Tome Bank

あの子が笑うと
　この子が泣くの

　　　おめめ閉じたら
　　　　うなじに　ポタリ　


なにしているの
　どうするつもり

　　　コケシが落ちる
　　　　虫の音　チリリ　


誰も来ません
　どこへも行かぬ

　　　ぼやけた水滴
　　　　心に　ジワリ

踊れるうちが
　花なれば

　　　踊らずして
　　　　なんとしよ　


花と咲いて
　散るにせよ

　　　実ならずして
　　　　なんとしよ

募る想いは
あるけれど


今宵

なにも言わずに
眠りましょう。


せめて

眠るふりくらい
してみましょう。

夢を見るのは　
自由　

「いつかきっと夢は叶う」

そう信じるのも　
自由　


ただし　

そんなふうに　
いつまでも　

まるで他が見えないみたいに　
同じ夢にばかり囚われているのは　

なんだかとっても　
不自由　

だね

「なんでもいい」
彼女の口癖　

「なんでもいい」
彼女の気持ち　

「なんでもいい」
彼女の未来　

「なんでもいい」
彼女のすべて　

「なんでもいい」
「よかないよ」

⇒

やるしかない
　とも思えねど　

やるしかないと
　思いたき　

やるしかないよな
　やるせなさ

ゆらぐ心の
　まにまに浮かぶ

　　　よしなしごとの
　　　　あれやこれ　


義理をかき
　情けもたえて

　　　　ひさしけれ

たたかないで　
そんなに強く　

いじめないで　
こんなにひどく　


泣きたくないの　
笑ってたいの　

遊びたいだけの　
子どもなの

　おぼろげな
水晶玉の霧の奥　

あなたの泣き顔
　浮かびます


　いくら未来を
　　映しても

　凍りついた
　あなたの心　

とかさなくては
　変われない

一緒に虹を渡りたい

と君は言う。

地に足つかない虹でも
かまわない

とさえ言う。


嬉しいよ。
とっても嬉しい。

ほんと
泣きたいくらいだ。


だけど、君。
されど、僕。

僕が渡る虹は
天地逆さまなのさ。


ほらね、見てごらん。

しっかり空に足がついている。