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  • かなわぬもの

    おいらの夢は
                 あたいの恋は
    かなわぬ夢
                 かなわぬ恋


    かなう夢など
                 かなう恋など
    つまらぬ夢
                 つまらぬ恋


    つらい夢なら
                 つらい恋なら
    いらぬ夢
                 いらぬ恋


    かなわぬ夢こそ
                 かなわぬ恋こそ
    まことの夢
                 まことの恋
     

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    • Tome館長

      2012/09/28 14:36

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2011/02/02 16:39

      ケロログ「しゃべりたいむ」かおりサンが朗読してくださいました!

  • 深海魚

    深く暗い 海の底


      恐ろしい水圧に耐え
      すっかり眼は退化して

      あまりに恥知らずな
      その姿


    醜い 醜い 深海魚


      それでも生きてる
      死にたくない


    寂しい 寂しい 深海魚


      誰も知らない隠れ家は
      沈没した 豪華客船 難破船

      王冠 腕輪で飾っても
      どうせ誰も見てくれぬ

      季節のない 海の底
      光も届かぬ 底の底


    それでも 君は


      上がっておいでよ 深海魚

      歓迎されなくたって 深海魚

      泳げばいいのさ 深海魚
     

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  • マリーの続き

    忘れられた女より もっと哀れなのは

    覚えてもらえなかった女です。



    覚えてもらえなかった女より もっと哀れなのは

    覚えてもらえなかった男です。




    マリー・ローランサン「鎮静剤」より続く)
     

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  • 天女の嘆き

    天女の衣
     やぶれはて

    悲しい思い出
     砂の数

    叶わぬ願い
     星の数

    鬼の角に
     帯かけて

    松葉みたく
     ゆれましょか
     

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  • 泣き兎

    あたいは兎 泣き兎
    赤い目をして 泣いてるの

     なぜ泣く 兎
     笑いなさい

    なぜかしら 笑っていると
    すぐに泣きたくなっちゃうの

     うそ泣き 兎
     笑えない 

    笑っていると 空しくて
    泣いていると 楽しくて
     

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  • 夜の静物画

    枝に串刺しの
     月明かり

    蔓草に縛られた
     石像の両腕

    それら群像に
     首はない


    荒れ果てた庭園
     泥沼の池

    亡霊も凍る
     崩れ果てた宮殿

    金獅子の紋章は
     王家の末裔か


    屋根の上の
     まわりもせぬ風見鶏

    朽ちた階段
     落ちた手摺り

    色硝子の剥れた
     窓の残骸


    蓑虫を織り込んだ
     蜘蛛の巣の帳

    項垂れた燭台
     脚の折れた寝台

    掛け時計から垂れる
     鳥葬の鳩


    影さえ映さぬ
     古代の鏡

    壁に磔の
     化石の蜥蜴

    永遠の如く
     静かなる夜
     

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    • Tome館長

      2015/05/27 03:09

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/09/10 14:51

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 聖夜の恋人

    静かな夜 聖なる夜
    恋人は来ない


    化粧して 着飾って 待っているのに
    素敵な贈物だって 用意したのに

    それでも やっぱり
    恋人は現われない


    再会の約束なんか していないけど
    たとえ約束したって 再会じゃないけど

    会ったことさえ ないのだから
    なにしろ 初めて会うのだから


    会えたとしても 名前さえ知らない
    顔も声も なんにも知らない

    だって 会えるはずないんだから
    最初から 恋人なんかいないんだから


    あたし どうして買っちゃたのかな
    こんなに素敵な 贈物

     
    騒がしい夜 淫らな夜
    恋人なんか どこにもいない
     

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  • 老人の財宝

    まだ老人は探し続けている、
    どんな夢でも叶うはずの財宝を。


    古地図のような皺だらけの掌が
    財宝の隠し場所を暗示する。

    どれほどの財宝がどこにあるのか、
    肝心なことはなにひとつ知らない。

    伝説でしかない財宝を求め、
    すでに老人は全財産を失っている。


    それでも老人は探し続けている、
    掌の荒野に隠された伝説の財宝を。
     

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  • 雪ん子

    なんにもない 暗い空だけど
    雪降れば 白いお山あらわれて

    村に雪ん子 やってくる


    雪みの 雪ぐつ 雪化粧
    リンゴ食べたような赤い頬

    笑顔こぼれて ぼたん雪

    泣いたら みぞれ
    手袋ぬれて

    粉雪 綿雪 雪わたり

    すべって転んで 雪合戦


    雪ん子 村の子らと遊ぶけど
    そんなに長くはいられない

    雪がやんだら お山が消える

    お山消えたら 帰れない
     

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    • Tome館長

      2014/09/03 09:52

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2011/02/15 18:33

      ケロログ「しゃべりたいむ」かおりサンが朗読してくださいました!

  • 泥の町

    トタン屋根の雨音は
    坊やの好きな子守唄

    子宮の鼓動
    古代の海に溺れてごらん


    潮騒は遠すぎて
    耳の貝殻 信じない

    ねじれて笑う
    脱ぎ捨てたパジャマ


    窓を開けたら
    みんな一緒 雨のひとしずく

    ざあざあ 楽しそうに
    頭から 地面へ落ちてゆく


    雨があがると
    近所の子どもら 泥遊び

    かわいらしい墓地のある
    泥の町が さあできた
     

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    • Tome館長

      2012/07/15 23:26

      ケロログ「Spring♪」武川鈴子さんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/07/12 15:58

      「こえ部」で朗読していただきました!

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