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  • 学校の七不思議

    2015/11/06

    怖い話

    学校の怪談にまつわる話なんだけど 
    僕が通う学校にも七不思議があるんだ。


    真夜中になると、グラウンドの真ん中に 
    戦前の旧校舎が建っているのが見える。

    とか 
     
    昔のブルマー姿の女子生徒の腰から下だけが 
    渡り廊下を歩いていた。

    とか 

    目を閉じて段数を数えながら一人で上がると 
    十二段の階段が十三段になっている。

    とか 

    トイレの中で、ノックされて「入ってます」と言うと 
    「おれの胃袋の中だ」と返事された。

    とか 

    音楽室のバッハの肖像画のカツラがはずれていた。

    とか 

    理科室の骨格標本が肩をもんでいた。

    とか 

    そういう変な話が六つもあるんだけど 
    七つ目がないのに、なぜか七不思議なんだ。

     

     

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  • 妖怪しりとり

    2015/11/05

    愉快な話

    とても人間とは思えない奴がやって来て 
    変なことを言う。

    「しりとりをしよう」

    「は?」
    わけがわからない。

    「は、じゃない。
     しよう、だから、最後は、う、だ。 う」

    「う・・・・浮かばない」
    「命までは取らんから安心しな」

    「な・・・・何者ですか?」
    「考えろ、自分で。 何者だと思う?」

    「う・・・・浮かばない」
    「いかんな。 同じセリフは許されておらんのだがのう」

    「う・・・・浮かばないけど、ひょっとして妖怪?」
    「いかにも。 妖怪しりとり、じゃ」

    「じゃ・・・・じゃあ、最後が、ん、で終わってはいけないの?」

    「飲み込めてきたか。 その通り。
     ただし、ん、で終わっても、セリフを続ければ救われるがな」

    「なるほど」
    「どれ、これより本番に入る」

    「る・・・・ルビー」
    「ビールでも飲みたいものだ」

    「だけど、もし負けたら、どうなるんです?」
    「すまぬが、尻をいただく」

    「えっ?」

    「えっ、ではない。 く、だ。
     おれの勝ちだから、おまえの尻をもらう」

    「う・・・・うっそー!」


    しかし、うそではなかった。

     

     

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  • 荒野のうそつき

    2015/11/04

    変な話

     土煙の舞う荒野 
     血の色に染まる夕陽 

     不毛の大地を這う
     ふたつの長い影 



    ふたりのガンマンは 
    どちらも名うてのうそつきだった。

    どちらがよりうそつきかを競い  
    これから決闘が始まろうとしていた。

    負けた者は死あるのみ。

    「おれはうそをついたことがないぞ」
    「うそ? なんだそれ?」

    判定は相打ち、勝負なし。
    攻守を変えて、再試合。

    「おまえは本当に正直者だな」
    「いやあ、おまえほどじゃないさ」

    これも相打ち、勝負なし。
    攻守を戻して、決闘は続く。



     荒野に沈む夕陽
     闇に消える不毛の大地

     もともと決闘など
     なかったかのように

     

     

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  • 不安な音

    2015/11/03

    ひどい話

    近頃、ジェット機の音なのか 
    ミサイルが飛来するような音がやたらするな 

    と思っていたら 
    本当にそれらしき爆発音がした。

    あわてて窓を開ける。
    かなり遠いが、黒煙が上がっている。

    (戦争か?!)

    そんな話は聞いてないぞ。
    テレビないので、パソコンを立ち上げる。

    まだニュースにはなっていないようだ。
    (地震速報だって、ちょっと遅れるものな) 

    不意に画面が真っ黒になった。
    停電なのか、スタンドの灯りもつかない。

    (まさか・・・・) 

    再び遠くから飛来音が聞こえ始める。
    だんだん近く、だんだん大きくなってゆく。

    そして・・・・
     

     

     

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  • 氷の子

     目も口も 耳も髪も 手も足も
     肉も骨も脳も肺も心臓も

     なにからなにまで
     みんなみんな

     氷でできた氷の子 


    時も凍える冬の夜 

    月の光 屈折すれば
    星の光 にじんで壊れ

    歪み輝く街の夜景 
    あやしく綺麗に映します 


    きっと電飾のゆらめきは 
    この子を駄目にするでしょう 

    凍った道路で滑って転び 
    割れて砕けて 形が消えて

    見つめ合う恋人たちの靴底が
    心なく踏みにじることでしょう 


     「愛しているよ」
     「愛しているわ」

     汚れてしまった
     氷のかけら
     

     

     

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  • 氷の帆船

    2015/11/01

    変な詩

    オーロラゆれる空の下 
    果てなく広がる氷の海原 

    その凍った海の真ん中に 
    氷の帆船 浮かぶとか 


    氷の帆船を見た者 
    凍えて必ず死ぬ 

    凍えて死んだ者 
    氷の帆船の船員となる 

    氷の帆船の船員 
    重い氷の鎖につながれる 


    氷の鎖を切断すること 
    けっして亡者にできぬ 

    生者ならできるが 
    ここまで辿たどり着けまい 


    星の磁場のすきま風
    太陽風にゆれる七色カーテン 

    凍った海の真ん中で 
    オーロラ見上げるばかりなり

     

     

     

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