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Tome館長

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    Works 3,356
  • 風よ 吹け

    吹け 吹け 風よ 

    風よ 吹け 

     

    遠慮はするな 

    情けは無用 

     

    うなれ 吠えろ 

    叫べ 泣け 

     

    どす黒く 胸に渦巻く 

    不安や 悩み  

     

    届かぬ愛や 叶わぬ夢 

    悔しさ 悲しさ 欲望も 

     

    みんな みんな 

    吹き飛ばせ 

     

    吹け 吹け 風よ 

    風よ 吹け

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  • 恋がわからない

    わからない。

    僕には恋がわからない。

     

    恋に悩み続ける君の気持ちが わからない。

     

     

    人に限らず 

    好きなものは手に入れる。

     

    手に入らないものなら 

    想い浮かべる。

     

    上下左右 角度を変えて 

    想い浮かべる。

     

    逆さにしたり 裏返したり 

    あれやこれやと 想い浮かべる。

     

    余計なものは削り取り 

    足らないところは付け加え 

     

    組み合わせたり 再編したり・・・・

     

     

    いつも間にやら 原型を超え 

    その想い浮かべたものが自立する。

     

    それはもうオリジナル。

     

    誰のものでもない僕のもの。

    ここにしかない僕のもの。

     

    僕だけのもの。

     

     

    わからない。

    僕には恋がわからない。

     

    恋に悩み続ける君の気持ちが わからない。

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  • ためらい

    相手を信用できないが 

    あいにく他に相手がいない。

     

    不完全ではあるが 

    どうせ完全にはできない。

     

    ためらいつつも 

    妥協と諦めの頃合いを計る。

     

     

    近頃、そんなのばっか。

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  • 宝の山

    宝の山にいながら 

    その価値を知らなければ 

     

    ゴミの山に埋もれているのと同じ。

     

     

    どんなことでも 

    意識できるのに 

     

    そんなことしか 

    意識しようとしないのは 

     

    まさに 

     

    宝の山の持ち腐れ 

    ではあるまいか。

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  • おうちにいるの

    おそとは あんなに あかるくて 

    あんなに ひろくて あたたかい 

     

    なのに あたしは おうちに いるの 

     

    おうちは とっても くらくって 

    とっても せまくて おまけに さむい 

     

    ひとりっきりで かいわも なくて 

    だあれも こなくて どこへも いかない 

     

    なのに あたしは きにしない 

     

    がめんの むこうは もっと ひろくて 

    なにより もっと おもしろい

     

    ことば ならべて えをかいて 

    うたって みたり おどって みたり 

     

     

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  • 夕暮れの雷鳴

    夕暮れの 夕立に 

     

    眠れそで 眠られず 

    ウトウトと まどろみつ 

     

    はて 何事か 

     

    思い出せそな 

    忘れし頃に 

     

    怒鳴られたよに 

    雷鳴の鳴る

     

     

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  • 氷の子

     目も口も 耳も髪も 手も足も
     肉も骨も脳も肺も心臓も

     なにからなにまで
     みんなみんな

     氷でできた氷の子 


    時も凍える冬の夜 

    月の光 屈折すれば
    星の光 にじんで壊れ

    歪み輝く街の夜景 
    あやしく綺麗に映します 


    きっと電飾のゆらめきは 
    この子を駄目にするでしょう 

    凍った道路で滑って転び 
    割れて砕けて 形が消えて

    見つめ合う恋人たちの靴底が
    心なく踏みにじることでしょう 


     「愛しているよ」
     「愛しているわ」

     汚れてしまった
     氷のかけら
     

     

     

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  • 静かな砂丘

    静かな砂丘に月のぼり 
    娘のように老婆は眠る 

    藍色の夜空に紫の雲ながれ 
    やや欠けた月は髑髏のよう 

    置き去りにされた古き戦車の 
    車輪に結ばれし老婆の髪 


    あてなき旅の途中か 
    貧しき群衆が視界を横切る 

    先頭に立つ老僧の法衣は破れ 
    その眼は人形のように動かない 

    埋もれた壁画のように足音も立てず 
    足跡も残さず去ってゆく 


    それっきり 

    もはや誰も訪れはしない 
    この静かな砂丘

     

     

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  • 始まらない物語

    始まらない 

    まだ始まらない 

    まだまだ始まらない 

    いつになっても始まらない 

    物語が始まらない 


     物語? 

    そう 物語

     なぜ始まらない? 

    始めないから 始まらない

     なぜ始めない? 

    それは あなたへ問いたい

     私へ? 

    そう あなたへ

     意味 わかんない 

    この物語は あなたの物語

     私の? 

    そう あなたの物語

     知らなかった 

    だから この物語

     うん 

    あなたが始めなければ 始まらない

     

     

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  • 爪を切る

    爪を切る

     のびてくるから 
    爪を切る

     ひっかかるから 
    爪を切る

     みっともないから 
    爪を切る

     あぶない いらない じゃまだから 
    爪を切る

     

     かくせないから 

    爪を切る

     

     ひっかけないから 

    爪を切る

     することないから 
    爪を切る

     切る 切る 切る 切る 
    爪を切る

     

     

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