剣の舞
2008/12/20
よく切れる剣であった。
竹や木など、風のように切る。
岩や骨なら、水のように切る。
そんな剣が舞い始めた。
畜生も大臣も、おかまいなし。
首がとび、血潮がはねる。
森は荒野、街は屠殺場となる。
「この世に切れぬものなし」
舞いながら、剣は豪語する。
「いや。ひとつだけあるぞ」
両脚を切られた少年が叫ぶ。
「それはなんだ」
「剣である、おまえ自身だ!」
剣は怒り、刃をねじ曲げる。
「うぬ。こうすれば、切れるはず」
パキーン!
ねじ曲げすぎて、刃が折れた。
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