突然の舞台
2012/09/21
拍手に迎えられ、舞台に立った。
埋めつくされた客席。
期待のまなざし。
やけに照明がまぶしい。
司会者はいなかった。
案内をしてくれる人も。
頭の中が真っ白だった。
何も思い出せなかった。
「あの、私は何をすればいいのでしょうか?」
この質問は大いにウケた。
会場に響き渡る笑い声。
しかし、私はコメディアンではなかったはず。
「あまり歌はうまくないのですが」
これもウケた。
歌手だったのだろうか。
それにしては楽団が見当たらない。
とりあえず、でたらめに踊ってみた。
罵声が聞こえたので、すぐにやめた。
「ここは、どこなんですか?」
まるでウケなかった。
「そもそも、私は誰ですか?」
まるでウケなかった。
「あなたがたは、いったい・・・・・・」
ざわめく客席。
数え切れぬほどの非難のまなざし。
だが、それでも
この舞台は終わりそうもない。
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