Tome Bank

main visual

Tome館長

m
r

Tome館長

CREATOR

  • 3

    Fav 1,206
  • 9

    View 6,102,039
  • p

    Works 3,356
  • 渡り鳥

           渡り鳥が飛んでゆく
       南の空へ

    二羽
    三羽
    四羽



           渡り鳥が飛んでゆく
       北の空へ

    一羽
    一羽
    一羽
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 割れた空

    おじいさまからいただいた
    水晶玉。


    それを汚し
    それを傷つけ
    それを割れば

    世界が汚れ
    世界が傷つき
    世界が割れてしまう。


    なんということ!

    目覚めたら
    どこにもない。


    いったい誰が
    水晶玉を盗んだの?

    ああ、
    もう信じられない。


    こんなに私の肌は
    汚れてしまった。

    あんなに野原は
    傷ついて

    ああ、
    もう空が割れ始めている!
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • わた雪

    2013/09/11

    明るい詩

    君に

    本物の雪を
    見せてやりたい。


    真っ白な
    シュークリームみたいな

    大きな大きな
    わた雪が

    ふわふわ
    ふわふわ

    落ちてくるところを

    君に
    ちゃんと

    見せてやりたい。


    あの六角形の
    アクセサリーみたいな

    雪の結晶が
    そのまま

    ふらふら
    ふらふら

    落ちてくるところを

    君に
    しっかり

    見せてやりたい。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 割れないシャボン玉

    2013/09/09

    空しい詩

    シャボン玉はきれい

    美しい球体
    ゆれる虹色模様

    宇宙の神秘が
    見え隠れする


    ドウシテコンナニキレイナノ?


    シャボン玉は軽いけど
    空気よりは重い

    高く浮き上がることなく
    すぐに割れてしまう


    まあ しかし

    シャボン玉だから
    しかたない

    いつまでも割れなかったら
    迷惑だし
     

    Comment (2)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
    • Tome館長

      2014/05/16 13:17

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2013/09/18 19:57

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

  • 象牙の塔

    2013/09/07

    暗い詩

    いい眺めだ。

    それはそうであろう。
    そうでなければならんのだ。

    この崇高なる象牙の塔を築くだけのため

    罪なき幾億幾万幾千もの象が
    犠牲になったのだから

    代償もなく。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 真の闇

    いびつな形に縛られて

    その肉太の
    朱筆の責めの鋭さよ。


    「ああ、なりませぬ」

    是非もなし。


    転がされ

    揉まれ、落とされ
    踏み潰されて

    大粒なみだ
    こぼれます。


    「泣くとは笑止。
     笑止の障子の鎖鎌!」


    ガマの鳴き声
    凄まじく

    帰る家などありゃしない。


    十字架、念仏、真の闇。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 虫の家

    2013/09/03

    ひどい話

    どこから入って来るのだろう。

    いくら調べてもわからないが
    なぜか家の中に虫がいるのである。

    それも、うんざりするほどいる。


    窓から外へ捨てても
    指先やスリッパでつぷしても

    それこそ息苦しくなるくらい
    殺虫剤を撒き散らしても

    いつの問にか家の中が
    虫だらけになっているのである。


    虫が食べるのか、部屋の柱が細くなり、
    床板は曲がり、歩くといやな音を立てる。

    家が傾き、窓やドアが開かなくなり、
    壁に穴があき、服が破られ、噛みつかれる。

    だから、夜中に娘が泣いていたりする。


    今朝など、死ぬほど驚いた。

    あまりの不快感に目を覚ますと
    口の中に虫が巣を作っていたのだった。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 砂漠の行進

    2013/09/01

    暗い詩

    静脈と動脈の絡む積乱雲。
    骨と産業廃棄物よりなる灰色の砂漠。

    巨大なムカデを連想させる流民の群。
    その頭と尻尾は砂塵に霞む。

    ありとあらゆる人種の肌が重なり、
    ありとあらゆる民族の顔が交わる。

    痛みを伴い、歩みは重く、
    目は虚ろ、悲しみは深い。

    「だめ。そっちへ行っちゃ、だめ」

    かすかに少女の声がする。

    しかし、その声は
    蜃気楼のように遠く近く

    誰の耳にも届きはしない。


    はがれ落ちた無数の鼓膜が焼けている。
     

    Comment (2)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
    • Tome館長

      2014/05/12 10:24

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2013/09/05 19:02

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

RSS
k
k