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2013/10/20
両手に握った枝ふたつ
うつろな瞳の巫女ひとり
花髪飾り 白い足袋
紅の袴 紺の帯
巫女は踊る リスになり
柳に揺れて 竹に跳ね
巫女は踊る 谷を抜け
沼を渡り 山を越え
森のけものに囲まれて
素足の裏を舐められて
丸い月 ひとつ
おっぱい ふたつ
帯をほどいて 笛吹いて
ぴいひゃら ぴいひゃら
今夜はうれしい村察
ぴいひゃら ぴいひゃら
ぴいひゃらら
2013/10/16
川の流れ
浮かぶ舟
空を見上げりゃ
雲がゆく
昨日は過ぎ去り
今日はここ
明日は明日の
風が吹く
2013/09/11
君に
本物の雪を
見せてやりたい。
真っ白な
シュークリームみたいな
大きな大きな
わた雪が
ふわふわ
ふわふわ
落ちてくるところを
君に
ちゃんと
見せてやりたい。
あの六角形の
アクセサリーみたいな
雪の結晶が
そのまま
ふらふら
ふらふら
落ちてくるところを
君に
しっかり
見せてやりたい。
2013/08/10
祝福の鐘の音は
天高く
しめやかに生まれ
大地を包み
華やかに降り注ぐ
時が止まり
迷いは消え
すべてが明らかになる
そこに苦しみはない
そこに悲しみもない
輝ける笑顔と
豊穣の未来と
約束された地へと続く
一本の
白い
白い道
2013/08/09
2013/07/17
手の届かぬ世界がある
ということ
それは
哀しみばかりでなく
時には
救いにもなる
ということ
子どもみたいに
思いっきり
両手を空へ
伸ばしてみる
2013/01/04
ゲンブリオ山脈を越えた者は
いまだかつていない。
例外としては
特殊な渡り鳥くらいだろう。
この渡り鳥は
上昇気流を上手に使う。
らせん状に旋回しながら
とんでもない高度にまで達する。
上昇気流の助けがなければ越せないのだ。
しかも、一年に一回のチャンスしかない。
それを逃がしたら渡れない。
死んでしまう。
まさに必死のゲンブリオ山脈越えなのだ。
たとえ必死になっても
私には越せない。
高くて、大きくて
険しくて、苦しくて
見上げるだけで呆れ返ってしまう。
もう私なんか
見上げてすぐに諦めてしまった。
それでも私は
ゲンブリオ山脈が大好きだ。
あんまり大きすぎて
抱きしめられないのが
とても残念だ。
2012/05/01
願い
叶ったら
お話は
そこで
おしまい。
もっと
続き
聞きたいなら
もうちょっとだけ
我慢ね。
2012/04/29
小さな女の子が
大きなシャボン玉を作って
空中に飛ばしました。
そのシャボン玉の中で生まれたのが
この私です。
風に吹かれて
フワフワ揺れて
球体の虹色模様が
クルクルまわります。
石けん水の透明な膜が
世界への唯一の窓。
ここに映る絵が丸く見えるように
ここに反響する音も丸く聞こえます。
さっき
生意気そうな顔の少年が
針でシャボン玉を突き刺そうとしました。
パチンと音を立てて
割るつもりだったのでしょう。
でも、その針の先は
石けん水の膜を突き抜けただけ。
腕も頭も腰も突き抜けて
そのまま少年は向こう側へ出ました。
その時の少年の顔の
とてもおかしかったこと。
まるでシャボン玉なんか
どこにもなかったような
変な夢を見ていただけだったみたいな
そんな不思議そうな表情をして。
2012/04/05
その光は 明るいけれど
眩しくはなく
温かいけれど
熱いほどでもない
日中は知らんぷりして
暗くなって やっと気づくような
そんな おとなしい
弱気な 小さな灯
消さないよう
驚かさないよう
そおっと 寄り添って
そおっと 手を かざして
それから そおっと
そおっと 微笑むの