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2012/08/27
晴れたらいいね
彼女を殺そ
ランラララン
晴れたらいいね
彼女を埋めよ
ランラララン
晴れたらいいね
彼女はいない
ランラララン
ランララ
ランラン
ランラララン
2012/08/15
「やってられるか!」
旦那が会社を辞めた。
「やってられません!」
奥さんが家事を放棄した。
「やってられねえよ!」
息子が学校を退学した。
「やってられないわ!」
娘が家出をした。
さて、
それからどうなったのか
と言うと、
それから先のことは
まったく何も考えていないのでした。
2012/08/12
あちら立てれば、こちら立たず。
出る杭は引抜かれ、沈む船は船員を巻き込む。
世の中、問題だらけ。
地球規模の破滅は近い。
だから、もう放ってはおけない。
長年の極秘研究の成果を試す時が来た。
とうとう生物学兵器が完成したのだ。
いわゆる人工ウイルス。
ウイルスは細胞のない遺伝子のようなもの。
単体では生物とも呼べないが、
他の生物の細胞内で生きることができる。
侵入した寄主細胞内でウイルスは増殖し、
次々と細胞外へ放出される。
寄主細胞を生かすも殺すもウイルス次第である。
細かいことはどうでもよい。
とにかく世界人口を激減させる必要がある。
誰にも相談できないため
その選択基準を独断で決めた。
大胆かつ精密なシステムの上に成立する選択。
分子レベルから説明するのは難しいが、
要するに「善良な人」を残すことにした。
生物学的に善良な人。
社会学的には知らないが・・・・・・
なんにせよ、もう誰にも止められない。
すでに殺人ウイルスは世に放たれた。
なぜなら、すでに私が感染しているから。
そして、どうやら私は
善良な人とは見なされなかったらしい。
2012/07/24
司祭と信者:
父と子と聖霊の御名において、アーメン。
司祭:
回心を呼び掛けておられる神の声に心を開いてください。
もし人の罪をゆるすなら
あなたがたの天の父もあなたがたをゆるしてくださいます。
しかし、人をゆるさないなら
あなたがたの父もあなたがたの罪をおゆるしになりません。
神の慈しみを信頼して、あなたの罪を告白してください。
信者:
はい。
それでは告白します。
ゆるされないことをしてしまいました。
僕は昨日、姉の部屋に忍び込んだのです。
姉は旅行中で、明日まで帰りません。
まだ幼い弟と一緒に出かけたのです。
僕は姉の机の引き出しを開けました。
そして、姉の日記を読んでしまいました。
すごいことが書かれてありました。
僕はおかしな気分になりました。
その日記によると、僕は不幸な子です。
ゆるされない存在なのだそうです。
つまり、姉は僕の母親だったのです。
しかも、弟が僕の父親なのでした。
以上、おもな罪を告白しました。
ゆるしをお願いいたします。
司祭:
なるほど、それはいけませんね。
お姉さんの日記、
あとで私にも読ませてください。
信者:
はい。
司祭:
それでは、神のゆるしを求め、
心から悔い改めの祈りを唱えてください。
神よ。
あなたの慈しみによって私に情けをかけ、
あなたの豊かなあわれみによって、
私のもろもろのとがをぬぐい去ってください。
どうか私の不義をことごとく洗い去り、
私の罪から私を清めてください。
父と子と聖霊の御名において、あなたの罪をゆるします。
信者:
アーメン。
2012/07/18
ひどく古くて
あやしげな鏡台。
亡くなったお婆様の形見だそうです。
「これ、あなたにあげるわ」
お母様が私にくださいました。
「なんでも、あべこべに見えるのよ」
おかしなことをおっしゃいます。
おそるおそる
鏡を覗いてみました。
とても愛らしい
少女のお顔。
私は私の顔を
生まれて初めて見たのです。
私は
いわゆる箱入り娘。
私が生まれた時に
家中の鏡を
お父様がみんな
割ってしまったそうです。
この鏡台だけを
なぜか残して。
右の目をつぶると
左の目が閉じます。
本当に
あべこべに見えるのです。
2012/07/12
【いじめの一般的な定義】
立場の強者が立場の弱者を一方的に痛めつけること。
【いじめの主な手段】
意識的な無視 不快な悪口 あからさまな嫌悪
過剰な非難 理不尽な命令 不当な暴力
仲間はずれ 邪魔者扱い いやがらせ
