三本目の手
2013/05/08
ひとり、部屋の床に座っている。
開いた窓から空と建物の屋根が見える。
突然、部屋が回転を始める。
遊園地のコーヒーカツプの動きだ。
(これは夢に違いない)
ただちに確信する。
夢にしてはリアルだが、こんな事
どう考えても現実に起こるはずがない。
(どうせ夢なら好きな事してやろう)
ところが、あまりにリアルであるため
状況を変える操作ができない。
やがて、勝手に部屋が移動を始めた。
遊園地のジェットコースターの動きだ。
窓から見える光景が目まぐるしく変わる。
都会の鳥瞰図、針葉樹林、冬の山岳地帯、
野原、夕焼けの赤い海、花火、舞う粉雪、
稲妻の嵐、吹き上がる溶岩・・・・
そこで、目が覚めた。
不思議な夢だった。
起き上がり、
パジャマを脱ごうとして異変に気づく。
見ると、手が三本あるのだ。
右手と左手、そしてヘソのあたりから
三本目の手首が生えている。
しかも、この三本目の手は勝手に動く。
左手と右手で押さえつけようとするが
なかなかうまくいかない。
困ってしまった。
このままでは誰にも会えない。
そこで、本当に目が覚めた。
本当に不思議な夢だった。
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