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Tome館長

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    Works 3,356
  • ごきげんよう

    2011/05/31

    愉快な話

    ようこそ。
    いらっしゃいませ。

    おひさしぶりです。
    おかわりありませんか。

    お元気そうでなによりです。

    ええ、そうです。
    あいかわらずの毎日です。

    えっ、なんですか?
    なにをおっしゃってるんですか?

    まさか、ご冗談を。
    嘘ですよ、そんなこと。

    えっ、そうなんですか?
    本当ですか?

    まあ、信じられない。

    だって、そんなこと。
    でも、そうかしら。

    ああ、そうか。
    そういえば。

    そうだ。
    そうなんだ。

    私、死んだんだ。
    亡くなっちゃったんだ。

    やっと思い出した。

    ああ。
    なんてこと。

    そうそう。
    そうでした。

    まったく失礼しました。
    すっかり忘れておりました。

    私、それはもう、ひどい死に方でしたものね。
    あれはないですよね。

    許せないですよね。
    その節はホント、すみませんでした。

    びっくりなさったでしょ?
    そうでしょうとも、そうでしょうとも。

    いえいえ、そんなこと。
    滅相もない。

    とんでもない。
    とんでもありません。
    とんでもございません。

    こちらこそ、許してください。

    怖がらせてしまって、すみません。
    ホント、恐縮いたします。

    どうか、うらまないでくださいね。

    以後、気をつけますから。
    もう二度と出ませんから。

    すみませんでした。
    本当に申しわけありません。

    それでは、この辺で失礼いたします。

    ええ、結構です。
    全然かまいません。

    では、さようなら。
    ごきげんよう。

    またあした。
     

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    • Tome館長

      2012/11/23 17:33

      「Spring♪」武川鈴子さんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/11/20 19:44

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2011/07/31 17:57

      ケロログ「さとる文庫」もぐらサンが朗読してくださいました!

  • トトカ湾の氷山

    2011/05/29

    切ない話

    小さなトトカ湾に巨大な氷山が漂着した。

    それはまるで白い帆船のように見えた。
    海面下の大きさが想像された。


    「かまうな。そのうちとける」

    それが村人たちの意見だった。
    航行には邪魔だが別に問題なかろう。


    「ちょっと待ってください」
    若い彫刻家が反論する。

    「あそこには氷の女神が埋まっています。
     あなたがたには見えないのですか?」

    残念ながら村人たちには見えなかった。

    それでも若者は諦めない。
    「急いで女神を救い出しましょう!」

    村人たちは相手にしない。

    仕方ないので若者は
    たったひとりで氷山を彫り始めた。


    「まあいいか。それほど迷惑でもないし」

    村人たちは傍観することにした。


    朝から槌の音が絶えなかった。

    かなり深い部分に埋まっているのだろう。
    なかなか氷の女神は現れなかった。

    いく日もいく日もいく日も
    槌音が休みなくトトカ湾に響いた。

    氷山はだんだん小さくなっていった。


    ある朝、
    ついに氷の女神が現れた。

    それはそれは美しい姿であった。

    神々しいまなざし。
    豊かなほほえみ。

    若い彫刻家は正しかったのだ。

    嬉しさのあまり
    若者は泣いてしまった。


    だが、それは一瞬なのだった。

    暖かな朝の光を浴び、
    美しい氷の女神はとけてしまった。


    やがて村人たちが家々から出てきた。

    あくびをしながら苦笑する。

    「結局、みんなとけちゃったな」

    村人たちの意見も正しかったのだ。


    若者はすっかり疲れ果て
    いまにも溺れそうだ。
     

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  • びっくり

    2011/05/28

    楽しい詩

    びっくり箱

      フタが開かずに
       底が抜け


    びっくりしたのは
     びっくり箱の作り人


    恥ずかしくって
     死んじゃった


    これには
     みんな

       びっくりだ!
     

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    • Tome館長

      2014/10/05 03:14

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2012/03/05 13:52

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

  • 我が心

    2011/05/27

    愛しい詩

     我が心
    君が眼に射抜かれて

     我が心
    君が想いに囚われし

     我が心
    君が嘆きに跪き

     我が心
    君が願いに捧げなむ
     

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  • さびしくなんかない

    さびしくなんかない

    ちょっとつまんないだけ



    さびしくなんかない

    ちょっとかなしいだけ



    さびしくなんかない

    ちょっとやりきれないだけ
     

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    • Tome館長

      2013/02/09 22:33

      「ゆっくり生きる」haruさんが再び動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2013/02/06 14:07

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2011/11/24 11:46

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • けだるき目覚め

    けだるき目覚めのそこもとに 
    漂う倦怠 朽ちたる流木 

    Son of a bitch ! 

    いずくんぞ知らん 
    凪たる海原 そよの風もなく 

    茫漠の砂に埋もれし 貝の殻 
    割れても嘆く ヤドカリも見えず
     

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  • お花畑

    2011/05/18

    明るい詩

      アタシ

    お花畑で死にたいな



      ダッテ

    生きてるうちに

      マルデ

    天国にいるみたいに

      キット

    感じられるはずだから
     

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    • Tome館長

      2014/10/03 13:29

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2012/05/27 15:30

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

  • 蠢く春

    2011/05/14

    変な詩

      春になれば

    目覚めなければ
     ならなくて

      まだ眠りたのに

     なんとも
    息苦しくなってきて

      切なくて

     どうにも
    我慢できなくなって

      虫ケラども
       いとわしきもの

         ぞろぞろ
          うじゃうじゃ

            這い出てくるのです。
     

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  • 儚い夢

    2011/05/13

    暗い詩

    なんにもなれなかった。

    棋士にもなれなかった。
    画家にもなれなかった。


    なんにもなれなかった。

    科学者にもなれなかった。
    漫画家にもなれなかった。


    なんにもなれなかった。

    詩人にもなれなかったし、
    作家にもなれなかった。


    なんにもなれなかった。

    天才にもなれなかったし、
    秀才にすらなれなかった。


    サラリーマンにはなれたけど、
    嬉しくもなかった。

    そのうちサラリーマンもやめてしまった。

    やめてしばらくして
    またサラリーマンになったりしたけど、

    やっぱりやめてしまった。


    なんにもなれなかった。

    作曲家にもなれなかったし、
    作詞家にもなれなかった。


    なんにもなれなかった。

    哲人にもなれなかった。
    仙人にもなれなかった。


    このまま
    なんにもなれないまま

    死体になって
    お骨になって

    でも仏にはなれなくて


    きっと幽霊になったりするんだろな。
     

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  • 冷たい水

    2011/05/12

    暗い詩

    ポタッ ポタッ ポタッ ・・・・・・


    冷たい水の雫が
    私の額に落ちてくる。

    いつまでもいつまでも
    限りなく・・・・・・


    縛られて動けなくて
    目も見えない。

    耳さえ聞こえない。

    眠りたいのに眠れない。
    眠れないから眠りたい。
    眠りたいけど眠れない。

    おんなじことの繰り返し。


    そういう類の拷問があるということ
    昔、本で読んだことがある。

    こんなふうに苛める方法
    いったい誰が考えたんだろう。


    あるいは
    私かもしれないけど・・・・・・


    ポタッ ポタッ ポタッ ・・・・・・
     

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