【いじめる側の主な理由】
いじめているつもりはない。
いじめなければならない。
いじめてもかまわない。
いじめるべきである。
いじめてしまう。
いじめたい。
【いじめられる側の主な原因】
社交性に乏しい。
嫌われやすい。
立場が弱い。
怖くない。
【いじめられる側の主な対策】
いじめに慣れる。
援助を求める。
立場を強化。
報復する。
逃げる。
自殺。
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2012/07/04
われながら最低の殺し屋だと思う。
まともな殺し方ができないのだ。
拳銃で撃ち殺す自信などない。
刃物で殺すのは難しすぎる。
毒薬なんか怖くて持ち歩けない。
格闘なんか冗談じゃない。
それでも殺し屋をやっている。
直接やらずに間接的にやるのだ。
まず、依頼されたターゲットを綿密に調査。
次に分析。そして、計画。
それから実行に移す。
ターゲットが幸福だったら不幸にする。
不幸なら、もっと不幸にする。
たとえば、
恋愛中なら破局へ導く。
野心があれば挫折させる。
夢があれば現実を教えてやる。
地位も家庭も人格も崩壊させる。
いわゆる、社会的な抹殺。
わずかに残った希望さえ奪ってしまう。
つまり、絶望させるのだ。
やがて、ターゲットは自殺してしまう。
手間は掛かるが、安全で確実だ。
それに、なぜか依頼主が喜ぶ。
2012/05/31
街を歩いていたら、因縁を付けられた。
目付きの悪い奴で、性格も悪かった。
「なんだ、その曲がった鼻は。ふざけるな」
顔面を殴られた。
私は、そのまま気絶した。
曲がっていた鼻が
おそらく反対側に曲がったはずだ。
そもそも私の鼻が曲がっていたのは
ちょっと前に、やはり性格の悪い奴に
因縁を付けられ、殴られたからなのだった。
目覚めると、椅子に縛り付けられていた。
身動きできなかった。
見知らぬ薄暗い部屋の中央で
私は目付きの悪い奴らに囲まれていた。
「なるほど。こいつはふざけてる」
「でしょう。絶対に許しませんよね」
「こりゃ、殴らずにいられんな」
そして、殴られた。
すごく痛かった。
「いいな、いいな。この情けない表情」
「まったくもう、我慢できんぞ」
さらに殴られた。
蹴られたりもした。
痛かった。
死ぬかと思った。
「いやいや、たまらん。やめられんな」
さらに殴られ蹴られ、
死ぬんだと思いながら私は再び気絶した。
そこそこ真面目にやっているつもりなのだが
なぜか、いつも私は
ふざけていると思われてしまうらしい。
いじめられやすいタイプなのだ。
子どもの頃からずっと。
目覚めると、ベッドに縛り付けられていた。
身動きできなかった。
冷酷な顔付きの奴らが
最悪な目付きで私を見下ろしていた。
「なるほど。こいつはふざけてる」
2012/05/25
女医に首を切られた。
うかつだった。
白衣の襟に血の模様が鮮やかに染まった。
きれいだった。
窓ガラスは粉々に割れ、
診療室は妙に明るいのだった。
「なかなかなものね。
品評会に出せるかも」
彼女は大きな目を細め、
楽しそうに微笑む。
それから
血のような口紅の唇が
血の気のない唇に触れる。
「なんてひどいことを。
あなたを信じていたのに・・・・・・」
僕の声にも血の気がない。
柔らかな手のひらの上は
なんだか不安定で
僕は不安で一杯だった。
女医の気持ちはどうなんだろう。
その表情からは読み取れない。
僕は彼女の胸に聴診器を当ててみたかった。
「安心なさい。
まもなく戦争が始まるわ」
女医は僕の首を手のひらに載せたまま立ち上がり、
踊りながら軍歌を口ずさむのだった。
メリーゴーランドの木馬のように
僕の目がクルクル回る。
そのため、診療室の割れた窓から
勇ましい駆逐艦の軍旗のはためきが
チラチラ、チラチラ
見え隠れするのだった。
2012/04/13
僕の婚約者が僕ではない男と心中をした。
結局、ふたりは死んでしまった。
それはそれでいい。
ありそうな話だ。
ところが、その男にも婚約者がいた。
もちろん、僕の婚約者とは別の女だ。
お互いに婚約者に心中されたわけだ。
初対面は病院の霊安室だった。
お互い、慰めの言葉もなかった。
「まぬけね」
「そっちこそ」
ふたりとも笑ってしまった。
すぐに僕たちは婚約した。
それから、心中の相手をさがし始めた。
たぶん、お互いに。