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2014/03/12
それぞれの声は
それぞれ違うけど
それぞれの声が集まってできる
みんなの声は
なんだか どれも
似ているような気がする。
結局
そういうところに落ち着いちゃうんだ。
なんだかとっても
さみしいな。
2014/03/04
対岸が遠いわけではなく
流れが激しいわけでもない。
それなのに
渡れない川がある。
対岸を眺むれば
美しい花が咲いている。
誘うように川面は
キラキラ優しく輝いている。
それなのに
その川は渡れない。
少なくとも
今の私には渡れない。
今の私には
まだ渡る資格がない。
2014/03/01
辺鄙なところにあるため
けっして朝の訪れることのない村があって
そこでは
鶏も時を告げない。
そのため
突然のように昼が始まり
不意打ちのように昼が終わる。
あとはただ
眠るしかすることのない
漆黒の闇の夜があるばかりである。
2014/02/28
収穫祭の夜なのに
あたいにゃなんも収穫ない
笛や太鼓は鳴るけれど
花が咲かねば
実もならず
愛しいあの人
誰のもの
踊る阿呆を見もせねで
賢者信者の多すぎて
いっそ枯れよか
朽ちようか
風が撫でてくれようぞ
収穫祭の夜なれば
どなたかあたいを刈り取って
2014/02/12
さびしいくらいで
泣いたりしない
かなしいだけじゃ
泣くもんか
いたくっても
我慢する
うれしくっても
笑うだけ
なみだ 見たけりゃ
お金 ちょうだい
ほらね 泣くでしょ
おなみだ ちょうだい
2014/01/31
虫の音 途絶え
葉は枯れ落ち
もう陽は
高く昇らない
木枯らしに うち震え
猫背の犬となり
雨降れば ひたすら
逃げる算段ばかりなり
このまま
朽ち果つる前に
われら なにを語りし
なにを残せし
ああ しかし
うやむやに時は過ぎ
井戸はすたれど
秋の日はつるべ落とし
2014/01/29
疲れ果ててしまったら
古墳の底で眠ります
勾玉 管玉
じゃらじゃら首に飾って
奴婢の身代わり
埴輪をたくさん埋めて
深く静かに
古代の夢を見たいだけ
青銅の鏡とか甲冑とか鏃とか
そんなのいらない
幾千年幾万年も
眠り続けていたいだけ
世界の果ての向こう側に何があるのか
世界の始まりの前に何が終わったのか
世界の終わりのあとに何が始まるのか
あれこれ空想してみたいだけ
夜になれば 古墳の上
くるりと蛍が舞うだろう
静かにゆっくり
銅鐸を鳴らしておくれ
2014/01/26
また会おう
いつかきっと
帽子かぶって
サングラスかけて
マスクまでして
他人のふりして
ともかく君に
気づかれないように
こっそり そっと
また会おう
2014/01/13
故郷なるもの
失われて久しき
故郷あり
と言えば あり
また なし
と言わば なし
いかに時空
占めようと
故郷と思えねば
もはや故郷にあらじ
なべて思い出
時の大河に流れ去り
故郷 はるか遠く
わずかに近く
風化しつつも
心の内のみ
存続す
2013/12/14
いつか帰らん
海の底
赤子 泣こうが
泣くまいが
雷 鳴ろうが
鳴るまいが
いつか帰らん
海の底