化粧台
2012/02/29
私の目の前には化粧台がある。
なかなか立派な代物。
実際、高かった。
風水によると、
「きちんとした化粧台でメイクをしないとブスになる」
のだそうだ。
通勤途中の電車内は勿論、
洗面所なんかで立ったまま
チャチャっとやってはいけない。
電車は乗り物。
洗面所は、
化粧と汚れと厄を落とす場所。
どちらも化粧をする場所ではないのだ。
だから私は
この立派な化粧台の前で化ける。
いい女になる。
でも、哀しいことに
化粧台の真ん中の大きな鏡は
ひどく歪んでいるのだ。
そのため、せっかくの私の顔が
ひどく歪んで見える。
まるで男の顔。
実際、私の体は男なのだから
仕方ないことではあるけれど・・・・・・
でも、心は女。
鏡に向かって問いかける。
「鏡よ鏡、鏡さん。
世界で一番美しいのはだあれ?」
やっぱり鏡は優しくて、
なんにも答えてくれない。
けれど、私の心を
忠実に反射させてくれる。
歪んだ私の美しい心を
醜く
とても醜く
私に見せつけてくれる。
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