遺言はない
2013/02/13
大富豪の伯父が亡くなった。
少しくらい遺産が入るかな
と期待していたら
メイドが届いた。
「初めまして。新しいご主人様」
なるほど、確かにメイドだ。
叔父の家で見かけた記憶がある。
「あらあら! これはまた・・・・」
俺の部屋はひどく散らかっていたのだ。
「とりあえず、お掃除いたしますね」
「・・・・う、うん」
そのままメイドは居座り、
俺のアパートに住み込むことになった。
とてもメイドを雇う余裕などないのだが
手当はいらない、と彼女は言う。
「前のご主人様のご指示ですから」
「いや、しかし・・・・」
彼女は、俺が放っておいても
買い物をして食事を用意してくれる。
電化製品や家具なども勝手に買い込む。
そのうち手狭になってくると
隣の空き部屋まで借りてしまった。
俺なんかより、よっぽど金持ちなのだ。
なんだか申しわけないので
マッサージをしてやろうと申し込むと
「とんでもございません!」
逆にマッサージされてしまった。
しかも本格的にである。
あんまり気持ち好いので
隣人が怪しむほど大声をあげてしまった。
いやいや、なるほど。
これがメイドというものか。
まったくこれでは、叔父も早死にするわけだ。
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