Tome Bank

収穫祭の夜なのに
　あたいにゃなんも収穫ない


笛や太鼓は鳴るけれど

　　花が咲かねば
　　　実もならず

　　　　　愛しいあの人
　　　　　　誰のもの


踊る阿呆を見もせねで
　賢者信者の多すぎて

　　　いっそ枯れよか
　　　　朽ちようか

　　　　　　風が撫でてくれようぞ　　　　　　


収穫祭の夜なれば
　どなたかあたいを刈り取って

君がいなければ　
僕は光を失う　

凍えるほどの　
冷たさと寂しさ　


真っ暗な冬の夜に　
真っ黒な雪の降る

君が名残の月なれば

　　　　棚引く雲の絶え絶えに

　　折りて重ねて裏返し

　　　　　　　　飛べや真白き紙の鶴

僕たちは長い間
なにかを追っていたはずなのに

追い着いたのか
追い越したのか

それとも
逃げられてしまったのか

よくわからないまま

いつのまにか
追うことをやめてしまい

立ち止まったり
戻ったりして

ふと気づくと

なにかを追うどころか
むしろ逆に

なにかに追われているような
なにかから逃げているような

そんな感じさえして

ただの気のせいであれば
よいのだけれど

よいのだけれど

晴れてはいないけど　
雨が降っているわけじゃない　

外に出たくはないけど　
家にいたいわけでもない　

なにかをしたいわけではなく　
なにもしたくないわけでもない　


そんなふうに　
なんだかどうでもいいような　

どうでもいい空模様

迷えるあなた

　　または
　　　戸惑うあなた


あなたは

　　目標を見失う前に
　　　操縦桿を見失っている

さびしいくらいで
　泣いたりしない

　　　かなしいだけじゃ
　　　　泣くもんか


いたくっても
　我慢する

　　　うれしくっても
　　　　笑うだけ


なみだ　見たけりゃ
　お金　ちょうだい

　　　ほらね　泣くでしょ
　　　　おなみだ　ちょうだい

仕方ない　
仕方ない　
仕方ない

起きて喰って寝て　
起きて喰って寝て　
起きて喰って寝て　

おんなじことの　
繰り返し　

おんなじことの　
繰り返し　

おんなじことの　
繰り返し

あなたは殺し屋
　非情な男

　　　でも
　　　　ナイフはやめて

　　　　　　拳銃も使わないで


わたしは標的
　か弱き女

　　　だから
　　　　やさしくささやいて

　　　　　　やさしく抱いて


そして
　やさしく

　　　とてもやさしく


　　　　　　　わたしを殺して

好かれていたとは
つゆ知らず

手折った草の
葉の露が

濡らした袖の
染みぞ哀しき