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2016/02/16
そのフロアには複数の売り場区画があり
ジャンルに応じたテナントが配置されている。
ただし、フロアのジャンルは不明。
あるいは複数のジャンルがあるのかもしれない。
少なくとも薬や化粧品を売る店はある。
なぜなら、その店に彼女が出勤してきたから。
私は、そのフロア全体の売り場主任のような立場にある。
実際は違うとしても、そのような自覚がある。
私は彼女の方へ顔を向けない状態のまま
背中越しに彼女の位置や言動を意識し続けている。
せっかく久しぶりに再会できたというのに
このような態度をとらねばならない理由がわからない。
ただし、久しぶりと感じるのは今この場であって
あのフロアにおいては毎日のように会えていた気もする。
そのうち彼女は、昔の印象のままの姿で
私の好みでない別の女性と一緒に快活にお喋りしながら
私の目の前を知らんぷりして横切り
私の視界の外へ出てしまった。
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2016/02/14
そう。
それはまるで映画を観ているような感じなのだ。
私は映画館の観客なのか、あるいは
その映画の登場人物なのか、判然としない。
いわゆる洋画。
素敵なおじさま風の白髪の老人と
快活で魅力的な若い女。
ふたりはあたかも恋人のように振る舞い
実際にも夫婦か恋人であるらしい。
じゃれる猫のように会話やふれあいを楽しみ
老人の弾くピアノの音色に若い女はうっとりする。
この舞台となる家には、なぜか
ハンサムな若い男が同居していてる。
親密なふたりをからかったり
挑発的に腰を振ってみせたりもするのだが
老人も女も冗談としか受け取らず、平気で笑っている。
彼はふたりの共通の友人なのか
この家の一時的な泊まり客のようであり
さらにまた、感情移入した私自身のようでもある。
最後、若い男がふたりの家を去ることになる。
その時に彼は、女から三つの手紙のような
あるいは三つの言葉そのもののような
いわく言いがたいメッセージのようなものを受け取る。
その三つの配列を並べ替えたり
重ねるように組み合わせたりすると
彼女の秘められたメッセージが読み取れるらしいのだ。
ところが、この若い男でもある私は
それを解読しないうちに映画館を出てしまい
自宅の寝具の中、うすぼんやりと目覚めてしまった。
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2016/02/11
こうして私は毎日ブログを更新しているわけだけれども
面白いとも思えない記事は残したくないので
またマナーとして残すべきではないと考えるので
毎日のように試行錯誤しながら
苦心して編み出している。
かつて考えたアイデアのメモを参考にしたり
すでに退会したブログの記事データを参考にしたり
しかし、今やそれらからは
ほとんど宝を掘り尽くした気配があるので
本やWeb検索結果やリアル日常を参考にしたり
あとは記憶を頼りに目を閉じてあれこれ考えるくらい。
考えても面白いイメージが得られない状態がしばらく続くと
そのうちどうしても眠くなる。
眠くなったら、あまり抵抗せずに寝ることにしている。
とりあえず寝転んで考えるわけである。
すると、そのまま眠ってしまう場合もあるわけだが
それで面白い夢が見れたらしめたもの。
その面白い夢をネタに記事が書ける。
ところが今回
面白くもなんともない夢を見てしまった。
新しいブログ記事を投稿しようとして
パソコンの前で考えている自分。
それだけ。
しかしながら、まあとりあえず
こうして書き終えることができそうだから
今この現在の予知夢と言えなくもない、かな。
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2016/02/08
どこかの港の桟橋みたいなところ。
僕たちは敵味方に分かれ
集団で球技らしきゲームをして遊ぼうとしている。
しかしながら、その肝心なゲームのルールが
いまいちよくわからない。
そもそも球技にしてはボールが見当たらない。
どうやら競技者のうち特定の誰かが
仮想的にボールに相当するものになるらしい。
