朝顔の上で
2009/09/07
時期をすぎてから慌てて入れた肥料がなんとか効いたのか、朝顔は、毎朝幾輪かの花を咲かせている。小さく開いた最初の花に比べると、この頃に咲くのはずいぶん大きくて、商品札の文句に違わず「大輪」と言えそうである。
その今朝開いた花の上に、オンブバッタがとまっていた。ときどき、朝顔の花弁がちぎれたようになっているから、このバッタが食べるのかしらと思う。
バッタも大きくなった。まだ朝顔の蔓が今の半分くらいの長さだった頃、茎の下のほうについた葉っぱの上にいつも小さなバッタが乗っていて、そのあたりの葉を穴だらけにしたけれど、バッタの食べる量は知れているので、放っておいた。バッタの大きさも、そのころに比べると倍近くなった。はじめは二匹いたけれど、いまは一匹しかいない。
朝顔を植えてようやく蔓が延び始めた頃、一匹の毛虫がついているのを見つけた。茶色のふさふさした毛の生えたやつで、足も速いし、食欲がものすごく旺盛である。毎年、羊歯やヘクソカズラに何匹かついて、葉っぱを残らず食べてしまう。
見ているうちに朝顔の一枚の葉の、半分ほどを食べてしまった。
放っておけばあっというまに朝顔が丸坊主になってしまいそうであるが、こういう毛虫の処置については迷ってしまう。朝顔で生計を立てているわけではないし、毛虫の食糧を奪ってまで朝顔を守るべきではないかもしれないと思うけれど、かといって朝顔の葉がすっかりなくなってしまうのは寂しい。
葉っぱをもりもり食べる毛虫を見ながらそんなことを考えていたら、みゆちゃんが横からとことことやって来て、ぱっと猫パンチを繰り出し、毛虫を葉から叩き落としてしまった。
正直なところを言うと、みゆちゃんが手を出すかもしれない、という未必の故意みたいなものがあったのは、否定できない。
それっきり、毛虫の姿は見えなくなった。
茶色い毛虫はなぜか今年はその一匹だけで、樋に巻きついたヘクソカズラの蔓も、青々と葉っぱを茂らせて、名前に似合わない可愛い花を咲かせている。
しばらくして、朝顔に水を遣りにいったら、バッタのいた花に、大きな穴が二つ開いていた。すぐ横の蔓にさっきのバッタがつかまっている。よくよく見ると、バッタは、肝心の後ろ足が両方ともなかった。
ログインするとコメントを投稿できます。