岡田千夏

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京都府京都市

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  • 冷蔵庫の上の猫

     近ごろふくちゃんが気に入っている遊びは、冷蔵庫の上に登り、そこから扉につけてあるマグネットを前足で引っ掛けて、滑らせて上まで運ぶこと。冷蔵庫の上まで持って行ったあとどうするのかしらないけれど、運ぶ過程が面白いのだろう。新聞やチラシから切り取ったレシピを留めてあるマグネットも例外ではないから、気がつくと、そういった紙切れが床に散らばっている。
     そこで、わざと、ふくちゃんが上から手を伸ばしてちょうどとどくかとどかないかの位置にマグネットをつけてやると、こちらの期待通りに、一所懸命手を伸ばしてマグネットをとろうとする。うしろ足は冷蔵庫のてっぺんの縁のぎりぎりのところに掛けていて、ふらふらと危なっかしくバランスをとっている。今にも落っこちそうな格好で頑張っている。なにぶんおっちょこちょいなふくちゃんのことだから、ひとりで遊んでいるときに、落っこちたこともあるのじゃないかしらと思う。
     冷蔵庫の上は寝場所としてもとても気に入っているのだけれど、このあいだ隣の部屋にいたら、台所からがらがらどすーんという音がして、続いてンニャーとふくちゃんの鳴く声が聞こえてきたから、伸びて寝ているうちにバランスを崩して落っこちたのかもしれない。

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  • ご近所猫さん

     近所に住んでいる大きな黒猫が、よく家にやってくる。開けている窓に向って、みゆちゃんとふくちゃんがしっぽをぼわぼわに膨らましていると思ったら、黒猫が、窓の外にあるエアコンの室外機の上に登って、網戸越しにこちらを見ているのである。
     みゆちゃんはしっぽを膨らます程度で比較的冷静さを保っているが、普段大雑把な性格のふくちゃんのほうがこういう状況に抵抗力がないらしく、フーッとかニィアオゥゥゥゥとか大騒ぎである。以前にも裏の塀の上をこの黒猫が通過したことがあって、そのとき庭にいたふくちゃんは、耳を倒し目を見開き、がたがた震えて動けなくなってしまった。
     私が窓から顔を覗かせると、黒猫はちょっとためらうようにしてから窓のそばを離れる。でもたいていはそのまま遠くまで逃げるわけでもなくて、前に止めてある車の下でしばらく寝そべっている。
    全身真っ黒ではなくて、首の下にツキノワグマみたいな模様がある。薄緑色の真ん丸い目をしていて、愛嬌のある顔をしているが、通りを向こうへ小走りに走っていくうしろ姿は、やはり野良猫らしく毛並みがぱさぱさしていて、野良生活の苦労が滲んでいるような、哀れな感じがする。

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  • ナゾのガーガー

      しばらく前から、お向かいの家の裏のほうで、何かがガーガー鳴く声が聞こえていた。
     カラスが鳴くのよりももう少し間が抜けた感じで、鼻が詰まったような声である。それも一羽ではなくて、複数の鳴き合う声が、一日のうちに何度も聞こえてきた。
     お向かいの裏には割りと背の高い木が何本も植わっていて葉っぱが青々としているから、そのどこかにカラスが巣を作って、子ガラスが鳴いているのだろうと思ったが、幾日も幾日もガーガー鳴く声を聞いているうちに、カラスでもないように思われて、ご近所でアヒルでも飼いはじめた家があるのかしらとも思いだした。
     それがこの前の日曜日に、いつものガーガーが自分の家の屋根の上から聞こえてきた。アヒルではないらしい。姿を見ようと窓から顔を出して見たけれど見えない。そのうちガーガーが遠くなっていった。
     そのあとも2、3日のあいだはまだ聞こえていたけれど、そのうち、もうどこからもガーガーは聞こえなくなって、もとの静けさに戻った。
     このあいだの日曜日が、カラスの巣立ちの日だったのかもしれない。

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  • 物言う猫、言わない猫

     朝の四時半くらいにみゆちゃんが寝室へ上がってきて、控えめな声でにゃーと鳴いた。
     一緒に寝たいのだったら、黙ってベッドの上へ来て眠るはずだから、何か言いたいことがあるのである。たぶん、おなかがすいた、だろう。
     いつもなら、キャットフードの入れ物が空っぽになっていても朝私が起きるまで待っているのに、この日はたまたまよっぽどおなかがすいたのかもしれない、しょうがないから起きて下へ降りていったら、案の定空っぽで、容器をふくちゃんがひっくり返したあとがあった。
     みゆちゃんは、私に向ってはっきりといろいろな要求をする。乾しカマが欲しいとか、遊んで欲しいとか、庭に出たいとか。これがふくちゃんだと何もいわない。まだ訴えるという知恵がついてないのか、出来るけどやらないのかはわからないけれど(もっとも、足元ににゃーにゃーまとわりついて、「なでてー」だけは言う)。
    だけどちゃっかりしているから、みゆちゃんが冷蔵庫の前で訴えて乾しカマをもらうときには必ず横にやって来て、労せず一緒にもらってしまう。のみならず、自分の取り分をさっさと食べてみゆちゃんのまで取ったりするから、猫の作法がわかっていない。
     このときも、空っぽになった入れ物にキャットフードを入れてやったら、やはり真っ先にとんできて、みゆちゃんを押しのけて先に食べてしまった(キャットフードはわざわざ二箇所に置いているのに、なぜか同じところから食べようとするふたりである)。働きのわりには報われない、メッセンジャーみゆちゃんである。

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  • ふくちゃんちゃぶ台返し?

     ふくちゃんには悪い癖があって、入れ物の中のキャットフードが残り少なくなると、ひっくり返してしまう。キャットフードの容器はたんすの上に置いてあるので(息子がまだハイハイしていた頃、床の上に置いてあったキャットフードを口に入れてもぐもぐしていたことがあるので、それ以来たんすの上がキャットフード置き場になっている)、前足で入れ物を押して落としてしまうのである。
     容器が深いので、底のほうに残ったフードを取ろうと鼻を突っ込んでいるうちに、意図せず落としてしまったのかと最初は思ったのだけど(みゆちゃんがそれをしたことがある)、実際、手で押して落とすところを目撃してしまった。落として、床の上に散らばったキャットフードを食べている。
     入れ物の底まで顔がとどかないから散らばせて食べているのかと思ったら、そうでもないらしい。もう一箇所に置いてあるキャットフードの入れ物は大して深くもないお皿なのだけれど、やっぱり置いてある台の上から引き摺り下ろしているから、何か必要に迫られてやるわけではなくて、趣味というか、遊びでやっているようである。フードだけでなく、水入れも引っ張ってこぼしてしまうから、困った猫である。
     聞けば、実家のちゃめも、ときどきドライフードの容器を倒して散らばす趣味があるらしい。

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