よくわからないままゲームは開始されてしまった。
皆と一緒にゾロゾロと階段状の岸を下りて
水着姿なのでそのまま浅瀬に入る。
ボールに相当する人物がいるあたりでは
両チーム入り交じり攻防するかのような動きがある。
ルールもそうだが、ルールがよくわからないせいか
このゲームの面白さもよくわからない。
鬼ごっことかもそうだった。
どうも子どもの頃から集団遊びは苦手だ。
ぼんやりしていたら突然
潜水する誰かの腕が僕の腰のあたりに絡みつく。
まるで人喰いザメに襲われたような感じ。
どうやら、このように潜水者にしがみつかれた者が
このボールなし球技のボールに相当させられるらしい。
手つなぎ鬼の変形みたいなものだろうか。
ともかく
腰にしがみつく謎の潜水者を従えて
僕は浅瀬を移動するしかない。
逃げているのか追っているのか
よくわからないまま。
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2016/02/06
改札を通り抜けた記憶もないのだが
そこは駅ビルの中央通路らしく、なかなかにぎやかな場所。
その片隅に小さな簡易トイレみたいな直方体の箱があって
便意もないのになぜか、これ幸いとばかり、その中に入ってしまう。
その箱の材質はやわらかくて薄い布のようなもの。
あたりが透けて見えるが、外から内側は見えない気がする。
入って間もなく、バタ臭い顔の少年が近寄ってきた。
ハーフなのか挑発的で生意気な表情。
気安く箱に触れ、押したり引いたりする。
おれはムッとして、怒鳴る。
「あっちへ行け!」
しかし、少年は平気でまとわり続ける。
こんなガキの相手をするのも面倒なので
持ち上げるでも引きずるでもなく、おれは箱ごと移動する。
布を張った四本足の竹馬みたいな妙な形に歪みながら
どうにか歩くように動ける構造になっているのだ。
そう言えば、ご当地ゆるキャラの着ぐるみというのは
こんな形をしていなかっただろうか。
まさかとは思うが、もしそうだとすれば
あんなふうに軽率に怒ったりしてはいけなかったな。
むしろ、もっとこう、なんと言うかな
媚を売るとか愛想を振りまくとか
とにかく
もっと努力と我慢をしなければ。
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2016/01/23
いや、だめだね。
あんたは、ここを通すわけにいかないよ。
うん、だめ。
まったくだめ。
あんた、全然なってないもん。
通せるはずないよ。
そりゃ、もっと変な奴はいるよ。
逆に、もっと立派な方とかね。
でも、そんなの関係ないんだな、これが。
ハハ、笑っちゃうね。
つまり、この私が許さないんだよ。
あんたを通したくないんだ、この私がさ。
いや、冗談じゃないよ。
そう、ちっとも冗談じゃない。
私が絶対に通さない。
なんというか、もう決まってるんだな。
これっぽちも可能性ないよ。
いやいや。
無理だって。
どうしたって、なれないんだよ。
あんたを通したい、という気持ちにね。
ああ、そうだよ。
そういうわけだから、諦めるんだね。
もう。
しつこいね、あんた。
そういうの、往生際が悪いって言うんだ。
なおさら通したくなくなるね。
さっさと、あっちへ行きな。
うん、それがいいよ。
見込みないから。
まあ、でもね、どうせ無理だろうな。
だいたい、あんたじゃね。
あんたじゃ、どこへ行っても同じだと思うよ。
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2016/01/14
うっかり小人の首まで刈ってしまった。
「いやあ、ごめんごめん」
私は素直に謝る。
「まったく、気をつけてもらわなきゃ困るな」
「だって君たちときたら、あんまりにも小さいんだもの」
「ふん。そっちが大き過ぎるんだよ」
小人は自分の頭を拾いながら文句を言う。
それにしても、小人の生命力はすごい。
首の切断面がふくらんで、もう小さな頭が生えている。
「その取れちゃった頭はどうするんだい?」
私が尋ねると、小人の新旧ふたつの頭は相談を始めた。
人間には聞き取れない甲高い言葉が飛び交い
ようやく相談がまとまったらしい。
双子のコーラスみたいに声をそろえて
「今晩のおかず」
どうも小人の考えていることはわからない。
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2016/01/13
