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2009/02/26
ここは緑の牧場。
大きな牝牛が 草を食む。
ちょっと違うのは
牝牛の脇腹 ドアがある。
ドアを開けると
なんとも素敵な 冷蔵庫!
ドアの裏側
瓶入り牛乳 冷えている。
奥の棚には
薄切りハムさえ 置いてある。
ここは緑の牧場。
大きな牝牛が 草を食む。
2009/02/15
名も知らぬ
森の奥にひっそりと
身を横たえる湖の
緑の水面さながらに
静かに眠れる幼子の
夢見る愛しい横顔を
ただぼんやりと
眺めているだけで
ああ なんだかもう
死んでいるよな
いないよな
生きているよな
いないよな
そんなこと
もうどうでもよい
と
そんな心持ちして
わけもわからず
ふと笑みがこぼれてしまう
うつらうつらな
春の時
ホー ホケキョ
2009/02/03
本当におもしろいことは
きっと単純で
ごく身近なことで
お金なんかほとんどいらなくて
つまらないことなんか気にせず
そこそこの勇気を持って
ときには悩んだり
ちょっとした工夫をしながら
見栄なんか張らず
我慢とか無理をせず
あたりまえのことをあたりまえに
やりたいことをやりたいように
やるだけのこと。
2009/01/27
たくさんの異国の船が運河を渡る。
ありとあらゆるものが運ばれてゆく。
美しく、いかがわしく、危険なものまで。
この運河がなければ大陸を迂回するしかない。
想像しただけで、吐き気とめまいがする。
誰が運河を作ったのか、いまだ謎のままだ。
「昔ね、幼い神様が砂遊びをしたのよ」
そんな母の話を信じていた頃があった。
この砂の海しか知らない船乗りにも。
青い星が昇る。
わが祖父の星、水の惑星。
火のように燃えるこの赤い星の夜空に。
2008/11/28
ルロイ広場の夜はふけて
手招きするは 湿った月
あちらこちらの梢の先から
噴水みたく あふれるお酒
ほら あの子が笑う
ほら あの子が踊る
ルロイ広場の夜はふけて
焚火の上でこげる星
誰もかれも浮かれ騒ぐよ
笛と太鼓と足拍子
ほら あの子が笑う
ほら あの子が踊る
2008/11/25
ようこそ ようこそ
パパは金持ち ママ美人
弟は賢くて 妹かわいくて
おまけに私ときたら 狂ってる
なんて素敵なマイファミリー!
庭には五本脚の犬がいる
屋根には三日月刺さってる
玄関の扉は逆さまで
廊下の真ん中 穴がある
居間はプール 寝室クール
台所なんか どこにもない
さあさ 遠慮はしないでね
ワニの靴なんか 脱いじゃって
こんな家政婦 脱がしちゃって
二階に上がって 窓を開けたら
そこは秘密の地下室よ
壁紙 血でにじんでるけど
中世の家具 ずらり並んでるから
きっと気に入ってもらえるわ
これ なんだかわかる?
洒落た陶器の便器じゃなくて
ナマズヒゲ仕掛けの管弦楽団
一緒に踊りたいけど
あいにく指揮者は私なの
だから 勝手に踊ってよ
どうぞ 勝手に踊ってよ
2008/11/23
にわか雨の雨あがり
水たまりに虹が架かる
元気に跳び越える子どもたち
長靴に落ちた
蛙の子
迷子の迷子の
河童の子
傘の花咲き
実がなって
みんなアヒルが
食べちゃった
ペダルに足の届かない少年が
買ってもらった自転車で虹を追う
「どうして僕から逃げるの?」
飛べない自転車では
虹を渡れない
水たまりの虹が
壊れてしまうから
2008/11/15
芹
なずな、
御形
はこべら
仏の座。
すずな
すずしろ、
春や来い。
2008/07/19
あなたの眠る陽だまりに
隕石が落ちてきたのです。
あなたは色と形と重さを失い、
わずかに声だけが残りました。
「わたしが生まれたわけは
わたしが生まれたいと望んだから」
大きな穴があいてしまったけど、
そこは今でも陽だまりです。
2008/07/14
あの星を一度でも見てしまった者は
もはや地上の生活に 満足できないだろう。
あの輝きに眼を焼かれてしまった者は
どんな地上の光景も ぼやけて見えるだろう。
禁断の星 と呼ぶべきかもしれない。
見てはいけない輝き なのかもしれない。
それでも 誰ひとり後悔などしないだろう。
あの星の輝きに 心を奪われた者は。