消えちゃえ!
2012/07/20
寝坊してしまった。
完全に遅刻だ。
宿題もやってない。
また廊下に立たされる。
朝から気分が落ち込む。
空模様まで暗かった。
(学校なんか消えちゃえ!)
心から願った。
重い足どりで登校する。
だが、学校はなかった。
校門も校庭も校舎もない。
教師や生徒たちはいた。
「どうしたの?」
「学校が消えちゃった」
遅刻どころではない。
宿題なんか関係ない。
願いがかなったのだ。
家に帰ることにした。
すると、急に雨が降ってきた。
傘なんか持ってない。
(雨なんか消えちゃえ!)
冗談のつもりだった。
すぐに雨はやんだ。
自分の能力がおそろしい。
なにかを消すことができる。
しかし、それだけ。
もとに戻せない。
あとでニュースで知った。
世界中の学校が消えたことを。
あれから雨は降っていない。
地球上のどこにも。
大変だ。
どうすればいいんだ。
わからない。
わかるはずがない。
(ああ。めんどうくさいことは
みんな消えちゃえ!)
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