が同居していてる。
親密なふたりをからかったり
挑発的に腰を振ってみせたりもするのだが
老人も女も冗談としか受け取らず、平気で笑っている。
彼はふたりの共通の友人なのか
この家の一時的な泊まり客のようであり
さらにまた、感情移入した私自身のようでもある。
最後、若い男がふたりの家を去ることになる。
その時に彼は、女から三つの手紙のような
あるいは三つの言葉そのもののような
いわく言いがたいメッセージのようなものを受け取る。
その三つの配列を並べ替えたり
重ねるように組み合わせたりすると
彼女の秘められたメッセージが読み取れるらしいのだ。
ところが、この若い男でもある私は
それを解読しないうちに映画館を出てしまい
自宅の寝具の中、うすぼんやりと目覚めてしまった。
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2016/02/13
昔、いろんなのが好きだった。
食べるの、寝るの、遊ぶの、学ぶの、
物語、マンガ、テレビ、映画、ゲーム、
おもちゃ、動物、少女、女の人、・・・・
たくさんありすぎて数えきれないほど。
なのに、いつの間にか、それらは
ほとんど失われてしまった。
今、輝きは弱まり、ほとんど消えかけている。
たとえそれほど好きでないとしても
あれこれ手を加えたりすれば
いくらか好きになることはある。
そういうのを「空想」と呼んだりする。
あるいは「創作」
または「夢」かもしれない。
実際、そうすることがなにより好きだったから
他のことなんかあまり気にしてなかった。
ところが今、それすら失いそうな予感が
それをしていながらするのだ。
なにも浮かばない。
好きなのがまったくなくなってしまう。
怖い。
怖くてしかたない。
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2016/02/12
ごく私的な記憶にまつわる話で申しわけない。
読書していて、ふと思い出したのだが
ある会社の社員だった時、ある日から急に
作業報告書のような日報を書くことを強制され
それを週末に上司に提出しなければならないことになった。
最初はきちんと書いて提出していたのだが
そのうち面倒になり、提出が遅れるようになった。
いつか怒られるのではないかと
臆病なので、内心かなり気にしてはいるのだが
どうも気が乗らず、なかなか継続できない。
その上司も、つまらない報告を読みたくないのか
あまり意味ある管理システムと考えていないのか
べつに提出を催促しないものだから
そのうちうやむやになり
そのうち退職してしまったせいか
今この時点まで、すっかり忘れていたのだ。
あるいは睡眠中に見た悪夢の会社だろうか
と疑ったくらいで
どの会社だったか思い出せないくらい
かすかなかすかな記憶。
ところが
こうして書いているうちに少しずつ思い出してきた。
大学ノートだったり、専用の用紙だったりの違いはあれど
今まで正社員として勤めた三つの会社
そのすべてで同じような経験をしてきたのだ。
うまく言えないのだが
書きたくもないものを書かねばならない日々は
もう本当にすっかり忘れてしまいたいくらい
本物の悪夢に似ているような気がする。
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2016/02/11
こうして私は毎日ブログを更新しているわけだけれども
面白いとも思えない記事は残したくないので
またマナーとして残すべきではないと考えるので
毎日のように試行錯誤しながら
苦心して編み出している。
かつて考えたアイデアのメモを参考にしたり
すでに退会したブログの記事データを参考にしたり
しかし、今やそれらからは
ほとんど宝を掘り尽くした気配があるので
本やWeb検索結果やリアル日常を参考にしたり
あとは記憶を頼りに目を閉じてあれこれ考えるくらい。
考えても面白いイメージが得られない状態がしばらく続くと
そのうちどうしても眠くなる。
眠くなったら、あまり抵抗せずに寝ることにしている。
とりあえず寝転んで考えるわけである。
すると、そのまま眠ってしまう場合もあるわけだが
それで面白い夢が見れたらしめたもの。
その面白い夢をネタに記事が書ける。
ところが今回
面白くもなんともない夢を見てしまった。
新しいブログ記事を投稿しようとして
パソコンの前で考えている自分。
それだけ。
しかしながら、まあとりあえず
こうして書き終えることができそうだから
今この現在の予知夢と言えなくもない、かな。
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2016/02/10
電動ドリルで
あなたの額に穴あけて
あなたの その
まちがいだらけの考えを
グリグリ ググリと
ほじくり出して みたきもの
ハゲタカや ハゲワシは
そのハゲ頭を
死体に突っ込むところまで
ハゲあがっている
のだそうです
そのように
ハゲタカや ハゲワシが
申していたわけでは
ありませんけど
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