Tome Bank

夜空に浮かぶ星と月、
湖岸にたたずむ武士の影。

おもむろに武士は抜刀し　
湖面に映る月を斬る。


さて、いかに。


武士は斬ったつもりでも　
はたで見る目にゃ斬れてない。

ましてや、夜空の月に傷はなし。


電網の湖岸にて　
電脳の月を斬る武士の　

星の数ほど多きこと。

ピクとニックが出かけたよ
バスとケットを従えて

空は青空
白い雲


お帽子かぶって
水筒ゆれて

野越え　川越え
林越え


大きな切り株
見いつけた


バスとケット
手を組めば

サンドとイッチ
跳び出すの


ララララ　ラララ　
ラララララ

ピクとニックは
楽しいな

舟に揺られ
いささか酔ったれど

岸は消えたか
崩れたか

水は濁って
底見えず

流るるばかり
遣る瀬ない

期待しないけど
諦めたわけじゃない

好きじゃないけど
きらいになったわけじゃない


ただちょっと
ほんのちょっと

疲れてしまっただけなんだ


君が望み続ける
僕の世界に

ガラスの遊園地は
シンデレラ姫の片方の靴。

落とした靴か、
履いてた靴か。


落とした靴なら
王子様が拾ってくれる。

履いてた靴なら
誰も拾ってくれない。


知らんぷりして

クルクル
クルクル

まわり続ける
ガラスのメリーゴーランド。

主は
　何処より来たり


主が
　此処に在らずんば

　　　何処へと去りぬ


幾億　幾万　幾千の
　憂いを　迷いを　災いを

　　　捨て置きしまま

一緒に帰ろう

　　君が　よければ


一緒に帰ろう

　　お話　しながら


一緒に帰ろう

　　歌ったりして


一緒に帰ろう

　　笑ったりして


一緒に帰ろう

　　僕で　よければ

やむにやまれず
　恋をして

　　　よせばよいのに
　　　　夢を見た


なせばなるさと
　努力して

　　　そりゃあそうさと
　　　　諦める


どうせどうにも
　なりゃしない

　　　なるよになるが
　　　　人生さ

毎晩
あなたにね

囁いてあげるから

片耳そいで
贈ってよ


ほら　あんなに
月が赤い

尻尾を切られた
猫の眼みたい


なぜか今夜は
酔えなくて

恋人でもない
彼または彼女を引きずって

お散歩するの


手鏡とか割るつもりで

白いブラウス
引き裂いてみるの


なぜかしら
救いの呪文は

電話番号に似ているの


街路樹を飾る
美しい死体

それとも
たとえば

月から落ちた
真っ赤なしずく

ダラ　ダラリ