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2013/09/19
彼女は女の子で
僕の恋人でもなんでもなくて
もちろん片想いの相手でもなくて
そのへんにごく普通にいるような
ただの薄っぺらい女の子に過ぎないんだけど、
それでも
あんまりにも薄っぺらいもんだから
もう
ちょっとでも風が吹こうものなら
あっちへフラフラ
こっちへヒラヒラ
頼りなげになびいたり
あてもなく飛ばされたりして
水たまりに落ちて濡れるんじゃないか
空に舞い上がって
遠くへ行っちゃうんじゃないかって
ちょっとハラハラしたり
ドキドキさせられたりすることも
ないこともないというか
あるにはあるんだ。
もっとも
そんな薄っぺらい彼女がどこでどうなろうと
そんなの
まったく恋人でも
片想いの相手でもない僕には
ちっとも関係ないことではあるんだけどね。
2013/09/18
図書館で偶然見つけた素敵な少女は
とても魅力ある変な顔の持ち主だった。
どうしてこんなに変な顔なんだろう。
きっと異民族の血が流れているに違いない。
イスに腰かけて生意気に細い足を組み、
絵本を下敷きにして何か書いていた。
こんな時、有名人だったらなぁ、と思う。
彼女が気づいて声をかけてくれるだろう。
家が近所だったら、行ったり来たりして
変な顔の少女と友だちになれるのに。
2013/09/17
欲しい。
今すぐ
この子が欲しい。
拾った雑誌の
グラビア写真を見て
そう思った。
2013/06/22
美しい横顔、
ゆるやかな姿勢。
風にそよぐ長い髪。
額から鼻先へと続く
知的なライン。
やさしい眉と
真摯なまなざし。
半分しか見えない唇が
かすかに動く。
額縁の肖像画さながらに
窓辺で読書する少女の姿。
世界から切り離された
方形の画面。
今のあなたには
鳥の鳴き声も聞こえない。
あなたを射る男の視線さえ
感じない。
ましてや私の心など。
それほど夢中になって
読んでいる。
一冊の本を読んでいる。
推理、冒険、恋愛、
それとも物理学?
いやいや。
あなたなら
どんな本でもふさわしい。
たとえその本が
いかがわしく
大層淫らな内容であろうとも。
2013/04/27
藍色の東の空の裳裾より
瞼に切れ目を入れるよう
物憂げな夜明けを装いつ
薄紅に燃ゆる霧の丸帯は
仕留め損ねた大蛇の如く
山並みを避け 谷底を這い
樹林の陰影と絡まりながら
もう二度と逢う事もない君の
柔らかな寝姿を偲ばせる
2013/04/21
切なさこもれる
胸の内
切り裂いて
取り出して
ほら 君に
見せたくもあり
見せたくもなし
2013/04/16
靴下を脱ぐのなら
できれば無地の白い靴下で
脱ぐのは無垢な少女であって欲しい。
木陰に隠れて覗くと
そよ風が遠慮がちに吹いて
彼女の柔らかな長い髪をなびかせる。
その小さな頭の近くに
黄色い蝶でも飛んでいたら
なかなか絵になりそうな気がする。
ふと少女と視線が合ってしまい
「だめ! 見ないで!」と
叱られてみたい気もする。
2012/11/08
恋は不思議な
催眠術
好きな相手に
そっと掛ける
互いに掛け合えたら
しめたもの
ずっと覚めぬ事
ただ願うのみ
2012/09/28
これで僕たちは
どうしたって
本当に
お別れだけど
ちょっとだけ
ほんのちょっとだけ
お願い
さよならの前に
微笑んで
2012/09/23
霧に煙る湖面に小舟
ゆらりろ ゆらりら
ゆれ ゆれて
おぼろ月ふたつ
櫓はひとつ
ゆれるや小舟
寄る辺なく
濡れたなら
絹の衣は肌の色
ぬらりろ ぬらりら
ぬれ ぬれて
波紋は乱れし
蛾の鱗紛
笛吹くな
竜神様が顔を出す