君の目の前に扉がある。
実際には、そんなものないだろうけど
(横を向いたらあるかもしれないけど)
とりあえず、扉があるものとする。
君は、その扉を開ける。
扉の材質や形状は問わない。
両開きでも片開きでもかまわない。
引いても押しても君の自由だ。
すると、細長い廊下がまっすぐ延びている。
異国風の絨毯も敷かれている。
先ほどイメージした扉の材質と形状を
君は修正したくなるかもしれない。
しかし、それは君のセンスと好みによる。
なんとなれば、絨毯なんぞ
はじめから敷かれてなかったことにすればいいのだ。
畳が縦にならんだような変な和風の廊下とか
またはライオンやヒョウの毛皮に埋もれた・・・・
ともかく、先を急ごう。
廊下を歩いてゆくと、やがてあなたは大きな鏡にぶつかる。
(二人称代名詞が変わっていても気にしない)
その鏡には細長い廊下が映っていて
あなたが先ほど開いた扉の向こう、部屋の壁へと続いている。
そこで、あなたは振り返る。
やはり、そのような光景があるばかり。
他へ続きそうな廊下も扉もない。
あなたは歩いて来たばかりの廊下を歩いて戻るしかない。
締め忘れた扉を通り過ぎ、部屋の中に入り
そのまま進むと、すぐにあなたは大きな鏡にぶつかる。
振り返ると、やはり細長い廊下が扉の中に延びているばかり。
つまり、この細長い廊下は合わせ鏡の廊下だったわけだ。
なるほど、よくある話ではある。
しかし、今さらながらあなたは驚く。
あなたはやっと気づいたのだ。
向こう側もこちら側も、どちらの鏡にも
あなた自身の姿が映っていなかったことに。
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2016/01/10
あまりにも遠い夏休みの思い出。
半ズボンで、麦わら帽子をかぶって
林を縫うように山道を歩いていた。
手には捕虫網と虫かご。
小さな昆虫図鑑も持っていたかもしれない。
いたるところに清水が湧いていたから
水筒は持っていなかったはず。
暑かった。
アブラゼミが鳴いていた。
のちに自然保護地域に指定される池にたどり着く。
当時は、珍しい浮島のある怪しい池。
池のほとりに小さな社が建っていた。
その裏側にある大きな石にひとり腰かけ
しばらく池を眺めていた。
さびしいとは思わなかった。
ひとりだから楽しい。そんな気分。
小石を投げ入れると、水面に波紋が広がった。
その波紋の上を赤い蝶が飛んでいた。
息をするのも忘れ、胸が苦しくなった。
赤い翅の蝶なんか見たことなかったから。
捕虫網をつかんで夢中で駆け出した。
そして、そのまま池に落ちてしまった。
そうだ、落ちたのだ。
たしかに池に落ちたはずなのだ。
忘れられるようなことでもないはずなのに
どうして今まで忘れていたのだろう。
あまりにも遠い夏休みの思い出。
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2016/01/08
幅広い車道を挟む形で両側に幅狭い歩道があり
その片側の歩道を歩きながら、私は思う。
(クルマなんか、なくなれば良いのに)
そうすれば、ゆったり安心して歩ける。
向こう側にも簡単に渡れる。
排気ガスと騒音をまき散らしながら
車道のクルマの流れは途切れる気配もない。
はるか前方に歩道橋が見える。
あそこまで歩かなければならないようだ。
(歩行者をなんだと思っているんだ?
でかい顔しやがって)
実際、クルマの正面は顔のように見える。
人格らしきものさえ感じられる。
それを彼らは好しと、または悪くもなしと
あるいは気にもせず運転しているに違いない。
ようやく歩道橋の下まで辿り着いた。
しかし、楽しい作業が待っているわけではない。
ペンキの剥げかけた急勾配の階段を
忌々しい気持ちのまま上り始める。
一段ごとに地面が低くなる。
ただし、空の高さに変化は見られない。
歩道橋の真ん中、車道の中央分離帯の真上で
私はクルマの流れを見下ろす。
なかなかの景観だが、不安定で落ち着かない。
急いで反対側の歩道に下り立つ。
(さて、どうしたものか)
これからどこへ行こうか
あらかじめ決めていたわけではないのだ。
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