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  • 空き缶

    2009/02/20

    思い出

    砂浜の波打ち際
    朽ちた流木のすぐ近く

    陸に寄せる波に
    押し上げられたり

    海に戻る波に
    引き下げられたり

    それが気持ちよくて
    やめられず

    他人の視線など
    気にする余裕もなく

    笑ったり叫んだりしながら
    繰り返し繰り返し繰り返し

    心ない人に捨てられた
    空き缶みたいに

    いつまでもいつまでもいつまでも
    転がり続けているのは


    まだ少年だった頃の
    私です。
     

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  • 赤い花

    2009/02/19

    暗い詩

    かつて
    地の果ての
    戦場で見た

     その草は
     雨水では
     育たないのだ

    血を
    与えなければ
    枯れてしまう

     それも
     人の血
     でなければ


    夏の終わりに
    一輪の花が
    咲く 

     その脈打つような
     血色の
     花弁 

    ちょっと
    掘りおこして
    みたくなる

     そんな赤い花が
     もしも
     咲いていたら
     

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    • Tome館長

      2014/10/05 17:14

      「ゆっくり生きる」はるさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2014/10/05 17:13

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/09/25 16:40

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 深海魚

    深く暗い 海の底


      恐ろしい水圧に耐え
      すっかり眼は退化して

      あまりに恥知らずな
      その姿


    醜い 醜い 深海魚


      それでも生きてる
      死にたくない


    寂しい 寂しい 深海魚


      誰も知らない隠れ家は
      沈没した 豪華客船 難破船

      王冠 腕輪で飾っても
      どうせ誰も見てくれぬ

      季節のない 海の底
      光も届かぬ 底の底


    それでも 君は


      上がっておいでよ 深海魚

      歓迎されなくたって 深海魚

      泳げばいいのさ 深海魚
     

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  • マリーの続き

    忘れられた女より もっと哀れなのは

    覚えてもらえなかった女です。



    覚えてもらえなかった女より もっと哀れなのは

    覚えてもらえなかった男です。




    マリー・ローランサン「鎮静剤」より続く)
     

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  • 家政婦たち

    2009/02/16

    楽しい詩

    我が家に住み込みの家政婦たち。
    彼女たちは紐につながれている。


    小柄で口の大きな温子は食事の用意。
    暖めるだけ。複雑な調理はできない。

    料理の材料は冷子が蓄えている。
    立派な体格。いびきがうるさい。

    暑い日は涼子が風を送ってくれる。
    いつも窓際にいて、息が荒い。

    清美は洗濯上手。目のまわる忙しさ。
    なぜか洗濯物を干すのは役目でない。


    不満はあるけど、立派な家政婦たち。
    停電になると、皆で仕事をサボるけど。
     

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  • まどろみ

    2009/02/15

    明るい詩

    名も知らぬ
    森の奥にひっそりと

    身を横たえる湖の
    緑の水面さながらに

    静かに眠れる幼子の
    夢見る愛しい横顔を

    ただぼんやりと
    眺めているだけで


    ああ なんだかもう

    死んでいるよな
    いないよな

    生きているよな
    いないよな

    そんなこと
    もうどうでもよい



    そんな心持ちして

    わけもわからず
    ふと笑みがこぼれてしまう

    うつらうつらな
    春の時


    ホー ホケキョ
     

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  • 虫籠の虫

    2009/02/15

    切ない話

    たくさんの虫を飼っていた。

    でも、みんな坊ちゃんに殺された。
    竹細工の虫籠ごと踏み潰されてしまった。


    私の兄の大切な形見だった虫籠。
    虫の好きな私のために兄が作ってくれた。

    それを坊ちゃんが壊してしまった。


    あの坊ちゃんの目が忘れられない。
    血走って、奥まで暗くて、恐ろしげな眼。

    坊ちゃんが私を憎んでいるのは知っていた。

    私が坊ちゃんより虫を愛しているから。
    私が坊ちゃんを愛していないから。


    虫籠を踏み潰された夜、私は泣いた。

    虫たちが可哀想だったからではない。
    虫籠が壊れてしまったからでもなかった。


    わかってしまって、悲しかったのだ。


    こんな、みなし児で愚かな私も
    あんな、金持ちで賢い坊ちゃんも

    みんな、虫籠の虫なんだ、と。
     

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  • 暗い遊び

    2009/02/15

    暗い詩

    鼻欠けお婆にさえ煙たがれたもん。

    「この子はいつも、屍とばかり遊びおる」 


    そうなの。

    遊び仲間は
    みんな死んでるの。

    お葬式してあげたわ。
    火葬、土葬、水葬、風葬、雨あられ。

    墓も立派よ。
    石三つ。


    骨の髄まで舐めてあげたわ。

    頭蓋骨に髪を巻いたら
    蹴鞠ができた。

    尾骨と鎖骨を組んだら
    知恵の輪できた。


    だから、大人に嫌われる。


    もしかしたら
    笑顔を忘れたのかな。

    大人に見せるための素敵な笑顔。


    でも、やっぱり
    生きてる友だちが欲しいな。

    まるで生きてるみたいな反応なんかして。

    きっと、楽しいだろうねえ。


    ねえ、誰か。
    誰か。


    ああ、そうだ。
    アナタがいいわ。

    ねえ、アナタ。

    アタシと一緒に遊びましょ。
     

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    • Tome館長

      2012/07/13 21:56

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2012/07/10 22:39

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 化石の町

    2009/02/14

    空しい詩

    化石の町には
     化石の民が住み

       生きた化石として
        地層に埋もれている


    化石の公園には
     化石の花が咲き

       琥珀の虫が
        砂の花粉を運んでいる


    化石の少女が
     太古の夢を見ても

       楽しい思い出は
        すでに風化している


    あなたが化石の町に
     もしも迷い込んだら

       あなたは石像となり
        永遠に立ちつくすだろう


    そんな化石のような
     化石の町
     

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  • 遠い海の深い底

    2009/02/13

    変な詩

    遠い海の 深い底


       貝の中の
        綺麗な真珠

          真珠の中の
           眠れる少女


    波に揺れる 月の杯


       「飛べないかもめは かわいそう」

         媚を 売るのは
          クラゲの 娘


       「飛べるかもめは つまんない」

         憂鬱に 笑う
          ヒトデの 息子


    夜空に浮かぶ 星座の帆船


       星の涙と
        波のハンカチ 

          願い事 ひとつ
           唇 ふたつ


    遠い海の 深い底 
     

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    • Tome館長

      2012/09/21 19:59

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2012/09/20 11:43

      「こえ部」で朗読していただきました!

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