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2008/10/16
ようこそ 船酔いお嬢さん
錨を上げたら 水兵さん
両手もあげてもらおうか
そうとも そうよ ご覧の通り
恐れ多くも 俺たちゃ海賊
片目は義眼 片足ゃ義足
五つの大陸 六人の女
七つの海に 八つの災い
殴って泣かせ 奪って殺す
海に捨てりゃ 鮫の野郎が喜ぶぜ
髑髏の旗は 血に飢えて
よだれ垂らして舌なめずり
俺たちの羅針盤に 天国はねえ
面舵いっぱい 進路は地獄よ!
2008/10/15
意地悪な砂男は
砂に埋もれて
眠ってしまった
眠れ 眠れ
深く 眠れ
羊たちも眠くって
柵にもたれて
眠ってしまった
眠れ 眠れ
静かに 眠れ
眠り姫も眠くって
夢の中でまた
眠ってしまった
眠れ 眠れ
やすらかに眠れ
2008/10/14
屁をひらせては並ぶ者のない女がいた。
その音色の妙なること
その香りの芳しきこと
まさに神技とまで称えられた。
全国から挑戦者が跡を絶たなかったが
放つ音の大きさはともかく
調べに趣のないこと甚だしく
香りにおいては比ぶるべくもない。
おなら姫の名で人々に愛でられたが
歌詠みとしても名高く
香るような名歌を数多く残している。
ぺぺぱぽぽ ぱぴぷ ぴぴぱぽ ぷぷぷぷぷ
ぺぽぽぽ ぺぽぽ ぶぴぺぺ ぱほへ
2008/10/14
ほら ここんとこをね
いいかい こうやって
えいって むいちゃうんだ
で こいつをつまんで
ほら みてごらん
どうだい すごいだろ
でも まだまだ
こんなもんじゃないよ
もっと すごいんだから
ううん だいじょうぶ
そんなことないから
しんぱいないって
なんというかな ええと
ちょっと ややこしいんだけど
つまり こつがあってね
ここを こうやって
それから ぐっと こうする
そう おもいっきりね
ほら ここだよ ここ
ここんとこがね
いちばん おいしいとこ
2008/10/12
はるか遠い昔、
海と陸とが戦争をした。
いつか海は断たれ、
陸は割れてしまった。
海の捕虜は湖になり、
陸の捕虜は島になった。
はるか遠い昔、
海と陸とが戦争をした。
いまでも海岸線では
小競り合いがあるという。
2008/10/10
水石の山を望み
海泡石の入り江に佇む
条痕の空に浮く白雲母
黒曜石の鳥が舞う
園石に班晶の花が咲き
大理石の彫像
煙水晶の噴水
輝石と電気石の灯がともる
月長石に照らされ
流紋岩の川に霞石は漂う
蛍石を追う猫目石
柘榴石を啄む孔雀石
等軸晶系の瑠璃の教会
血石に染まる十字石
翡翠の泉
瑪瑙の夢
虫入り琥珀の淡き黄昏
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都(みやこ) 水石(すいせき) 望(のぞ)み
海泡石(かいほうせき) 入(い)り江(え) 佇(たたず)む
条痕(じょうこん) 白雲母(しろうんも) 黒曜石(こくようせき)
舞(ま)う 園石(えんせき) 班晶(はんしょう)
大理石(だいりせき) 彫像(ちょうぞう)
煙水晶(けむりずいしょう) 噴水(ふんすい) 輝石(きせき)
電気石(でんきせき) 灯(ひ) 月長石(げっちょうせき)
照(て)ら 流紋岩(りゅうもんがん) 霞石(かすみいし)
漂(ただよ)う 蛍石(ほたるいし) 猫目石(ねこめいし)
柘榴石(ざくろいし) 啄(ついば)む 孔雀石(くじゃくいし)
等軸晶系(とうじくしょうけい) 瑠璃(るり) 教会(きょうかい)
血石(けっせき) 染(そ)ま 十字石(じゅうじせき)
翡翠(ひすい) 泉(いずみ) 瑪瑙(めのう) 虫入(むしい)り
琥珀(こはく) 淡(あわ)き 黄昏(たそがれ)
2008/08/18
森の奥に宮殿がある
異国風な丸屋根 大理石の柱
螺旋の階段を登ってごらん
飾り窓がまわる
シャンデリアがまわる
宮殿がまわる 森もまわる
踊り子のように
くるくるくるくる
目がまわる
そんなかわいらしい森の宮殿
2008/08/16
誰も見たことのない 海
はるかな 水平線
透明な 潮の香り
汚れを知らぬ 波
真っ白な 砂浜に
初めてしるす 足跡
この星が誕生して
なん十なん億年
過ぎたか 知らないが
まだ 誰ひとり
この海を泳いだ者は いない
今 私が泳ぐ
2008/07/27
彼女、びっくり箱を開けて
びっくりして死んじゃった。
びっくり箱の中には、彼女の死体。
彼女、びっくりしてしまった。
のんきに死んでる場合じゃない。
彼女、びっくりして息を吹き返す。
「ああ、びっくりした!」
なんて人騒がせな、びっくり箱。
2008/07/20
おいら猫舌
猫背の犬
犬歯隠して
猫の目キラリ
三年の恩を
三日で忘れ
マタタビ舐めて
猫まねき
犬小屋の床で
爪を研ぎ
月夜の晩に
吠えたりしない