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2013/11/28
夜空に浮かぶ星と月、
湖岸にたたずむ武士の影。
おもむろに武士は抜刀し
湖面に映る月を斬る。
さて、いかに。
武士は斬ったつもりでも
はたで見る目にゃ斬れてない。
ましてや、夜空の月に傷はなし。
電網の湖岸にて
電脳の月を斬る武士の
星の数ほど多きこと。
2013/11/14
ガラスの遊園地は
シンデレラ姫の片方の靴。
落とした靴か、
履いてた靴か。
落とした靴なら
王子様が拾ってくれる。
履いてた靴なら
誰も拾ってくれない。
知らんぷりして
クルクル
クルクル
まわり続ける
ガラスのメリーゴーランド。
2013/10/28
不安はなく
心残りもなく
寝返るように
何気なく
夢見るように
微笑みながら
眠るように
本当に
眠るように
やすらかに
消えたい。
2013/10/13
青い色紙で 一羽の鶴を折る
これを屋根の上から 飛ぱしてみる
青い折り鶴が 空に舞う
赤い色紙で 一羽の鶴を折る
これも屋根から 飛ばしてみる
赤い折り鶴が 舞い下りる
緑の色紙で 一羽の鶴を折る
やっぱり屋根から 飛ぱしてみる
緑の折り鶴が 舞い落ちる
きっと妹が 窓の外を眺めてる
白い紙の 寝たきりの乙女
見よ 色とりどりの 鶴の舞
2013/10/02
君のいない部屋は
とても広くて
とても寒くて
一緒に飲む約束のボジョレヌーボ
毎年買ったりして
三年間待っていたけど
結局
君は戻らなくて
そんなのわかっていたはずなのに
そんなのわからないはずないのに
君のいないこの部屋が
かつて君がいた部屋だったと
かつて君と一緒にいた部屋だったと
どうしても思わずにいられなくて
どうしても忘れることができなくて
壁に飾った君の絵を
ぼんやり眺めていた
君のいない部屋に
君のいない僕
2013/09/15
渡り鳥が飛んでゆく
南の空へ
二羽
三羽
四羽
渡り鳥が飛んでゆく
北の空へ
一羽
一羽
一羽
2013/08/06
午前1時、
シンデレラも家に着いた頃。
明日も早いから
すぐに眠らなくちゃ。
でも、眠れない。
だって、
ガラスの靴
置いてくるの
忘れちゃったから。
2013/07/30
ここからでは見えないけれど
この霧の向こう側には
何かがあって
誰かがいて
その証拠のように
ときどき物音が聞え、
まるで呼びかけるような
やさしそうな人の声さえ届く。
その声に返事をすればいいのだけれど
相手の表情が霧で見えなくて
つい返事するのをためらってしまい、
ここには誰もいないと信じさせようとして
かくれんぼしているつもりになって
いつまでもいつになっても
この霧のこちら側で
黙ったまま。
2013/07/18
ミズタマリ ハ キライ
イジワル バカリ スル コドモ ミタイ デ
オイテキボリ ニ サレタ コドモ ミタイ デ
イツマデモ ナキヤマナイ コドモ ミタイ デ
2013/06/04
なにせ
糸なんだから
切れることもある
けれど
糸なんだから
結べないこともない
ただし
どうにも
もつれたる糸の
やるせなき
哀しみ