1万8000人の登録クリエイターからお気に入りの作家を検索することができます。
2014/08/05
花火大会の夜に
浴衣なら
どうしたって
打ち上げてみたくなる。
キャー!
とか
イヤー!
とか
言いながら
高く 高く
ものすごく高いところまで昇って
ダメー!
とか
ダイスキー!
とか
無邪気な大声を
夏の夜空に
響かせるのだ。
2014/06/25
いくつもの思い出
切り抜いて
喜び 哀しみ 切なさ
混ぜ合わせ
ひとり作る
真夜中の パッチワーク
真ん中には
とびっきりの君の笑顔を貼り付け
その横には
僕の失恋の張り裂けそうな痛み
そして
反対側には
ふたりの出会いのシーン
あんなことや こんなこと
忘れたいこと 忘れたくないこと
数え切れない 色鮮やかな
端切れの数々・・・・
君は今 どこにいますか?
僕は今 ここにいます
ここで こうして
こうやって
あの頃も 今も
これからも
君を想っています
2014/05/22
振り乱れ
揺り乱れ
切れなば切れよ
血も見せよ
細く鋭く
絶え絶えに
糸もしとどに
琴の爪弾き
2014/05/16
その囁きを甘いと感じるのは
その意味を疑わぬことが即ち
満たされぬ願望を満たすことになるから。
「愛しているよ」
ただの言葉。
「愛しているわ」
ただの返事。
労せずして得られるものほど
失われやすい。
2014/05/12
恋がダメになるとか
壊れるとか
いろいろ申しますけど
じつは恋
もともと割れておるのです。
なにかの加減で
たまたま
くっついているだけ。
永久磁石じゃなくて
電磁石。
電気流れにゃ
ただの石。
(逆に流れりゃ
反発だってするかもね)
だから恋は儚くて
なかなか努力がいるのです。
2014/02/22
君が名残の月なれば
棚引く雲の絶え絶えに
折りて重ねて裏返し
飛べや真白き紙の鶴
2014/02/04
好かれていたとは
つゆ知らず
手折った草の
葉の露が
濡らした袖の
染みぞ哀しき
2013/12/01
君の声が消えてしまう前に
僕の声を重ねてみよう。
そして
できれば
僕の声が消える前に
君の声を重ねて欲しい。
2013/11/01
毎晩
あなたにね
囁いてあげるから
片耳そいで
贈ってよ
ほら あんなに
月が赤い
尻尾を切られた
猫の眼みたい
なぜか今夜は
酔えなくて
恋人でもない
彼または彼女を引きずって
お散歩するの
手鏡とか割るつもりで
白いブラウス
引き裂いてみるの
なぜかしら
救いの呪文は
電話番号に似ているの
街路樹を飾る
美しい死体
それとも
たとえば
月から落ちた
真っ赤なしずく
ダラ ダラリ
2013/09/24
ゆれる影絵は
湖に
浮かぶ小舟の
男と女
そろいの浴衣
はだけては
ほどけて逃げる
蛇の帯
舟べり ゆれて
櫂 はずれ
ぬらら ぬるらら
沈みゆく
どこまでも
ああ どこまでも
深い 深い
水の底